こりゃ小型車革命! 超ロングセラーのベリーサは引くほど高級だった【偉大なクルマ】
MōTA / 2020年10月4日 16時0分
コンパクトカーといえば庶民の足というイメージが強く、高級なクルマというのは国産に限って言えばほとんどない。その常識を打ち破ったのがマツダが世に送り出したベリーサだ。カッコいい部類のモデルではないが、その独自の世界観が“小さな高級車”を求める層にヒットした。事実、12年にも及ぶ超ロングセラーモデルであった。今回はそんなマツダ ベリーサの功績を振り返ろう。
驚愕! 高級車超えの車内がスゴい
ベリーサは、CX-5やMAZDA6といった現行ラインアップで採用されている魂動デザインやスカイアクティブテクノロジーといった、いわゆる新世代商品群が登場する遥か前の2004年にデビューしたコンパクトカーだ。
発売当時(今もそうだが)のライバルはといえば、トヨタ ヴィッツやホンダ フィット、さらにはスズキ スイフトといったイメージで、お世辞にも高級と言える内容のモデルは皆無であった。 ところが、ベリーサは高級車の部品を流用するなど、他のモデルとは比べものにならないほど、くつろげる空間を実現していた。マツダのチャンレンジ精神はお見事!
例えば本革シート。今でこそ、当たり前のようにコンパクトカーに設定されているが、当時はまだまだ珍しかったのだ。 本革シートなんて! と思うことなかれ、注目はそのシートにある。コンパクトカーでありながら上級セダンのアテンザ用シート部品を流用するなど、そのデキはホンモノ。昨今のクルマは質より広さで勝負しているのがほとんどだが、ベリーサは小さな高級車にふさわしく、質を優先。実際シートアレンジは便利といえるモノではなかったが、上級車の大柄なシート骨格を流用しているコトもあり、フロントシートはかなり快適なモノであった。さらに、2004年当時は高級車の、それもごく一部にしか採用されていなかったカードキーを全車標準に。今や軽自動車ですらスマートキーという時代で、かつてのようにキーを捻ってエンジンを始動するクルマを探す方が難しいってほど普及しているが、このクラスで標準装備ってのはかなりチャレンジングなコトだったのだ。
12年も売ったが、なぜ今は姿を消した!?
と、ここまでチャレンジングな内容で、出来栄えもそこそこだったのに、なぜ今は売られていないのか? それにはいくつか理由がある。
ひとつは2014年にデビューしたデミオ(現MAZDA2)が、魂動デザイン&スカイアクエィブテクノロジーにより、大幅に質感をアップさせたコト。
さらに最大の理由は、小さな高級車と謳う割に……という点が数多く目立ったという点だ。先ほど、高級車なみのシートや装備と散々持ち上げといて悪いが、パッと見て高級! というわかりやすい高級感や、ベリーサじゃなきゃ! といった“ならでは”の個性が足りなかったと筆者は考える。それに引き換え、現行MAZDA2は高級車顔負けのデキで、ベリーサのネガを払拭したといっても過言ではないほど。いずれにせよ、12年まで売り続けたのは見事なもので、マツダ曰く指名買いが多かったとのこと。ベリーサからベリーサに乗り換える人も少なくなかったとか。間も無くデビューする予定のMX-30もそんな存在になって欲しいモノ。今後もマツダが送り出す新型車に注目だ!
【筆者:MOTA編集部 木村 剛大】
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