交通事故を減らせ! ダイハツの緊急自動ブレーキ「スマアシ」が累計300万台に
MōTA / 2020年9月8日 7時50分
ダイハツは、予防安全機能「スマートアシスト」搭載車両の累計販売台数が、2020年8月末時点で300万台を突破したと発表した。今や当たり前になった衝突被害軽減ブレーキ。そこで、内閣府や警察庁が公表しているデータをもとに、今現在の交通死亡事故発生状況と、今後の課題について考えてみよう。
スマートアシスト搭載比率は9割
ダイハツの先進運転支援機能の総称「スマートアシスト」(通称「スマアシ」)は、2012年12月にマイナーチェンジした軽自動車「ムーヴ」に搭載されたのが最初だった。衝突回避支援ブレーキなどの先進デバイスを広く普及させるきっかけとなったのは、2010年のスバル・アイサイト(ver.2)だったが、スマアシは軽自動車で初めて先進運転支援機能を手頃な価格で採用させたことで話題を呼んだ。
以来「スマートアシスト」は「スマートアシストII」「スマートアシストIII」と改良を重ね、性能向上を果たしてきた。最新バージョンのスマートアシストでは、新開発のステレオカメラを採用することで、夜間の歩行者や追従二輪車の検知を可能にした。これは2020年6月に発売した新型「タフト」に標準装備されている(一部機能はオプション)。
現在軽自動車12車種、小型車4車種の計16車種に「スマートアシスト」を搭載し、軽乗用車「コペン」を除くすべての車種に搭載。現在「スマートアシスト」の搭載比率は約9割となっており、ユーザーから好評であることが分かる。
2021年11月以降の新型車には自動ブレーキ義務化
今では軽自動車からスポーツカー、トラックまでもはや当たり前の装備となった、「衝突被害軽減ブレーキ」や「車線逸脱警報装置」などの運転支援装置。近年急速に装着が広がる背景には、安全と安心に対するユーザーの意識が向上していることに加えて、2021年11月以降に発売される国産新型車への義務化が大きく関係している。(継続生産車は2025年12月以降から)
2019年の交通事故死亡者数は過去最低
内閣府の発表によると、2019年の交通事故死亡者数は、統計開始以来もっとも少ない3215人となった。死者数がもっとも多かった1970年の16765人から見れば、約75%減少している。数字だけを見れば、大きく改善しているとはいえ、いまだ3000人以上の命が失われていることも事実だ。
▼ダイハツ タント JNCAP衝突被害軽減ブレーキ実験映像(対歩行者)▼
歩行者および高齢者の事故率は依然として高い
同じく内閣府が公表している平成30年中の交通事故死者数を状態別にみると,歩行中(1,258人,構成率35.6%)が最も多く,次いで自動車乗車中(1,197人,構成率33.9%)。また、改善率をみると、乗車中は20年前に比べ30.2%減少しているが、歩行中は27.3%の減少にとどまる。交差点・高齢者・夜間がキーワード
事故発生の道路形状別では、交差点内がもっとも多く全体の34.3%。交差点付近と合わせると、全体の45.7%を占める。車同士の追突や出会いがしらの事故が多いのはもちろんのこと、歩行者の事故状況では横断中がもっとも多いことからも、やはり交差点では事故が起こりやすいという状況に変わりはない。
交通事故の死者数では、60歳以上の高齢者が全年齢の61.7%を占める。運転中、歩行中ともに他の年齢層に比べ高い割合となっており、高齢者の事故をいかに減らすかということが、重要な課題であることがわかる。さらに、事故の発生時間帯で見ると、“薄暮の時間”と言われる17時台から19時台に発生していることが多く、歩行者対車の事故の場合、昼間に比べおよそ4倍も増加する。(警察庁調べ)
進化する予防安全技術と安全への意識がカギ
以上の状況を加味すると、交通事故を減らすためには、車同士の事故だけじゃなく対歩行者との事故を以下に減らせるかが大きなポイントとなる。そのため、衝突被害軽減ブレーキでは、特に夜間の歩行者検知機能の充実が重要だ。また、歩行中(横断中)の高齢者だけじゃなく、運転中の事故を減らすためには、ペダルの踏み間違えや車線逸脱といった操作ミス防止する運転支援機能の充実が必要だろう。
ダイハツのスマアシ装着車が、累計300万台を突破したことは、車の安心安全な未来にとって歓迎したいニュースだ。特に低価格の軽乗用車や軽トラック・バンに至るまで広く普及させた功績は大きい。このおかげで事故を回避出来たり、救えた命も数知れずあったはずだ。
ただし「スマアシ」と一言で言っても、初期のバージョンでは緊急自動ブレーキの作動可能速度も低く作動範囲も狭い。また夜間の歩行者検知なども出来ない。そしていくら最新バージョンだからと言っても、「アシスト」の名の通りあくまでも運転支援機能であり、過信は禁物だ。ハンドルを握り運転に責任を持つのはドライバー自身であることに変わりないのだ。
悲しい事故を回避するためには、ハンドルを握る私たちすべてが、安全を最優先に運転することがもっとも重要であることを忘れてはならない。
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