株主優待を廃止・縮小する企業が続々!逆に拡充する企業も…狙いと株価への影響は?
MONEYPLUS / 2023年11月20日 7時30分

株主優待を廃止・縮小する企業が続々!逆に拡充する企業も…狙いと株価への影響は?
10月下旬から続いている決算発表がピークを迎え、今週末に終了します。3月期決算の企業、約2500社の第2四半期の発表です。今回は今年3月に東京証券取引所(以下、東証)が低PBR (株価純資産倍率)企業に対策を要請したことをきっかけに、配当や株主優待を見直す企業が多く見られます。
株主優待を廃止した日本取引所G、ゲオ、エクシオG、みずほリース
10月26日、日本取引所グループ(8697)は、2025年3月をもって株主優待制度を廃止することを決定しました。日本取引所グループは傘下に東証などを収める総合取引所グループです。こちらの株主優待は個人投資家からとても人気があり、株主優待の内容は毎年3月末時点で100株以上(発表日の終値・2897円)の株主に、保有年数に応じてQUOカードを贈呈というものでした。特に保有期間3年以上で4000円分のQUOカードを受け取れる制度は魅力的で、競合不在の安定的な経営を維持できる企業への投資は個人投資家にとって迷いが少なく重宝されていました。廃止の理由は、「株主の皆様への公平な利益還元のあり方について検討をした結果、配当等による利益還元に集約することにした」と発表しています。
またゲオ(2681)も100株以上を保有する株主にリユース割引券(2000円分)を年2回贈呈していた株主優待を廃止し、「より公平な利益還元を実施する」との理由から増配を発表しました。エクシオグループ(1951)やみずほリース(8425)なども同様の措置を公表しています。
理由は海外投資家への配慮?
前回の記事で日本市場の約6割の参加者は海外投資家であると記述していますが、海外投資家は日本国内に拠点を置いていないのでQUOカードを受け取り、実際に日本で使うことはできません。このような状況の企業は海外投資家から投資先として排除されてしまう可能性が高いのです。企業自体に価値があっても株主優待がデメリットになり、足を引っ張ってしまっては本末転倒であると企業側は考えたのでしょう。“公平な利益還元”を、と謳うのはこのような背景が絡んでいると推測できます。一方で個人投資家は、配当金には20%の税金がかかるのに対し、QUOカードには課税がありません。税金の有無により株の売却を検討される方もいるようです。
優待縮小で株価が急落したアマガサ
アマガサ(3070)は、毎年1月末時点で100株以上を保有する株主に、希望の婦人靴を一つ贈呈していました。また1月末日及び同年の7月末日に継続して200株以上を保有する株主には、婦人靴2つを贈呈という内容でした。消耗品である靴を200株保有で年2回贈られる優待は女性に大人気でした。変更後は保有数に応じて割引クーポン券の贈呈のみとなりました。
11月10日の発表日の終値は259円でしたが週明けの翌営業日は30%を超える大幅下落となりました。これまでの手厚い優待との乖離が大きすぎる点が嫌気された結果とも思えます。これまで企業を応援しつつ恩恵を受けていた人たちの失望感を想像すると今後の株価がどのように推移するのかが気になります。
大成温調は優待を大幅に拡充
一方、大成温調(1904)は株主優待を大幅に拡充することを発表しました。大成温調の株主優待は、毎年3月末時点の株主を対象に実施され、変更前の内容は300株以上を保有する株主に、保有株数に応じてQUOカード3000円~1万円分を贈呈するというものでした。変更後はQUOカードの額面が大幅に増額され、300株以上で3000円分を→1万6000円分(1万2000円増額)、500株以上で5000円分→3万円分(2万5000円増額)、900株以上で1万円分→6万円分(5万円増額)という内容です。これまでは年1回の一括配当でしたが2025年3月期からは年2回となる中間配当を設け、変更後金額の半額のQUOカードを配布する予定です。
発表翌日の11月14日は寄付きから2916円でストップ高となり終日取引は成立しませんでした。11月17日の終値は3600円でした。また同社は決算発表時に2024年3月期の配当予想(期末一括配当)を修正して、前回予想の1株あたり84円→126円に42円の増配をすることと共に、2024年3月期の通期の連結業績予想を上方修正することも発表しました。
株主優待の大幅な拡充と増配を行う理由として、「当社のPBR(株価純資産倍率)は長年1倍を下回って推移していますが、これは、持続的な成長に対する株主様や投資家様の十分なご理解を得られておらず成長期待が不十分なことや、株主還元策への期待値が不足していることに起因するものと認識しております。(中略)こうした状況を改善するため、(中略)株主配当方針の改定および株主優待制度の拡充を行うことと致しました。」としています。
株主優待を新設した西華産業
西華産業(8061)は、毎年3月末時点の株主を対象にQUOカードの株主優待の新設を発表しました。理由として、「株主の皆様の日頃のご支援に感謝するとともに、当社の認知度向上および売買取引活性化を図りより多くの方々に当社株式を保有していただくことを目的としております。」としています。また、同時に増配も発表し、株価は高値圏を維持しています。
各社様々な株主優待の見直しが行われていますが株主優待は個人投資家にとっては株式投資をする上で楽しみの一つでもあります。米国をモデルとした平等な配当のみのドライな対応も悪くはありませんが、日本の文化に浸透している株主優待を継続できる企業は続けて頂きたい気持ちでいます。
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(たけぞう)
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