「インスタ映え消費」の現状 定着するためのハードルは?

MONEYPLUS / 2017年10月13日 6時30分

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「インスタ映え消費」の現状 定着するためのハードルは?

消費のキーワードとして「インスタ映え」という言葉が登場するようになりました。SNSサービスのインスタグラムに写真を投稿するユーザーが、ただ写真を投稿するのではなくて、投稿者のセンスをアピールするような写真を投稿するという意味です。

最近ではわざわざそのインスタ映えする写真を撮影する目的で、イベントに出かけたり、商品を購入したりと、インスタグラムが新たな消費を生み出すというトレンドが生まれ始めています。この「インスタ映え消費」は本物なのかどうか。議論をまとめてみたいと思います。

インスタ映え消費が若者の間で拡大している

インスタグラムにリア充(実生活が充実していること)ぶりをアピールするような写真や、面白さ、楽しさ、珍しさを感じさせる写真を投稿することが流行しています。

写真には投稿者のセンスが問われるということで、特に若い世代を中心に「インスタ映えする写真をどう撮影するかが毎日の生活の中心」というような極端なライフスタイルも登場するようになりました。

そこで登場したのが「インスタ映え消費」と言う言葉です。同じ消費をするなら、よりインスタグラムに映えるものを選ぶ。そんな消費スタイルが話題になりはじめています。

インスタ映え消費の例として今年の夏に話題になったのがナイトプールです。夜、幻想的な照明に照らされたプールで泳ぐことが若い女性を中心に流行しました。泳ぐというのは適切ではないかもしれません。プールに入っている人たちはみな、手にスマホを持っていて、ナイトプールで遊んでいる様子を自撮りするのが目的です。

そして写真をパシャリと撮影したら早速インスタグラムに投稿します。

インスタ映え消費はコト消費が目的ではない

このインスタ映え消費にはこれまでの消費にはない特徴があります。ナイトプールの場合、「今日の夜は友達と一緒に赤坂のナイトプールで涼んでいます」と投稿するのが消費の目的。自分の生活がいかにリア充なのかをアピールするためにナイトプールという体験を購入するのです。

消費の進化論的に説明すると、必要な物、欲しい物を消費するのが90年代までの“モノ消費”。それに対して、体験や経験を消費することに重点があてられたのが今世紀に入ってから増加した“コト消費”。

そしてインスタ映え消費は、体験や経験を消費するわけではないという点に新しい特長があります。ナイトプールで泳ぐという経験は目的ではなくインスタ映えするフォトジェニックな写真を作るための手段と言うわけなのです。

そのため、インスタ映え消費はふたつのの傾向があります。まずは王道のインスタ映え消費を見てみましょう。

見た目を重視した話題の飲食店

インスタ映え消費では、とにかく見た目がびっくりするような場面を消費し、インスタグラムに投稿するが特徴です。

人気のレストランは色鮮やかな食べ物や、絵画のように盛りつけられた特別なプレートなどが好まれます。ないしは写真を見た人が驚くという意味では、驚くほどたくさんの料理が盛りつけられるような大皿料理のお店が好まれます。

たとえば私の行きつけのお店で言うと、六本木のイタリア料理店で、7~8人で出かけてお店におまかせで料理をお願いすると、びっくりするサイズのイタリア料理の盛り合わせを出してくれるお店があります。

それが最近は以前にもまして大人気で、予約も予約がとりにくくなってしまったのですが、そうなったひとつの理由は間違いなくインスタ映え消費が台頭してきたおかげです。なぜなら、店内でみんながスマホで写真を撮りあっているのですから、その様子を見るとお店が賑わう最大の理由はSNSに違いないことがわかるのです。

別の傾向では、100円ショップのお洒落な雑貨がインスタ映え消費で売れるという現象も起きています。とても素敵なインテリア小物、「でもそれが実は100円ショップの商品なんだ」という驚きがとてもインスタ映えするのです。しかもそれを本当の目利きのように個性ある自分の部屋の中に溶け込ませることは、センスをアピールするとてもよい手段だというわけです。

しかしもうひとつの傾向として、消費につながらない“偽のインスタ映え行動”が問題になり始めています。

コインランドリー女子に世間は眉をひそめることに

一方で、最近社会問題になっているインスタ映え行動も増え始めています。たとえば買い物をするわけでもないのに、そのお店のディスプレイがインスタ映えするからという理由で、店内に入ってきてパシャリと写真だけとって出て行ってしまうというお客様が増えてきて困惑しているという小売店が増え始めています。

さらに迷惑行動として問題になったのが「コインランドリー女子」でした。コインランドリーに勝手に入ってきて、大型の乾燥機の出し入れ口に腰かけてパシャリと自撮り写真を写して、それをインスタグラムにアップする。

本来は清潔に洗った洗濯物を乾燥する機械なのに、そこにおしりを入れるという行動は、清潔にコインランドリーを使いたい一般の消費者にとっては迷惑な行動だとネット上で問題になったのです。

インスタ映え消費やインスタ映え行動は、参加者の承認欲求が引き金になって、どんどんエスカレートする傾向が出てくるのは、他のSNSの発展を見ても起こるべくして起きた現象だと言えます。

とはいえ偽インスタ映え行動に行きすぎがあってもいずれ揺れ戻し沈静化するでしょう。ここは以前「バカッター」と呼ばれたツイッターの愚行が沈静化したのと同じです。問題はその先にあると思います。

インスタ映え消費が定着するためのハードルとは?

インスタ映え消費がこのままトレンドとして定着すれば、消費にはモノ消費、コト消費に加えてインスタ映え消費という消費のプラスになる新しい行動が増えることが期待されます。

本当の問題はそれが長続きするかどうかです。というのは、SNSは常に5年から10年のサイクルで次のプラットフォームに移る傾向があるからです。

SNSとして最初に多くのユーザーを獲得したのはミクシィでした。それがフェイスブックに代わり、フェイスブックがSNSの本命になるかと思われたのですが、次第に「フェイスブック疲れ」という言葉が広がり、フェイスブックユーザー数は徐々に減少を始めました。特にその傾向は20代以下の若者に顕著で、フェイスブックよりも気軽なツイッターがSNSの中心へと変わりました。

そしてそのツイッターの牙城に食い込む形で拡大を始めたのがインスタグラムです。インスタグラムは10代、20代ではツイッターに肉薄する勢いでユーザー数を増やしています。

数年でこのブームがまた新しく出現するSNSへと移行してしまうのか? それともインスタ映えが若者の間の定番行動に定着するのか? その点を見極めないことには、飲食業界、小売業界、アミューズメント業界もこのブームにどこまで乗っていいのか、なかなか判断がつきにくいかもしれませんね。

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