販売台数を大幅に落とした「スズキ」と絶好調な「トヨタ」! 明暗を分けた2021年6月度の新車販売状況を解説
MōTA / 2021年7月10日 10時0分
2021(令和3)年6月度の乗用車販売台数ランキングが、自販連(一般社団法人 日本自動車販売協会連合会)と全軽自協(一般社団法人 全国軽自動車協会連合会)から発表された。スズキは前月5月に比べ大幅に販売台数を落とし、6月はメーカー順位を2位から4位に落とした。いっぽうでトヨタはコロナ禍の影響を脱却したかのような好調ぶり。この対象的な2社の販売状況について、国内の自動車販売事情に精通するカーライフジャーナリストの渡辺 陽一郎氏が解説する。
前年同月比で5.3%の伸びを示した国内新車販売、コロナ禍のマイナス状態から脱却の兆しも
2021年6月の国内販売は、前年に比べて5.3%増加した。特に伸び率が大きいのは小型/普通車で、前年に比べて9.2%増えた。逆に軽自動車は1.2%減っている。
この背景には、前年(2020年6月)の売れ方も影響している。前年の国内販売はコロナ禍によって大きく落ち込み、特に小型/普通車は、2019年6月に比べて26%減った。2021年はこの大幅なマイナス状態を回復してきたから、9.2%増えている。一方、軽自動車は前年の減少が17.3%と比較的小さかったこともあり、2021年6月もマイナスを引きずった。
2021年6月の国内メーカーランキングは1位トヨタ、2位ダイハツ、3位ホンダ
2021年6月の国内販売状況をメーカー別に見ると、伸び率が大きいのはダイハツだ。前年に比べて23%増えた。トヨタ(レクサスを含む)も17.5%増加している。逆に日産は22.6%減った。小型/普通車は、2020年12月に発売された新型ノートの好調などもあって3.5%の減少に留めたが、軽自動車はマイナス43.2%に達している。スズキも18.8%減った。
2021年6月における日本車メーカーの国内販売ランキング順位は、1位:トヨタ、2位:ダイハツ、3位:ホンダ、4位スズキ、5位:日産、6位:マツダ、7位:スバル、8位:三菱と続く。
国内販売ランキングで前月2位だったスズキは4位へ一気に転落 「ワゴンR」など主力車種の低迷が影響
2021年6月の注目点は、スズキの後退だ。前月2021年5月のスズキは、トヨタに次ぐ2位だったが、6月は前述の通りダイハツとホンダに抜かれて4位まで下がった。スズキの減少が目立つ車種は、軽自動車ではワゴンRだ。2021年6月の売れ行きは、前年の43%だから半数以下に留まった。スペーシアも前年の79%で、商用車では軽トラックのキャリイが前年の62%と低迷している。
スズキの小型車も、2020年の末に登場したソリオの需要が落ち着き、スイフトは前年の半数近くまで減った。半導体の不足なども影響して、売れ筋車種の減少が目立ち、販売台数とランキング順位を下げている。新型車攻勢が続くトヨタは絶好調! ヴォクシー、ノアなど既存車種も安定した売れ行きで底支えする
軽自動車を除いたシェア率ではトヨタ・レクサス車が52%に!
逆にトヨタでは、2020年に登場した設計の新しい車種の好調が全体の台数を押し上げた。ヤリス、ヤリスクロス、ハリアーなどだ。以前から用意されていたアルファードやヴォクシー、ノアも好調に売れている。2020年から2021年は、各メーカーともコロナ禍で苦戦するが、トヨタは新型車の投入で大幅な落ち込みを抑えている。クルマの開発には最短でも2年を要するから、コロナ禍と売れ筋になる新型車の発売が偶然に重なっただけだが、トヨタは結果的に大幅なマイナスになるのを防いだ。
軽自動車を含めたトヨタ・レクサスのシェア率は35%に落ちる
そのために小型/普通車市場に占めるトヨタ(レクサス)車の比率は、2021年6月で見ると52%に達した。しかし軽自動車まで含めた国内市場全体では、トヨタの比率は35%まで下がる。その理由は、今では各メーカーともに、軽自動車の売れ行きを増やしているからだ。ホンダでは2021年6月に国内で売られた新車の内、軽自動車が57%を占めた。日産も2021年6月には軽自動車を減らしたものの、国内で新車として売られた日産車の35%が軽自動車であった。
その点でトヨタは、一部のOEM車を除くと軽自動車を扱わない。主力の小型/普通車で売れ行きを伸ばし、軽自動車を除くシェアは50%を超えた。今の国内市場では、軽自動車の販売比率が36~39%に達するため、このカテゴリーを含めるか否かでトヨタのシェアは激変するのだ。以上のように2021年6月の国内販売では、トヨタとダイハツが好調で、スズキ、ホンダ、日産は伸び悩んでいる。マツダ、スバル、三菱は通常通りだ。
[筆者:渡辺 陽一郎(カーライフジャーナリスト)]
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