世界4位の経済大国に?インドネシアの長期的投資価値

MONEYPLUS / 2019年8月7日 6時30分

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世界4位の経済大国に?インドネシアの長期的投資価値

世界各国で金融緩和の動きが強まっています。7月18日には、インドネシアも約2年ぶりの利下げを実施しました。政策金利は6.0%から5.75%に引き下げられています。ここ数年のインドネシアは景気低迷が長期化する中で、通貨ルピアも弱含みで推移していましたが、直近はようやく相場も安定してきました。

特に昨年インドネシアで立て続けに実施された利上げは、ルピア相場の安定を主目的としたものでしたが、ようやく景気重視に軸足を移しつつあるといえるでしょう。4月に実施された大統領選挙を経て、2期目がスタートしたジョコ政権にとって初めての政策転換です。

7月23日にIMF(国際通貨基金)が発表した「エコノミックアウトルック」では、世界全体、国別ともに、成長率予想の下方修正が目立ちました。世界的に米中問題、日韓問題などさまざまな難題が山積する中で、今後のインドネシア・ジョコ政権の課題や注目ポイントなどについて考えてみたいと思います。


「2045年に世界4位の経済規模へ」

第2期政権がスタートしたジョコ政権は6月、「インドネシアは独立100周年に当たる2045年には、経済規模で世界第4位になる」という壮大な計画を発表しました。同時に、1人当たりGDP(国内総生産)については、現在の3,871ドル(日本貿易振興機構統計)から2万ドル超にまで押し上げる、という長期計画です。

水準から見て決して容易に達成できる目標ではありませんが、独立100周年にあたる2045年という節目に対するインドネシア政府の強い思いが感じられます。

なお、ジョコ第2期政権の任期は2024年までの5年間ですが、過去のパターンでは任期後半には次期大統領選挙に向けた各党の準備が始まり、現政権は実質「死に体」となりやすい傾向があります。その点を考えると、実質、任期前半の2021~2022年ころまでが勝負といえます。

この壮大な長期計画を実施するために、インドネシアが直近進めているのが産業高度化です。世界で戦えるような輸出競争力を持つ製造業を育成しようと、「Making Indonesia 4.0」というスローガンを掲げました。これまでのインドネシア経済は豊富な資源と旺盛な国内消費に頼ってきましたが、高付加価値産業育成の重要性を意識しているといえます。

産業高度化でユニコーンも登場

ちなみに、産業高度化を進めているのは、インドネシアだけではありません。

たとえば、タイは先進国の仲間入りを目指して「タイランド4.0」と名付けたデジタル産業の推進政策を実施しているほか、同様に中所得国からの脱却を目指すマレーシアは「ビジョン2020」というスローガンを掲げ、2020年までに先進国入りを果たそうとしています。

また、インドは「メイク・イン・インディア」というスローガンの下、外資を呼び込みながら国内の製造業を発展させようとしています。各国ともに、自国産業育成や産業高度化を意識している政策という点でインドネシアの政策方針と似通っており、これまで以上に外資誘致合戦が激化することになりそうです。

その中で、実際ここ数年はインドネシア発のユニコーン企業(時価総額が10億ドルを超える未公開企業)が数社出てきました。配車サービスなどを手掛ける「GO-JEK」、宿泊予約サイトなどを運営する「Traveloka」、Eコマースなどを手掛ける「Tokopedia」と「Bukalapak」の4社です。

このうち、GO-JEKは近年急速に業容を拡大しており、直近はついに時価総額100億ドル超企業である「デカコーン企業」に仲間入りしました。インドネシアで初のデカコーン企業です。また、この4社以外にも、インドネシアにはユニコーン企業予備軍が数社存在しており、今後数年の間に、主要企業の顔触れが変わってくる可能性があります。

2045年に向けた課題は?

現時点ではここに挙げたインドネシアのユニコーン企業はいずれも非上場ですが、影響力、市場シェア、知名度などの点でインドネシアを代表する企業であることは確かです。今後、インドネシア政府が産業高度化政策を進めていく中で、牽引役になりうる存在として引き続き見守っていきたいと思います。

なお、近年のインドネシアでは、国内での改革を進めようとすると既得権勢力からの反発にあって頓挫する、というケースが多くみられました。今後のジョコ政権も抵抗勢力との戦いが続きそうです。

そんな中、3月には、インドネシアにとって永年の悲願であった「地下鉄(MRT)の開通」がようやく実現しました。決して順風満帆とはいえませんが、少しずつ状況に変化が出始めていると思います。独立100周年の2045年に向けてインドネシアが、どのように政策運営を行なっていくか注目されます。

<文:市場情報部 アジア情報課長 明松真一郎>

(藍澤証券 執筆班)

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