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新型ノートの“e-POWER”(イーパワー)ってどんな仕組み!? トヨタやホンダのハイブリッドとも比較してみた

MōTA / 2020年12月1日 6時50分

日産 新型ノート e-POWER [Photo:NISSAN]

国内の日産車で最も売れている、コンパクトカーの「ノート」が2020年11月にフルモデルチェンジを実施した。先代モデルで2016年に追加されたハイブリッドシステムのe-POWER(イー・パワー)が好評だったため、新型ではシステムを刷新し第2世代へと進化を遂げた。動力性能や実燃費などが向上した新型ノートのe-POWERとはどんな特徴を持つ仕組みなのか、カーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎氏が詳しく解説する。

日産 新型ノート e-POWER [Photo:NISSAN]

日産も予想外! 先代ノートの人気を支えたe-POWERとは

他社のハイブリッド普及に対処すべく、急きょつくられたシステムだった

先代ノート e-POWER

2020年11月に発表された3代目の日産 新型ノートで注目されるのは、ハイブリッドシステムのe-POWERが第2世代に進化したことだ。駆動を担当するモーターと制御システムのインバーターが刷新された。

日産のe-POWERは、もともとリーフのEV(電気自動車)システムを活用したハイブリッドシステムで、トヨタを中心にハイブリッド車の普及率が急激に上がっていた国内市場向けに急いで開発された経緯がある。2016年に先代のノートで初めて搭載され、それが日産の予想をも上回るヒット作になった。開発者も「e-POWERの人気がここまで高まるとは思わなかった」という。

そこで日産は改めてe-POWERに力を入れた。新型ノートに搭載されるタイプは第2世代になり、今後は海外にも展開できるように設計を改められている。

プリウスなどのトヨタ式ハイブリッドとはどこが違う!?

トヨタ ヤリスに搭載されるTHS II(トヨタハイブリッドシステムII)

e-POWERの特徴は、電気自動車の駆動用電池をエンジンと燃料タンクに置き換えたメカニズムと考えれば分かりやすい。エンジンは発電機の作動に使われ、ホイールを直接駆動することはない。

その点でトヨタが広く採用するTHS(トヨタ・ハイブリッド・システム)IIは、エンジン、発電用モーター、駆動用モーターを搭載して、エンジンの力がホイールの駆動と発電の両方に使われる。つまりTHS IIはエンジン駆動とモーター駆動を組み合わせて効率を高め、e-POWERはエンジンを発電専用にすることで、高効率な回転域を重点的に使えることがメリットだ。両タイプともに異なる方法で優れた効率を追求している。

新型ノートの第2世代e-POWERはどこがどう変わったのか

加減速がより滑らかに

加速の素早さ、なめらかさ、力強さともに先代e-POWERから進化を遂げている, 先代e-POWERの特徴でもあったワンペダルドライブだが、新型では減速時の唐突感をやわらげた

加速の素早さ、なめらかさ、力強さともに先代e-POWERから進化を遂げている, 先代e-POWERの特徴でもあったワンペダルドライブだが、新型では減速時の唐突感をやわらげた

新型日産ノートの第2世代e-POWERは、最高出力を116馬力、最大トルクは28.6kg-mに高めた。先代型は109馬力/25.9kg-mだったので、新型になって最高出力は6%、最大トルクは10%上乗せされている。

制御の仕方も見直され、アクセルペダルの踏み込み量が大きく素早い時は、機敏な加速を行う。またアクセルペダルを戻し始めると、滑らかさに重点を置く。

特に第2世代e-POWERでは、アクセルペダルを戻した時の制御を洗練させた。

3つのモード切替はシフト右のスイッチで行う

e-POWERには3つの走行モードがあり、ノーマルモードに加えエコモード、スポーツモードが設定されている。特にエコ/スポーツの場合、アクセルペダルを戻すと同時に強めの回生充電を行って速度を積極的に下げるが、従来型では減速の仕方が強すぎた。乗員に大きめのショックが伝わり、ドライバーが意図した場所よりも手前で停車することもあった。

新型ノートの第2世代e-POWERは減速を滑らかにして、速度が唐突に下がらないよう配慮している。

エコ/スポーツモードにもクリープ現象を設定

エコ/スポーツモードにクリープ現象を設定したことも第2世代e-POWERの特徴だ。

ATレバーをDレンジに入れてブレーキペダルを緩めると、従来のAT車と同様に徐行を開始する。この現象を利用すると、低速での車庫入れや駐車位置の調節などがしやすい。先代型ノート e-POWERのクリープ現象はノーマルモードだけだったが、新型ではすべてのモードに拡大採用した。

発電用エンジンの動作に配慮し導入された世界初の機構とは

加減速の感覚とエンジン回転音の差による違和感を軽減

小型軽量化された新型ノート e-POWERのインバーター

モーター出力をコントロールするインバーターについては、新たに設計しなおされている。先代型に比べるとサイズが40%小さくなった。重量も30%軽い。

発電機の作動に使われるエンジンも、型式は以前と同じ直列3気筒・1.2リッターのHR12DE型だが、設計は大幅に見直された。

日産では、e-POWERの発電用エンジンとしては2000回転と2375回転の効率が最も優れているという。第2世代e-POWERではこの回転域を多用するチューニングを施した。しかし速度や加速感に関わらず2000回転と2375回転を維持すると、ドライバーや乗員に違和感が生じてしまう。そこで綿密な制御を行った。

新型ノート e-POWERで初採用された発電制御の仕組み

そのひとつが、世界初とされる路面状態に応じた発電制御だ。

路面状態と速度から、ロードノイズ(路上をタイヤが転がる時に発する騒音)が大きいと判断された時は、エンジンを積極的に作動させてリチウムイオン電池に充電を行う。発電するエンジン音がロードノイズによって目立たなくなるからだ。

逆に路面が滑らかでロードノイズが小さい時は、エンジンもなるべく停止させて、充電された電気で走る。そうすればノイズが目立たず快適性が向上する。リチウムイオン電池の制御も変更され、滑らかな路面では、充電量が大幅に下がるまで充電を控えることも可能にした。

このようにエンジンの作動を伴う充電は、集中的に行われ、モーターのみの作動による静かな走りを積極的に楽しめる。新しいe-POWERも、従来と同じハイブリッドだが、運転感覚や快適性を電気自動車に近づけた。

日産 新型ノート e-POWER[2020年12月23日発売・3代目] [撮影:小林 岳夫]

e-POWERの新型4WDには高出力な後輪用モーターを新採用

写真はFF(前輪駆動)モデルの新型ノート e-POWER

新型ノートの後輪をモーターで駆動する4WDモデルは2020年12月に発表され、2021年2月に納車を伴う発売となる。2020年11月24日の新型ノート発表時点では、まだ価格やグレード体系などは発表されていないが、こちらも従来型から大きく進化している。

先代型ノート e-POWERの4WDでは、後輪に装着されたモーターの最高出力は4.8馬力、最大トルクは1.5kg-mであった。低速で雪上など滑りやすい路面での坂道発進を助ける程度の性能だった。

新型ノート e-POWERの4WDモデルが採用する後輪のモーターは、最高出力を68馬力に強化した。走破力が高まり、後輪のモーターも回生を行って充電するから、燃費の面でも有利になることが期待される。

エンジンはあくまで発電専用! 直接の駆動をさせない理由とは

新型ノート e-POWERのエンジン(左), 新型ノートは全車がe-POWERモデル専用となっている

新型ノート e-POWERのエンジン(左), 新型ノートは全車がe-POWERモデル専用となっている

その一方でe-POWERの基本メカニズムは従来と変わらず、第2世代e-POWERでも高速時にエンジンがホイールを直接駆動する機能はない。

ホンダ フィットやインサイトなどが搭載するe:HEV(イー・エッチ・イーブイ)は、以前からこの機能を備えて高速巡航時の燃費を節約するが、e-POWERは第2世代でも採用されなかった。ブレーキペダルを踏んだ時に、回生力を強めるブレーキ協調制御も行わない。

e-POWERの基本的な機能は、第2世代になってもシンプルだ。その理由を開発者に尋ねると、以下のように返答された。

「エンジンと駆動輪を直結させる機能があると、巡航時の燃費節約には有利だが、本格的に効果が高まるのは時速160キロ前後の高速領域だ。新型ノートは基本的に国内向けで、左ハンドル仕様も用意していない。走行速度が低い状態で使われるから、直結させる機能も採用しなかった。また多くのお客様がエコやスポーツモードで走行しており、回生力が強いため、市街地ではフットブレーキはほとんど使われない。そこで協調制御も用意しなかった」。

直接駆動も行うホンダ式に比べ製造コストや軽量化の面でも有利

コスト面ではどうなのか。

「エンジンと駆動輪を直結させる機能、ブレーキの協調制御を採用しなければ、その分だけコストも下がる。スペースが節約され、重量も軽くなる。インバーターを新設計にして、小さく、軽く造った背景にもコストの低減がある」。

つまりe-POWERを第2世代に進化させた理由として、低コスト化もあるわけだ。メーカーにとっては、このメリットが一番の理由かも知れない。

ノート e-POWERをトヨタ ヤリスやホンダ フィットと比較

動力性能&比較

■日産 新型ノート e-POWER X(FF)

システム最高出力:116馬力/車両重量:1220kg/WLTCモード燃費:28.4km/L

■トヨタ ヤリス ハイブリッド G(FF)

システム最高出力:116馬力/車両重量:1060kg/WLTCモード燃費:35.8km/L

■ホンダ フィット e:HEV HOME(FF)

システム最高出力:109馬力/車両重量:1180kg/WLTCモード燃費:28.8km/L

WLTCモード燃費ではヤリスが圧勝

トヨタ ヤリス, ホンダ フィット

トヨタ ヤリス, ホンダ フィット

動力性能はほぼ横並びだが、車両重量はトヨタ ヤリス ハイブリッドが圧倒的に軽い。後席や荷室が狭い代わりに、車両重量はノートを160kg、フィットを120kg下まわる。

ヤリス ハイブリッドは、新開発されたTNGAプラットフォームによる軽量化と、新しいハイブリッドシステムの相乗効果により、WLTCモード燃費も35.8km/Lと突出した数値だ。WLTCモード燃費をベースに計算すると、ヤリス ハイブリッドの燃料代は、ノートの79%で済む。

ちなみにヤリスでは、1.5リッターノーマルエンジン車のWLTCモード燃費も、Gが21.4km/Lに収まる。この数値自体、ハイブリッドに近い。

ヤリスのハイブリッドシステムは、従来からのTHS IIを進化させたものだ。ノートやフィットのように、エンジンは主に発電、駆動はモーターという役割分担ではないが(エンジンも通常の走行を含めて直接駆動を行う)、軽量や摩擦抵抗の軽減などによって優れた燃費数値を達成した。

コスパではフィット優勢! 3者3様の運転感覚も実際に試乗して確かめたい

価格は装備の違いを補正すると、ノートとヤリスはほぼ横並びで、フィットは少し割安だ。運転感覚の違いも含めて、ヤリス、フィット、そして新型ノートの3車は、実際にディーラーで乗り比べて判断すると良い。

[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:小林 岳夫・NISSAN]

日産 新型ノート X[FF/ハイブリッド] 主要諸元(スペック)

ボディサイズ:全長4045mm×全幅1695mm×全高1505mm/ホイールベース:2580mm/車両重量:1220kg/乗車定員:5名/エンジン種類:HR12DE型 直列3気筒 ガソリン DOHC(発電用)/総排気量:1198cc/最高出力:82ps(60kW)/6000rpm/最大トルク:10.5kg-m(103Nm)/4800rpm/使用燃料:無鉛レギュラーガソリン/駆動方式:FF(前輪駆動)/フロントモーター種類:交流同期電動機/フロントモーター最高出力:116ps(85kW)/2900-10341rpm/フロントモーター最大トルク:28.6kg-m(280Nm)/0-2900rpm/動力用主電池:リチウムイオン電池/タイヤサイズ:185/65R16/燃料消費率:28.4km/L[WLTCモード燃費]/メーカー希望小売価格:218万6800円(消費税込)

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