「勉強ができる女性=結婚難民」という通説は真実か

MONEYPLUS / 2018年1月13日 7時30分

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「勉強ができる女性=結婚難民」という通説は真実か

50代で管理職をされている女性から、こんな話をうかがいました。

その女性は大学4年の時、ある総合商社の採用面接を受けたそうです。最終面接に呼ばれたのは、高学歴の女性5人。面接官は男性ばかりでした。面接官からの質問は大変難しいもので、4人の女性は一生懸命考えて回答しました。が、残りの1人はまったく回答ができず、その場でシクシク泣き出したのです。

「結果、採用されたのは泣いた女性でした。驚くというより、やはりそうか、と思いました。当時の女性の採用には、一般職でも総合職でも『うちの社員のお嫁さん候補かどうか』『(面接官が)お嫁さんにしたいかどうか』がありましたから」

男女雇用機会均等法が施行されたのは、今から約30年前の1986年。この女性が新卒採用の面接を受けたのは、同法の施行から間もない頃でした。1990年代に入ってからも、「一般職はいいけれど、総合職なんかで入ったら嫁の貰い手が減るよね」などという話は普通にされていたのです。

それから20年の月日が流れました。やはり今でも、高学歴女性は「結婚が難しい」のでしょうか。

妻の最終学歴の“今”

まず、妻の最終学歴の状況をデータで確かめてみましょう。下図は2000年代後半に結婚した夫婦の妻の最終学歴を示したものです。

妻の最終学歴で最も多いのは高卒(29.5%)です。しかし、その次には大卒(24.7%)が僅差で迫っています。

ここで、短大卒以上とそれ以下で分けてみます。短大・高専卒、大卒、院卒という「そこそこ学歴がある」といえる最終学歴の妻のグループの合計が48.6%、それ以外の中卒・高卒・専門卒業の妻の合計が50.2%となります。ほぼ半々です。

パッと見て、「どちらが有利かといえば、ほぼイーブン。結婚に学歴は関係ないのでは?」と思うような数値です。これだけでも「結婚に学歴は関係ない派」にとっては十分な情報かもしれませんが、念押ししておきたいのが「女性の大学進学率と結婚の関係」です。

結婚と進学率に関連性はあるか

なぜ、大学進学率を確認する必要があるのでしょうか。

もし、女性の大学進学率が非常に高いにもかかわらず、妻の最終学歴が大卒以上と以下でほぼ半々となるならば、少数派の非高学歴女性が健闘しているということになりますので、「高学歴ではないほうが結婚には有利」ということになります。

反対に、女性の大学進学率が非常に低いにもかかわらず、妻の半数が高学歴であるならば、「高学歴のほうが結婚に有利だ」となります。

上に示したデータは2010年の夫婦調査結果を基にしているので、2010年当時の女性の平均初婚年齢を確認してみると、28.8歳です。当時の女性が平均29歳で結婚しているとすると、平均的には2000年前後に高校を卒業していることになるので、その頃の大学進学率を確かめてみる必要がありそうです。

文部科学省の学校基本調査による2000年当時の女性の大学への進学率は31.5%、短大などへの進学は17.2%となり、合わせて48.7%でした。つまり、「2000年の女性の大学・短大などへの進学率」と「その10年後における同程度の学歴の妻の割合」はともに約49%で、ほぼイコールになるのです。

データからは、2000年に高校を卒業した女性ベースで見てもすでに「女性が高学歴かどうかは結婚には有利でも不利でもなく、関係はありません」という結果となっています。つまり、「お勉強ができる女なんて、結婚は難しいんじゃないの?」はまったくの事実誤認、ということが指摘できます。

男性“草食化”の裏にある現実

最近、仕事の関係で「ある大学の理系学科で『結婚願望がない』と回答した男子が9割もいた」という悲鳴にも似た声をうかがいました。その理由はハッキリしていて、「責任が重いから」との回答が多数派だったそうです。

「男子学生の草食化が残念だ」との声が早速上がりましたが、はたして本当にそうなのでしょうか。「責任が重い」と言う男子を「草食」と呼ぶ周囲の環境に問題がある、という見方も、男女の役割分担ダイバーシティの観点からは指摘可能です。

女性労働力率のM字カーブが顕在の日本では、出産で仕事を辞める女性もまだ多いのが事実です。ということは、夫側に長期にわたり経済的責任がより重くのしかかっていることに「計算ができる学生」ほど気づきます。

そのうえ、「イクメンであれ」などと叫ばれると、「もう嫌になってしまう」と男性でなくても感じてしまうのかもしれません。そんな中で、より経済力を持ちそうな高学歴女性が昔よりも結婚相手として選ばれるのは、それほど不思議ではないと思われます。

変わりゆく結婚のカタチ

「昔のオトコは専業主婦を養ってナンボだったんだぞ。やっぱりオトコの草食化じゃないか」という議論が必ず中年より上の世代から出てくるのですが、これには“今”を無視した大きな事実誤認があります。下図を見てください。

養ってナンボなお父さんたちの“昔”においては、女性の大学進学率があまりに低く、1986年の均等法施行以前は、女性は男性と同等な給与体系の職に就ける状況にさえなかったのです。こう見ると潜在的感覚とはなるのでしょうが、男性はやむなく1馬力主義を続けてきたかもしれない、ともいえます。

「俺が稼がなきゃ。女性を経済的にリードしなくちゃ」「男性が養って当然。私のお給料はお小遣いレベルでいいのだし」という考えは、あくまでも過去の歴史的時代背景が作り出したものであり、状況的にはやむをえなかったのです。

「(俺に)(私に)理解ある」結婚相手がなかなか見つからない、という人は、うちのパパとママがそうであるように男性が女性を経済的に養うのが当たり前、が結婚の「絶対的条件」「当然の価値観」では決してないことに気がついたときに、素敵な相手が見つかるのかもしれません。

マネープラス

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