もらい火による火災で無一文に…生活を立て直すための手順

MONEYPLUS / 2019年10月8日 18時30分

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もらい火による火災で無一文に…生活を立て直すための手順

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ

今回の相談者は、もらい火による火災被害にあい、貯蓄を使い果たしたという29歳の男性。火災被害にあった時にすべきこととは何でしょうか? FPの長尾義弘氏がお答えします。

現在、賃貸マンションで一人暮らしをしていますが、もらい火による火災によって持ち物を消失しました。こちらの過失はありません。所得税の控除など、何かやった方が良いことはありますか? 火災保険で180万円程が支払われる予定ですが、損失額は不明です。おそらく200~300万円程度だと思います。

<相談者プロフィール>
・男性、29歳、未婚
・職業:会社員
・居住形態:賃貸(一人暮らし)
・毎月の世帯の手取り金額:25万円
・年間の手取りボーナス額:80万円
・毎月の世帯の支出目安:23万円

【支出の内訳】
・住居費:6万円
・食費:5万円
・水道光熱費:1万円
・教育費:なし
・保険料:なし
・通信費:1万円
・車両費:なし
・お小遣い:4万円
・奨学金返済:6万円

【資産状況】
・毎月の貯蓄額:2万円
・現在の貯蓄総額:0円(火災後の生活の立て直しのため)
・現在の投資総額:なし
・現在の負債総額:700万円(奨学金)

長尾: 火災にあわれたとのこと、大変でしたね。突然の出来事で、ご心労はいかばかりかと拝察いたします。

「失火責任法」で、火元の責任を問うことはできない

もらい火ということで、災難でしたね。じつは、隣の家が火災で自宅が火事になったという「もらい火」の場合でも、「失火責任法」という法律があり、火元である家主に対して、損害賠償や補償を請求することはできません。

この失火責任法という法律ができたのは明治時代。当時は木造家屋が密集していたため、一度火災が起こってしまうと、被害がとても大きくなってしまいました。そのため火元である個人に対しての賠償責任が大きくなりすぎるということがあり、この法律ができました。

もちろん、重過失や故意による失火の場合には、失火責任法の適用外になり賠償責任が生じます。重過失にあたる判例には、「天ぷらを揚げていて、その場を離れてしまった」とか「寝たばこ」があります。

とはいっても基本的には、失火責任法があるので、個人個人が、火災保険に入って備えておく必要があります。

火元である家主が火災保険に入っていて、「失火見舞用保険金」「類焼損害補償特約」などの特約に入っていると、被害にあった第三者が保険金を受け取ることができます。失火見舞用保険金は、1世帯あたり30万円ぐらい。類焼損害補償特約は、火災保険などで修復できない不足分を保険金として支払います。

賃貸なら「借家人賠償責任保険」で家財保険が適用される

賃貸マンションの場合には、入居の契約をしたときに「借家人賠償責任保険」に加入をしていると思います。

火災によって被害を受けた場合でも、借主は、原状復帰の状態で大家さんに部屋を戻す必要があります。そういった時に、この借家人賠償責任保険は、部屋の一部が燃えたり、火災の煙や消火のための水濡れによる被害などを補償してくれます。

また、借家人賠償責任保険には、借り主の家財保険がセットされている場合が一般的です。借主は、火災によって家財に被害を受けたときには、この保険で補償を受けることができます。保険金の180万円は、この保険からの補償だと思います。

自治体からの「災害見舞金」も忘れずに申請を

でもやはり損失は大きいです。少しでも損失を少なくする方法としては、自治体からの補助金を利用することをおすすめします。

自治体によっては「災害見舞金制度」があります。お住まいの自治体で必ず確認をしてください。各自治体によって金額が異なりますが、見舞金を受け取ることができます。

また、「一般廃棄物処理費用減免制度」というのもあります。家具や衣服などの燃えたものを破棄するときに、その処理費用の一部、または全額を免除してくれます。これも自治体によって異なります。確認をしてみましょう。

所得税の減免制度を活用して、生活再建を

次にご質問の、所得税の控除についてです。

ご指摘の通りに所得税を軽減できます。「雑損控除」や「災害減免法」があります。このいずれかの有利な方の適用を受けることができます。

【雑損控除】
火災などの災害や盗難などによって、家財などの生活資産に損害が出たとき、その純損失額が、その年の所得の10%を越える場合には、所得税が軽減されます。純損失額というのは、損失額から保険金や損害賠償金などを差し引いた金額です。

雑損控除額は、下記の2つのいずれか大きい方が控除額になります。

・純損失額-合計所得額×10%
・純損失額のうち災害関連支出の金額-5万円

【災害減免法】
災害により住宅や家財に損害を受けた人で、その純損害額が、住宅や家財の価値の2分1以上で、所得金額の合計が1000万円以下の人は所得税額の減額、または免除されます。

災害減免法は、住宅や家財のみだけですが、雑損控除は、現金などの生活資金が含まれます。

・合計所得金額が500万円以下である場合: 所得税の額の全額免除
・合計所得金額が500万円を超え、750万円以下である場合: 所得税の額の50%相当額免除
・合計所得金額が750万円を超え、1000万円以下である場合: 所得税の額の25%相当額免除

いずれの場合にも、税務署に確定申告をしなくてはいけません。

どちらが有利になるか、試算方法を確認

それでは、所得金額が520万円、純損失額60万円(災害関連支出金額10万円)、所得税15万円の場合を例にして説明をしましょう。

【雑損控除】

純損失額60万円−520万円×10%=8万円
または
災害関連支出の金額10万円−5万円=5万円

【災害減免法】

所得税15万円×50%=7.5万円
(純損害額が家財・建物の2分の1以上)

つまり、この場合、雑損控除の8万円が所得金額から控除されます。

雑損控除と災害減免法どちらが有利なのかというのは、計算してみないとわかりません。詳しくは、市区町村の課税課に確認をしてください。

トラブルが起きた時に役立つ貯蓄、心機一転再開を

今回は、火災にあわれて大変だったと思います。せっかくの貯蓄もなくなってしまいました。

しかし、また心機一転、貯蓄を開始してください。貯蓄というのは、トラブルが起こったときにとても役に立ちます。ある程度のリスクに対応できるように一定の貯蓄をすることが肝心です。

そしてもう少し余裕ができたら、無理のない範囲で「奨学金の早期返還」を考えてはいかがでしょうか?家計を拝見すると、奨学金の返済が大きな支出になっていますね。そして、早期返還は利息分が得になり、返済総額が下がります。

家計をみると、とても堅実な方だと想像できます。これからもがんばってください! ファイト!

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのFPが答える「みんなの家計相談」の過去の記事一覧はこちらから。

( 長尾義弘)

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