ヒットは約束された? 新型「ホンダ・フィット」の 今わかっていることを全て紹介

MONEYPLUS / 2020年1月25日 9時0分

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ヒットは約束された? 新型「ホンダ・フィット」の 今わかっていることを全て紹介

2019年の東京モーターショーで発表された、4代目となるホンダの基幹車種「フィット」。昨年末にはライバルとなるトヨタ・ヤリスが価格も含めた発表をしている中、その後の情報が入ってきませんでした。しかし、1月17日にホンダもやっと発売日を発表。ヤリスの2月10日に合わせたように2月14日となりました。それでもまだ情報は不足している新型フィット、ひと足お先にプロトタイプを試乗してきました。


日本のコンパクトカーの勢力図を書き換えた

初代のフィットは2001年6月に発表されました。これまでのコンパクトカー(Bセグメントと呼ばれています)のボディサイズを「少しだけ」大きくすることや、多彩なアレンジができる新発想の後席シートなど、アイデア満載でした。

ゆえに大ヒットは当然と言える結果。発売当初に月販目標の6倍も受注が入ったことやその後も常にトップを走り続けたことで、3代目までの累計販売台数も260万台以上、さらにホンダ車全体における国内保有台数も最多の180万台となっています。

時代の波には勝てない

それでも昨今のSUVや軽自動車ブームに押されてフィットといえども販売はやや苦戦していたのが現実です。そこに登場したのが今回発売される4代目モデル、これまでフロントマスクを中心に精悍な印象だったフィットですが、新型では「心地良さ」をコンセプトに開発したそうです。

プロトタイプとご対面

12019年10月23日、東京モーターショー会場で初お披露目しました

実は新型フィットに関しては報道関係者向けに昨年の9月下旬にプロトタイプ試乗会が開催されました。かなり前だと思うかもしれませんが、実は発売前に搭載するEPB(エレクトリック・パーキング・ブレーキ)に不具合が発生したことで改良をすることになりました。発売はここまで延びてしまいましたが、発売前に不具合を修正してきたことはユーザーにとっては安心といえます。

北海道の鷹栖にあるホンダのテストコースに着くと新型とすぐに“ご対面”となりました。ひと目でフィットだな、とはわかりますが、やはりヘッドライト周りは大型で優しい印象。

デザイナー氏によればフロントマスクは特に愛着が持てるように“柴犬”をイメージしたと言います。「柴犬?」と一瞬、理解不能に陥りましたが、見れば見るほどその良さはジワーッと伝わってきます。自己主張はしっかりするけど、やっぱりカワイイ感じも出ているのです。

注目はやはり「ハイブリッド」

2会場には新型エンジンのカットモデルも展示されていました

用意された試乗車は基本2種類、これはエンジンの違いです。新型は直列4気筒の1.3Lガソリンエンジンと直列4気筒の1.5Lハイブリッドエンジンを搭載します。

車両価格はハイブリッドの方が当然高くなりますが、新型はステップワゴンやオデッセイなどにも採用される2モーター方式を採用しています(3代目は1モーター方式です)。

実はこの方式は実用燃費の点でもかなり優れており、同じ排気量のインサイトでは実走で23km/Lをマークしたこともあります。これまでは「i-MMD」と呼ばれるネーミングでしたが、新型からは「e:HEV(イーエイチイーブイ)」と呼びます。ネーミング変更することでホンダの新世代ハイブリッドをアピールしていこうという狙いですが、前述したインサイトよりもシステムを小型化しつつ、最大トルクなども1.5Lターボ車並みに引き上げるなど走りと燃費を高い次元にまとめようという意気込みも伝わってきます。

乗ってビックリ!視界の良さとシートの出来に驚く

用意された試乗車両に乗り込んで一番驚いたのはその視界の良さです。インパネの上部は真っ平らでフロントウインドウは広角、さらにピラーも細いことでとにかく周辺の状況が掴みやすいのです。

開発陣は圧迫感や閉塞感の少ないデザインにしたそうですが、元々広いフィットがさらに広く感じるのには少々驚きました。試乗当日は正直天気は良くなかったのですが、これだけ見ても気分はかなり明るくなります。

そして一番感動したのはシートの出来の良さです。フレームから全て刷新した「ボディスタビライジングシート」は従来のバネ構造から全く異なるMAT構造と呼ばれるものに進化しました。

3新開発のシートのカットモデルも展示。このクラスではトップレベルの出来です

簡単に言えば骨盤や体幹をしっかり支える構造でとにかく疲れにくいのが特徴です。シート自体のクッションの厚みも従来より30mmも増えているそうですが、腰痛持ちで大腿部も痛めている筆者が少しラフな動きをしても身体のブレも少なく快適。このシートだけでも新型フィットは「買い!」と言えるほどです。

爽快な走りを楽しめる

4「BASIC」に試乗。普段使いならこれで十分という動力性能は大きな魅力です

ハイブリッドは出だしから滑らかで加速フィーリングも上々です。テストコースではつい速度を出し過ぎになりがちですが、2モーターハイブリッドの良さは中低速時などでは極力モーターで走らせようとする特性もあります。ゆえに普段街中などではモーターを積極的に使うことでかなり高い実用燃費が期待できます。

技術者に話を聞いても「カタログスペックだけで競争しても意味がありません。コンセプトにある心地良い走りと実際の燃費の良さがアピールポイントです」とのことです。

一方で高速走行時などはクラッチを介してエンジンと直結する機構を持っているので追い越し加速時などは力強さも感じることが出来ました。

また1.3Lエンジンもハイブリッドほど目立ちませんが、市街地から高速まで走れるバランスの良さも魅力と言えます。何よりもハイブリッドより価格は安いわけですから購入時には気になる存在であることは間違い無いでしょう。

コネクテッドは大刷新される

昨今の自動車業界のキーワードのひとつである「CASE」、その“C”は「コネクテッド」を意味します。ホンダはこれまでインターナビと呼ばれるサービスを展開してきましたが、この新型フィットから新しい「Honda CONNECT」を搭載しスタートさせます。詳細に関してはまだ未知の部分も多いのですが、この分野を牽引してきたホンダだからこそ次世代のコネクト技術はどうあるべきか、を考えて搭載してくるはずです。

専用の車載通信装置から自分のクルマの各種データがクラウドサーバーにアップして乗員の快適なドライビングを24時間365日見守ってくるシステム、万が一の事故やトラブルの際も緊急サポートセンターへの連絡だけでなく、状況によってはALSOKのガードマンが駆けつけてくれるそうです。

グレード選びが楽しくなる

新型フィットは従来までの「価格が上がれば上級」といったグレードの概念とは異なる「ライフスタイル別」のグレード構成となっていることが大きな特徴です。

「BASIC(ベーシック)」「HOME(ホーム)」「NESS(ネス)」「CROSSTAR(クロスター)」「LUXE(リュクス)」の5つの個性的なグレードは見た目も含め、生活や価値観などからバリエーションを展開しています。

実は今回原稿を書くにあたり首都圏近郊のディーラーで情報を収集してきました。それによると「BASIC」は文字通り、基本となるエントリーグレードですが、ホンダが誇る先進安全装備である「ホンダセンシング」も新機能を4つ追加して全部で11の安全機能を搭載します。この新しい安全装備や「サイド&カーテンエアバッグ」などを全グレード、つまり「BASIC」でも標準装備するとのことです。

5エントリーグレードの「BASIC」でも安全装備は充実しています

「HOME」は全グレードの中で中核となるモデルなので「BASIC」にプラスした充実装備が魅力となります。

6「HOME」は価格と装備が最もバランスが取れた売れ筋グレードになりそうです

「LUXE」は上質さを極めたグレードで本革シートや専用アルミホイールなどミニバンなどからのダウンサイザー層にも十分応えることが出来る仕上げとなります。

7上質系グレードの「LUXE」。外観上ではメッキパーツが多く使われています

そして筆者が注目しているのが「NESS」と「CROSSTAR」です。

「NESS」はガチガチのアスリート系ではなく、日常の生活をアクティブに楽しむイメージなどが伝わってくるスポーティ系グレードです。

8「NESS」はアクティブライフを好む人にはピッタリかも

そしてイチ押しが「CROSSTAR」、このグレード名は先行してマイナーチェンジを行ったフリードにも設定されていますが、要はSUV的テイストも兼ね備えた昨今人気の「クロスオーバー系」グレードです。

9「CROSSTAR」はホイールアーチプロテクターなどSUVテイストを演出

特に最低地上高を他のグレードより30mmアップさせることや、オプション設定のルーフレールを組み合わせることで見た目の印象はかなり異なって見えます。あくまでも予想ですが、昨今のクロスオーバーSUVブームも受けて人気が出るのではないでしょうか。

“攻め”の価格設定に注目

この原稿を書いている段階でフィットの価格は明らかになっていません。ただ前述したようにディーラーでは事前予約を取っていたので、価格はある程度わかってきました。

まず1.3Lガソリンエンジンの「BASIC」。前述したように「ホンダセンシング」を標準装備するなどクルマとしての基本はしっかりおさえているモデルですが、車両本体価格は155万円前後になります。昨今、軽自動車の高価格化が気になるところですが、新型フィットはかなり挑戦的、攻めの価格設定にしてきました。もちろんBASICにはオートエアコンもありませんが(但しハイブリッドは燃費を向上させるために標準装備)「クルマは完全な足として使う」とかビジネスユースで使われる法人などにはかなり魅力的な価格設定と言えます。

一方、中核となる「HOME」にはその分、本革巻きステアリングホイールやシート表皮など上質なものが装備されます。この「HOME」のガソリン車は170万円を少し超える価格、つまり新型フィットはこの価格ゾーンから実質商売をスタートさせることになります。これに前述したコネクテッド&対応カーナビを装着すれば車両価格は当然上がりますが、基本装備が充実しているので全体的にはコスパは高いと考えられます。

10「HOME」の室内。シート表皮も上質なものが設定されます

ハイブリッドの価格をどう見るか

一方、注目のハイブリッドですが「BASIC」の場合、装備がガソリン車とイコールにならない設定なので、価格差は45万円弱高くなります。それでも車両本体価格を200万円以下に抑えているのは巧みな価格設定と感じました。

ガソリン車とハイブリッド車の装備が同等であれば、その差は縮まります。注目している「CROSSTAR」の場合だとこれが約35万円位の差で収まるわけです。

価格差を燃費(ガソリン代)で取り戻すためには相当な距離を走らなければいけませんが、そもそもハイブリッドにはモーター領域で走ることによる静粛性の高さや独特の運転感覚を味わうことが可能です。年間の走行距離が短く、コスト自体を抑えたい人にはガソリン車がオススメですし、ハイブリッド車との価格差を逆に他のグレードに回すというのも賢い買い方のひとつと言えます。

当面ガチンコのライバルとなるトヨタ・ヤリスとの価格差はグレードにもよりますが、それ程の差はありません。さらに言えば装備差もありますので購入時にはその辺も含めて考える必要があります。

MONEY PLUSでもその辺は今後伝えていきますが、いずれにせよユーザーにとってはコンパクトカー選びが面白くなってきたことは間違い無いでしょう。

(高山正寛)

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