米国大統領選は終盤戦へ突入、選挙を左右する「テレビ討論会」と「オクトーバーサプライズ」とは?

MONEYPLUS / 2020年9月25日 6時0分

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米国大統領選は終盤戦へ突入、選挙を左右する「テレビ討論会」と「オクトーバーサプライズ」とは?

11月3日の米国大統領選まで、あと6週間を切りました。大統領選の結果は、米国株式市場を含む様々な金融市場の変動要因となるため動向が注目されます。

世論調査によると、民主党の大統領候補であるバイデン氏が共和党の大統領候補であるトランプ氏に対し支持率でリードしている状況です。しかし、7月後半以降、トランプ氏が追い上げたことで、その差は縮まりつつあります。

また、一般的に世論調査の回答率は高学歴層が高く、トランプ氏の支持が根強い低学歴層の意見は世論調査に反映されにくい事を考慮すると、現時点における両者の大統領選での勝率はほぼ拮抗しているとみられます。

かかる中、今後の大統領選の行方を占う上で、「テレビ討論会」と「オクトーバーサプライズ」が注目されます。

<写真:ロイター/アフロ>


大統領選を左右する「テレビ討論会」

米国では、政党から指名を受けた大統領候補が、9月下旬から10月下旬にかけて3回のテレビ討論会を実施することが通例となっており、今年は9月29日、10月15日、10月22日に行われる予定です。また、副大統領候補同士の討論会も10月7日に一度のみ開催されます。討論の様子は生中継で放送され、有権者はどちらの候補に投票すべきかの判断材料とします。

特定の政党を支持する有権者と異なり、無党派層の有権者の中には投票先をまだ決めていない人も多くいます。調査会社ユーガブなどが実施した世論調査(調査期間:9月13~15日)によれば、支持政党が無いと答えた人のうち、15%がどちらの候補に投票するかをまだ決めていないと回答しました。そのため、候補者にとって、こうした浮動票を取り込むことができるかが、大統領選で勝利するための鍵となります。

討論会では、政策に関する具体的な言及がなされるかが注目されます。バイデン氏は既に当選時の公約を広範にわたり公表している一方、トランプ氏の公約は、詳細が未だ明らかとなっていない部分が多くあり、討論会の中で政策のヒントが示されるか注視する必要があります。

また、討論会での候補者の立ち振る舞いにも注意が必要でしょう。2000年のテレビ討論会では、当時の民主党候補のゴア氏が、同じく当時の共和党候補であるブッシュ氏の発言中に何度もため息をついたことが、有権者の反感を買い、落選につながったとの見方があります。

討論会ではトランプ氏が、失言の多さが不安視されるバイデン氏から不適切な発言を引き出し、大統領として相応しくないことを印象付けようとする可能性があります。

「オクトーバーサプライズ」に警戒

「オクトーバーサプライズ」とは、国政選挙を直前に控えた10月に、有権者の投票行動を大きく左右する出来事が起きることを指す言葉です。

2016年の大統領選挙では、投票日直前まで当時の民主党候補であるクリントン氏の優勢が報じられていました。しかし、10月下旬にFBIが同氏の私用メール問題の再調査を決定するというサプライズが起きたことで、同氏に対する有権者の不信感が強まり、トランプ氏の逆転を許す一因となりました。

現時点で予想されうるサプライズとして、どのようなことが考えられるでしょうか。一つは、新型コロナウイルスのワクチン開発です。もし大統領選前の開発が叶えば、トランプ氏にとって、有権者へ自身のコロナ対策の成果を示す絶好のアピール材料となるでしょう。

一方、足元ではピークアウトしつつある米国内の新型コロナウイルスの新規感染者数が、再び急拡大に転じた場合は、コロナ禍に対するトランプ氏の責任を追及してきたバイデン氏にとって、追い風となる可能性があります。

コロナ禍という異例の状況が選挙予想をより困難に

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、今回の大統領選では郵便投票が急増する見通しですが、投票の集計作業への影響が懸念されます。郵便投票を集計する際は封筒の開封作業や署名の確認などを行う必要があり、投票所での投票と比べ集計に時間がかかるためです。

加えて、米郵便公社(USPS)は各州の選挙管理当局に対して、郵便投票の配送が遅れる可能性を既に通知しており、受付期日までに郵便投票が選挙管理当局へ届かないおそれがあります。そのため、通常、大統領選の結果は選挙日翌日の未明頃までに判明することが多いですが、両候補者の得票数に大差がつかない場合、選挙結果の確定が大幅に遅延するリスクがあります。

また、各候補者の支持者間で、郵便投票の利用率に大きな差がある点にも留意が必要です。世論調査によると、トランプ氏の支持者のうち、郵便投票を利用する予定の人は3割未満に留まるのに対し、バイデン氏の支持者の中で郵便投票を行うと回答した人は6割弱にものぼります。

そのため、郵便投票の集計が遅延した場合、開票直後にトランプ氏の優勢が報じられたとしても、遅れて集計された郵便投票分でバイデン氏が逆転する可能性も想定しておく必要があるでしょう。

全ての票の集計が完了しても、まだ選挙結果が確定するとは限りません。両候補者の得票数が非常に僅差の場合は、敗北した候補者が集計結果を受け入れず、法廷闘争に発展する可能性があります。

2000年の大統領選では、フロリダ州の再集計をゴア氏が要求したことで、連邦最高裁が再集計の差し止めを命じるまで、1か月以上にわたり大統領選の勝者が決まらない状態が続きました。

圧倒的優位に立つ候補者がいない中で、選挙結果を正しく読み当てることは容易ではありません。加えて、今年はコロナ禍という未曽有の危機の中で行われる異例の選挙となり、選挙予想がより困難となっています。

かかる中、選挙結果が確定するまでの間は、米国株式市場は神経質な相場展開が続く可能性があります。

<文:調査グループ 枝村嘉仁>

(アセットマネジメントOne 執筆班)

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