iDeCoは上限額まで拠出?40代フリーランスの資産形成

MONEYPLUS / 2019年7月2日 18時30分

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iDeCoは上限額まで拠出?40代フリーランスの資産形成

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ

今回の相談者は、フリーランスのSEとして働く44歳の独身男性。自営業ため老後資金に不安があり、iDeCoを検討していますが、60歳まで引き出せないのが気がかりだといいます。FPの渡邊裕介氏がお答えします。

老後に向けた資産形成のやり方を教えてください。44歳男性、独身、自営業で業務請負のSEとして働いています。現在は請負の仕事があり、毎月収入がありますが、去年までは無収入でした。今の仕事は請負のため長期継続はできませんが、老後に向けて家計を整えたく相談しました。


支出の中の「その他」には、業務上必要な接待交際費や持ち出しになる備品代が含まれております。通信費は携帯電話(格安スマホ)と光回線代です、業務上ある程度高速安定な回線が自宅に必要なため、この項目はこれ以上の削減は厳しいです。自営業のため、所得税・国民保険などの分として貯蓄とは別に月20万円を蓄えております。貯金は生活費約2ヵ月分の50万円あります。ロボアドバイザーに月15万円を積立投資しておりますが、今後は積立額を5万円に変更し、残りは、つみたてNISA月3.3万、iDeCo月6.7万に分散しようと考えております。そこで、以下の2点について相談させてください。


質問1: 先の仕事が不安定ではありますが、貯蓄もほとんどないため国民年金だけでは心配です。iDeCoを上限額まで拠出しようかと考えておりますが、60歳まで引き落とせないのが不安です。それでも、始めた方が良いでしょうか。


質問2: 家計全般として削減した方が良い項目、増やした方が良い項目などはありますか。というのも、生命保険は受取人もいないので必要ないとしても、医療保険等は入った方がいいのではと不安になります。節税対策にもなると考えておりますが、それより投資にお金を回す方が先かなどと悩んでおります。


<相談者プロフィール>
・男性、44歳、未婚
・職業:自営業
・居住形態:賃貸
・毎月の世帯の手取り金額:60万円
・年間の世帯の手取りボーナス額:なし
・毎月の世帯の支出目安:25万円


【支出の内訳】
・住居費:7.8万円
・食費:4万円
・水道光熱費:1.2万円
・教育費:1万円
・保険料:なし
・通信費:1万円
・車両費:なし
・お小遣い:5万円
・その他:5万円


【資産状況】
・毎月の貯蓄額:15万円(全額ロボアドバイザーに積立)
・現在の貯蓄総額:50万円
・現在の投資総額:500万円(全額ロボアドバイザーに投資)
・現在の負債総額:なし


渡邊: こんにちは。ファイナンシャルプランナーの渡邊です。今回は、老後に向けた資産形成のご相談です。

最近、金融庁の有識者会議にて、「公的年金だけでは老後に2000万円足りない」という報告書が公表され、話題となっていますが、年金不安が叫ばれていたのは今に始まったことではありません。人生100年時代といわれる中で、ライフスタイルや働き方も変化してきています。自分自身がどのように老後を過ごすのか、そのための準備をどうするのかは、多くに人にとっての共通の課題でもあります。

ご相談者からの質問に沿って考えていきましょう。

投資方針を明確に、iDeCoとつみたてNISAを使い分ける

まず、一つ目のご質問ですが、「つみたてNISA」と併用しながら、「iDeCo」を上限額まで拠出するべきかどうかとのことですが、まず、つみたてNISAとiDeCo、それぞれの特徴を整理していきましょう。

図1

この中で注目して欲しいのが、資金の引き出しについてです。貯蓄や運用を考える際に重要なのは、投資目的及び投資期間です。ただ漠然と運用をするのではなく、何のために貯めるのか、いくら必要で、どの程度増やしていきたいかなど投資方針を明確にすることです。

つみたてNISAについては、毎年拠出できる上限額は大きくはありませんが、いつでも引き出し可能なので、必要な時に必要なだけ引き出すことが可能です。一方、iDeCoについては、資金の引き出しが可能なのは60歳以降となるため、60歳以前に必要になるかもしれない資金まで運用にまわしてしまうと、必要な時に手元に資金がないということにもなりかねません。

すなわち、確実に老後まで使わず貯めておきたい場合はiDeCo、60歳より前に利用するかもしれない部分についてはつみたてNISAと使い分ける必要があります。

収入が不安定なら、流動性のある資産割合を増やして

ご相談者の場合、お仕事が自営業で、収入が安定して続く保証がないことを考えると、ある程度流動性のある資産割合を増やしておきたいところではあります。iDeCoのように60歳までブロックする資産割合をむやみに増やしてしまうと、直近の生活が成り立たなくなってしまう可能性がでてきます。

掛金を全額所得控除できるので、節税としては効果的ですが、ご相談者の今のお仕事状況を考えるとあまり金額を上げることはおすすめできません。

また、ロボアドバイザーを利用し運用を行っているようですが、全体の資産に対して、運用をしている割合が高いように見受けられます。お仕事の形態、収入見込みについてはわかりませんが、現在の請負の仕事は長期継続するのが難しいことを考えると、全体の資産に対する運用比率をもっと下げるべきかと思います。

運用がうまくいっている時は良いですが、どうしても手元資金が必要となった際に、評価が下がってしまっていると、大きな損失に繋がってしまうことも考えられます。まずは確実性のある資産割合を増やすことを考えましょう。

自営業の場合、所得補償保険の検討を

二つ目のご質問は、家計の中の削減項目、追加項目についてです。

まず保険についてですが、現在独身とのことですので、死亡保障については特段必要ないと思いますが、医療や所得をカバーする保障については検討した方が良いでしょう。特に、個人事業ですと、国民健康保険のため、働けなくなった時の傷病手当金などがありません。病気やケガなどで、今の仕事に制限が入ると、もろに収入に影響が出てしまいます。ですので、働けなくなってしまった場合の所得補償の保険などは必要となるでしょう。

一方で削減項目ですが、住居費はどうでしょうか。お住まいのエリアがわからないので、家賃相場についてわかりませんが、もし今のお住まいにこだわりがないのであれば、一時的な引っ越し費用などはかかりますが、住まいを見直すことも固定費の削減に繋がります。

また、通信費やその他については削減不可とのことですが、お小遣いの項目はいかがですか。なるべく楽しみの部分は残したいところではありますが、少しでも家計改善をしたいのであれば、可能な範囲で見直してみてはいかがでしょうか。

いずれにしても、家計改善による効果は限定的になってきます。大事なのは、何よりもお仕事を軌道に乗せること、そして定年がある仕事ではないので、継続的に収入を得ることができるシステム作りが重要かと思われます。将来の準備を運用任せにするのはリスクが高すぎます。一部資産運用を取り入れながらも、収入と生活、手元資産のバランスを取った上で、生活設計をされることをおすすめします。

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのFPが答える「みんなの家計相談」の過去の記事一覧はこちらから。

(渡邊裕介)

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