詐欺を見抜いたと思ったら大間違い、「しりとり型詐欺」とは?

MONEYPLUS / 2020年7月13日 19時0分

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詐欺を見抜いたと思ったら大間違い、「しりとり型詐欺」とは?

ブラフをかます。これは詐欺におけるテクニックのひとつですが、ハッタリをきかせて、お金を騙し取るという単純なものではありません。それだけを考えていれば、騙されてしまうことでしょう。今、しりとり型の詐欺が横行しています。


詐欺師グループの巧妙な手口

高齢の女性宅へ孫を装った男から電話がありました。

「おばあちゃん、コロナの影響で、仕事が減ってしまい、お金に困っているので貸してもらえないかな」

しかし女性はすぐに詐欺と見抜きました。というのも、女性には孫がいなかったからです。さっと、電話を切って、難を逃れました。

数日後に、警察から電話があります。
「不審な電話はありませんでしたか?」
女性が、先日、孫を装った男から電話があったことを伝えたのでしょう。

「それは、詐欺の電話です。今、騙されたフリをして、犯人を逮捕する、騙されたフリ作戦を行っていまして、協力してもらえませんか?」と言われて、女性は捜査に協力することにしました。

そして女性は騙されたフリをして宅配便で指定された場所に150万円を送り、お金を騙し取られました。つまり、2度目に電話をかけてきた警察官も詐欺師だったわけです。

このように、詐欺を見抜かれたという結果の「しり」をとって、詐欺師たちは次の罠をしかけてくるケースは多いのです。これを、しりとり型詐欺といいます。

この手口は、2段階のブラフを使った詐欺といってもよいかもしれません。つまり、最初の孫を装った詐欺電話は見抜かれてもよいハッタリで、次こそが本命の詐欺だったわけです。

マジックショーなどでも、最初に行った手品の種がバレて「失敗した」と思わせておき、次に大きなマジックの演出をすることがあります。これをされると、予期せぬ展開に客の驚きはより大きくなります。同じように、詐欺師たちも2段階のブラフを使うことで、予期せぬ展開に相手を導き、確実に騙しのツボにはめることができるのです。

名義貸しの手口

詐欺行為の結果をもとに、新たな罠をしかける手口は、以前からよく使われており、そのひとつに、名義貸しがあります。

高齢者のもとに「新設する老人ホームの入居権があなたに当たりました」と電話がかかります。そして「実は、当社(A社)では老人ホームに入れなくて待っている人がたくさんいまして、その方に名義を譲ってほしいのですが」と言われます。その話を承諾してしまうと、その後、老人ホームの運営会社員を名乗る男から電話があり「名義貸しの行為は違法です!このままだと、裁判になります」などと脅されて、和解金などの名目でお金を騙し取られます。

「そんな手口、自分ならひっかからないよ」

そう思った人に気をつけてほしいのが、しりとり型詐欺です。というのも、この申し出を断った人も詐欺に遭っているからです。

「名義なんか、貸さない!」

断った人には、業者から次のような電話がかかります。

「老人ホームの口座に、あなたの名前以外の名義人(山田)から入金がありました。あなた自身が住むつもりもないのに、他人に名前を貸した行為をしたとなると、あなたは名義貸しという犯罪を行ったことになり、犯罪者として逮捕されます」

しかしこう反論します。

「いいえ、私は名義を貸していません」

しかし詐欺師側からみれば、そんな反論は想定済みで、次のように畳みかけます。

「あなたは、A社の山田という人物と話をしましたよね」
「ええ。ですが、私は、断りました」

すると、業者は「断ったかどうか、その会話内容は、当方では確かめられませんので、警察に相談します」と一方的にいってきます。 警察沙汰でパニックになっているところに、警察を名乗る者から電話がかかります。

「今、A社の山田に犯罪を行っている疑いがかけられています」
いくら「私は関係ありません」と言っても、「あなたも共犯ではないかという嫌疑がかけられており、このままでは、あなたの家に捜査の手が入ります」

すると、弁護士が電話をかけてきて「あなた自身が、正規の手順にのっとってお金を払えば、業者は告訴を取り下げて、この件はなかったことにすると言っていますが、どうしますか?」と言われて、面倒なことに巻き込まれたくない思いから、お金を払ってしまう人が多いのです。

このように「断った」という、しりをうまくつかまれて、次の詐欺が行われます。

自信を利用されることも

なかには、詐欺を撃退した自信を、巧みに突かれるケースもあります。

ある女性のもとに、「医療法人の事業債を高値で買い取りたいので、ぜひとも購入しておいてほしい」という電話がかかってきました。
女性は瞬時に、詐欺だと判断しました。

「これは、詐欺でしょう!」と一喝して、電話を切りました。

女性もこれで詐欺を撃退したと考えたわけですが、詐欺師はしりとりをしてきます。
その後、弁護士という人物から電話がかかります。

「当社は、法律を守って活動している、まっとうな会社です。それにもかかわらず、あなたは、当社の社員を詐欺呼ばわりしました。これは名誉棄損という罪に当たります。あなたを訴えます」

名誉棄損罪、裁判になるという言葉に慌てた女性は、相手の提示する金額を払うことに。もちろん、弁護士は偽物です。

今、給付金詐欺を始めとする詐欺への警戒が様々に呼び掛けられており、それを聞いて「知っているよ」「自分は撃退できるから大丈夫」と思っている人も多いかもしれません。ですが、そうした気持ちを巧みについた「しりとり型詐欺」が、私たちの身近に迫っているのです。

(多田文明)

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