よかれと思って始めた「積み立て」が裏目に?貯まらない理由

MONEYPLUS / 2019年7月25日 18時30分

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よかれと思って始めた「積み立て」が裏目に?貯まらない理由

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ

今回の相談者は、出産で収入が減っても支払いに困らないようにと計画的に積み立てている32歳の共働き主婦。なのに、なぜお金が貯まらないのか、毎月の収入から貯金ができない理由を知りたいといいます。FPの横山光昭氏がお答えします。

貯蓄を増やしたいと思い、計画的にお金を使っているつもりです。年払いの保険料や車検代などは、毎月の収入の中から積み立てていくようにしていますし、洋服代も1年間の予算を決め予算額に達するように毎月積み立てをして、そこから支払っています。積立額を軸にしてお金を使うようにしているのですが、一向にお金が貯まりません。この方法は、産休中は残業代がないこと、育児休業中は給与の6割に収入が減るので、貯蓄がきちんとできて支払いに困らないようにと計画したものです。お金を貯めていくために必要な方法だと思ったのですが、復職しても一向に貯金額が増えません。ボーナスだけに頼った貯蓄はしたくありません。毎月の収入から貯金ができない理由と、貯金ができるようになる方法を教えてください。


〈相談者プロフィール〉
・女性、32歳、既婚(夫:33歳、会社員)、子ども1人(1歳)
・職業:会社員
・毎月の世帯の手取り金額:61万円
(夫:36.4万円、妻:24.6万円)
・年間の手取りボーナス額:130万円 
(夫:90万円、妻:40万円)
・貯蓄:約130万円(預貯金のみ)


【支出の内訳(61万円)】
・住居費:15.4万円
(家賃、管理費、駐車場代)
・食費:8.2万円
・水道光熱費:1.8万円
・通信費:1.2万円(格安スマホ)
・保険料:7.8万円
(生命保険料控除を受ける目的もある)
・日用品代:2.1万
・教育費:6.1万円
・被服費:2万円※
・交際費:4万円※
・娯楽費:1.8万円※
・小遣い:7万円
(夫:5万円、妻:2万円)
・その他:3.6万円
※は毎月積立をしている金額


横山: ご相談ありがとうございます。ざっと見たところ、支出に対して過剰に備えているように感じます。相談者さんのご家庭に向いている家計やりくりの方法が、現状のままでよいのかどうか、検討してみましょう。

貯まらないのは「積み立て」が原因?

支出については、「削減できる部分はしていこう」という意識が伝わる支出の仕方だと思います。では、それなのに、なぜお金が貯まらないのでしょうか。

相談者さんのご家庭のお金が貯まらない原因は、よかれと思ってやっている積み立てにあります。まず、計画的に積み立てることはよいですが、支払うために積み立てたお金は、支払いに充てるとなくなってしまいます。一方で、貯金するための積み立てはしていません。つまり、「支払いをこなして終わり」となってしまっているので、お金が貯まらないのです。

では、貯めるにはどうするとよいのか。貯蓄するための金額を作り出すしかありません。この「支払うために積み立てたお金」はすべて使い切ってしまうのでしょうが、その支出の内容を検討したことはあるでしょうか。

生命保険料控除を受け、税金を安くしたいと考える人は多いものですが、そこばかりに目を向けても意味がありません。保障内容はご家族の現状に適したものになっているでしょうか。不要な保障にお金を払う必要はありません。毎月7.8万円ものお金をかけているのであれば、年額90万円強の保険料を支払っていることになります。結構大きいですよね。この一部を貯金に回せると、状況はかなり変わってくると思います。

また、税金を安くしたいと考えるなら、生命保険のほかに「iDeCo(個人型確定拠出年金)」などを検討してもよいと思います。iDeCoであれば老後のお金を積み立てていくものですし、運用も預貯金もできます。仕組みやメリット・デメリットを知る必要はありますが、検討してみてもよいでしょう。

洋服代も、要る要らないを考えずに積み立てた分をすべて使ってしまっているのであれば、それはもったいないですね。

「家計の3分法」で無駄支出をあぶり出す

貯金を増やしたいのであれば、まず、この積み立てている金額の使い方を「家計の3分法」を用いて振り分けてみて、無駄が多すぎないかを確認しましょう。

積み立てている部分、そうではない部分と区分けしているとわかりにくいので、できれば積み立てるのは車検代など必要で削れないものだけにし、あとは枠を取り払いフラットにして支出全体をみてもよいでしょう。

3分法では、支出を「消費」「浪費」「投資」の3つの意味に分けていきます。例では費目を出しますが、あくまで意味、価値であり、費目にはよらない分け方です。

「消費」 は生きるために必要な支出で、生活に必要な使用料などを含みます。食費や水道光熱費、家賃などがそれにあたります。支出全体の70%程が消費に分類されるようになると、理想的なやりくりに近づきます。


「浪費」 はなくてもよい支出です。いわゆるムダ使い。過剰な酒・タバコなどのし好品や無駄にしてしまう食材代などがここに含まれます。ゼロにする必要はありませんが、全体の5%に抑えたい支出です。


「投資」 はいわゆる金融投資だけではなく、自己投資も含みます。将来につながる支出です。自分の考え方を強くする書籍代などもここに含めます。預貯金も、もちろんココです。全体の25%程になることが理想的です。

一度自分の支出をこの3つに分けてみて、どこを改善すると理想的な割合に近づくことができるか、考えてみてください。

「積み立て」「予算」はこだわりすぎると失敗する?

家計のやりくりの仕方は、その人、そのご家庭に合った方法であれば、どういった方法でもよいと思います。ですが、多くの家計を見ていると「積み立て」「予算」にこだわりすぎると、失敗してしまうことが多いように感じます。

なぜかというと、自分たちが今どのようにお金を使っているのか、現状の把握ができていないままに予算を立て、積立額を決めてしまうことが多いからです。逆に言えば、自分たちが今いくら支払えるのか、いくら積み立てが可能なのか、現状把握ができれば適切な金額を考えられるということです。

洋服が好きな人の中には、洋服代の年間予算を決めて、その中でやりくりをする人もいます。その予算は収入と生活にかかるお金を考慮して、無理のない金額を出し、その中で収まるようにと考え抜いて使うことが多いようです。そういう使い方ならよいのでしょうが、ただ、予算があるから使ってしまおう、予算内だから大丈夫などと軽く考えて使ってしまうと、無駄な支出、浪費に分類される支出が多くなってしまいます。

予算管理、積み立ては、その内容が適切かが大切です。がんばって積み立てても無駄に終わるのでは意味がありません。積み立てをして、その予算の中で支出をしたいと考えるのなら、まずは今の支出状況を全体的に把握し、適正な予算に組み直した方がよいでしょう。

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのFPが答える「みんなの家計相談」の過去の記事一覧はこちらから。

(横山光昭)

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