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被災地に“電気を取り出せる”PHEVをすぐさま派遣! 三菱の災害支援プロジェクトが超頼もしい理由

MōTA / 2021年4月19日 19時0分

三菱 新型エクリプスクロスPHEV

昨今なにかと話題の電動車。とくに国産の電動モデルの魅力は、クルマから電力を取り出せることにある。そのメリットを災害時に生かすべく、三菱は全国の自治体と協定を結び、災害発生時に即座に配車できる取り組みを行なっている。今回はプロジェクト責任者に、これから三菱が目指す目標、そして改めてアウトランダーPHEVやエクリプスクロスPHEVの魅力を聞いてみた。すると三菱の電動車はもしや最強の救世主? と思える回答が! 果たしてどんな内容なのか!?

三菱 新型エクリプスクロスPHEV

東日本大震災がキッカケでクルマの機能を見直し! インフラ復旧まで電気自動車の電気を活用する機能を追加

東日本大震災で電気自動車を提供。そこでニーズを発掘

三菱自動車工業は、2019年から自然災害にあった自治体へプラグインハイブリッド車(PHEV)を派遣し、救援する協定を結ぶ活動を開始。2021年2月にその数が100の自治体に達した。22年度に全国の自治体と協定を結ぶことを目指している。

電気自動車(EV)やPHEVなど、大容量のリチウムイオンバッテリーを車載するクルマが、被災した地域で電力を提供する発想は、2011年の東日本大震災がキッカケとなったのだ。

震災当時、高速道路を含め道路が寸断されるなどによって、ガソリンスタンドへタンクローリーで燃料を運搬することが難しくなり、三菱と日産は、EVを被災地へ派遣。三菱自からは約90台の三菱 i-MiEVが提供された。

しかし当時は、EVから電力を外部へ提供できる機能はまだ装備されていなかった。

当時の様子を、三菱自動車工業 国内営業本部の君島 英紀 本部長補佐 兼 国内地区統括部長は「アイミーブ(i-MiEV)が現地で人や物資の運搬で使われるなか、被災した方から『クルマに電気があるなら、それを使えないだろうか』というお話がありました。シガーライターから電気を採りだす程度はできましたが、現在のような電力を採りだすことも考慮した機能を装備することまでは行っていませんでした」と振り返る。

2009年に世界ではじめてEVを市販するだけでも大きな事業の挑戦だったのだ。

急遽オプションを開発! クルマの電気を取り出せるように

東日本大震災で被災者の声を参考に、すぐさま商品化したミーブパワーボックス。クルマに繋げるだけで電気を取り出せるとあって、注目度は抜群。この経験からのちに登場したアウトランダーPHEVなどには車両にあらかじめ装備している

震災での経験を踏まえ、さっそく開発部署で電気を採りだす機能性の開発に取り掛かり、誕生したのがだ。

「約15万円のオプション品として販売し、初年度に1000台ほど売れました。企業などで買っていただくことが多かったと思いますが、震災の経験から、こうした必要性があるとの認識を得ました」と、先述の君島部長は振り返る。

2012年には、i-MiEVの電気駆動系を活用したアウトランダーPHEVが発売となり、1500Wまで電気を使えるコンセントや、急速充電口を持つことにより、車両から外部へ電力供給を行える装備をあらかじめ車両が持つようになった。

最大のネガはすぐにクルマを派遣できないこと。それを解決する協定をスタート

その後、2016年に熊本地震があり、翌17年には九州北部、18年に西日本豪雨、19年には北海道東胆振地震、同年に台風15号(令和元年房総半島台風)による千葉県の大停電など、甚大な自然災害が毎年のように起きた。その都度、三菱自はPHEVを貸し出し、支援を行ってきた。

東日本大震災を皮切りに、三菱はこれまで多くの電動モデルを被災地に派遣してきた。アウトランダーPHEVがデビューした2013年以降の実績をみると、その数は右肩上がりに伸びている。実際、被災地での活躍を目の当たりにしたユーザーが買い求めるという動きも数多く存在したという

しかしまだ組織だった体制は整っておらず、その都度対応に追われ、数日で車両を支援に向かわせることができたこともあれば、1週間ほどを要するときもあった。

そもそも支援を行うにも、どのような関係筋と連絡を取ればいいのか。自治体は、何に困って、どのような支援を求めているのかという具体的な状況把握が難しかった。そうした経緯を踏まえ、自治体との連携という事前の協定を進めようとの動きにつながったのである。

社員発案で2012年にスタートするも機能せず……

国内営業本部国内地区統括部の味岡由子氏は「社内で、毎年“問題解決シート”による発表を社員が実施しています。そこではじめて、2012年に京都府と協定を結んでいたにもかかわらず、京都府での豪雨災害の際に機能していなかったことが明らかになったのです。その理由は、協定のことを知る自治体の担当者が異動していたため、支援につながらなかったとのことでした。そのことを知る社員から、せっかく結んだ協定がきちんと機能するようにしたほうがいいのではないかと、問題解決の提案があったのです」ここから、災害時協力協定が本格稼働する。

三菱と販売会社、そして地方自治体がタッグ! 緊急時すぐに対応できる体制を構築

本社の国内営業本部は事務局として販売会社との連携を担い、総務渉外部が自治体と話をする体制を構築。三菱自の本社と、各地域の販売会社、そして自治体の三者からなる協定を結ぶ動きが2019年にはじまった。被災地へPHEVを迅速に向かわせられる体制が整ったのである。その数が、このほど100に達したのだ。

19年に発生した北海道東胆振地震の際、北海道に赴任していた君島氏。その後アウトランダーPHEVに注目が集まったことを肌で感じたという。事実北海道の地元新聞社は社用車としてアウトランダーPHEVを導入するケースもあったそうだ

君島部長は「自然災害にあわれた自治体や、その近隣の方は、防災や災害からの復旧に対する意識や認識も高い。それに伴って締結の話がどんどん進んで、逆に我々の対応が追い付かないような場面もあります。一方、直接的な災害の経験がない地域では、関心がないわけではありませんが、実感を伴わないので時間を要することもあります。また社内でも、支援を無償で行っていますから、それがどのような利益につながるのかといった思いもなくはなく、それに対し企業活動としての意味を共有化する必要があると考えています」

全国の販売店にPHEVが揃うよう準備をしているが、災害支援に出ているときは営業のため実車を見てもらったり試乗を行ったりすることができなくなるのも事実だ。ほかにも当初は、災害という非常事態を話題にすること自体への配慮もあったようだ。

しかし近年は、自然災害の甚大化が特別な状況ではなくなり、社会貢献という視点での理解が進みつつあるという。

全国600台のPHEVを配備! すぐに対応できる体制に

 

災害支援の手順は、災害を受けた自治体から要請があると、地元の販売会社からPHEVを支援へ向かわせる。逆に三菱自から被災地へ問い合わせする場合も。支援車両の台数が足りない場合は、周辺地域の車両を応援に向かわせることもあるという。このように、災害にあった地域の販売会社を中心とした活動が基本だ。

そのうえで、より多くの台数が必要な事態に対しては、全国に500~600台のPHEVがあるため、本社からの応援を含め自治体の要請に応じて支援を行う体制を整えている。

使い方を事前にレクチャー! 有事の際もしっかり機能する取り組みがアツい

被災した現場では、PHEVからの電力供給の段取りを理解していないとせっかくの機能を利用できなくなる。

君島部長は、その準備として「自治体との締結式の際に、操作や機能の確認も行う。そこで自治体職員の方や、ときには首長の方も参加され、直接手順を確認していただけます。また地元の販売店の社員も、そうした現場で説明を行うために準備の段階で具体的な理解を深めます。本社からも、順番に締結式へ赴くなどにより、一緒に学んでいきます」と、説明する。

三菱車を知るキッカケに! 実際公用車として採用する例も続出

電動車ならではの機能といえば1500wまで使用できるACコンセントだ。機能を理解していても実際に作動する場面を目の当たりにすると「本当に使えるんだ!」と改めて理解する人も多いという

そして味岡氏は、「実際に体験していただくと“簡単に電子レンジが使える!”といった驚きのご感想を戴くこともあり、地元の媒体に実体験に基づいた記事を掲載していただけています」と、付け加える。

無償の支援で何が三菱自の利益につながるかとの懸念に対しても、実施に際しての機能説明や実演などを通じ、販売店での営業に話題として役立つことも。あるいは自治体から、災害に備え自ら所有したいと注文が入ることもあるという。

目標は全自治体との締結! 三菱車の魅力を訴求するメリットも

ところで全国には自治体が1700ほどある。現在100の自治体との締結が済んだが、全自治体と締結するまでの道のりは長そうだ。

「全国の自治体との締結という目標は高いですが、まずは、まだ締結できていない都道府県がありますので、その自治体との締結を進めることで全国へという一歩にしていきたいと考えています。弊社のPHEVは、アウトランダーのほかにエクリプスクロスも加わりましたので、PHEVの魅力や、役立つ姿をもっと伝えていきたいと思います」と、君島部長は熱く語る。

アウトランダーPHEVに続いてプラグインハイブリッド第二弾モデルのエクリプスクロスPHEVが2020年12月に追加。今後も続々とPHEVモデルを投入し、三菱=PHEVという図式を磐石なモノにする!

そのうえで「本社チームとして、PHEVの車載電力を使うイベント開催も手掛けたいと考え、準備を進めているところです。いろいろな催しで電気が必要な場面は多く、そこでは小型発電機が使われていますが、PHEVから電力供給すればより静かに電気を使えます。そうした活動を、販売会社と進めています」と、続ける。

味岡氏は「協定の締結をきっかけに、販売会社と自治体の距離が縮まるのは事実です。そして地元との関係がより深まり、PHEVをより理解してもらうよい機会につなげていきたいです。またSUVですから、災害で道路状況が悪化した場所でも走れますので、まさに最強のクルマといえます。さまざまな場面で、三菱のPHEVを知っていただくことが大事だと思っています」と、話す。

これをキッカケに三菱車だけの魅力を訴求

実際、これまで災害とはあまり関係なかった自治体との話し合いの中では、給電機能を実演することで「こういう時代になった」と、改めて実感してもらうことも多いようだ。

気候変動による自然災害の甚大化や、大規模地震の経験を通じ、国土の強靭化がすでにいわれはじめている。その一役を担えるのが、PHEVでありEVなのである。

環境にやさしいだけじゃない! 電動車は頼もしい存在だった

家からクルマへ。そしてクルマから家へ電気を相互に送り合うシステム、ヴィークルトゥーホームも展開している。例えばアウトランダーPHEV一台あれば停電していてもx日間の電力は賄えるのだ

三菱自では、“電動ドライブステーション”の取り組みも行っている。災害時に電動車両が給電などの支援を行えるのはもちろんだが、PHEVやEVは暮らしのなかで太陽光発電との連携により、CO2ゼロの電力による充電や、夜間割引契約などを活用した電気代の節約などができる。

暮らしの快適や安心につながるのが、PHEVやEVによる給電機能であり、駐車しているときも役立つのがPHEVとEVなのである。

モーター走行による排出ガスゼロの環境車という利点に加え、快い暮らしをもたらす次世代車がPHEVでありEVなのである。

【筆者:御堀 直嗣】

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