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コンパクトカー人気の中、ホンダ フィットだけ元気なし! 初代の斬新なコンセプトもデビュー20年で役目を果たしたか

MōTA / 2021年9月9日 19時30分

ホンダ 新型フィット e:HEV HOME 20周年 特別仕様車(左)「Maison(メゾン)」/(右)「Casa(カーサ)」[2021年6月4日(金)発売] [Photo:小林 岳夫]

ホンダのコンパクトカー「フィット」の売れ行きが低迷したままだ。2020年2月にフルモデルチェンジしたフィットだが、その後相次いで登場したライバル車「トヨタ ヤリス」や「日産 ノート」に比べると、精彩を欠く状況にある。最新の2021年8月度では4122台を販売し、ランキングは13位。前年同月対比で57.6%というから深刻だ。初代のデビューから20周年を迎えたホンダ フィットの販売状況と今後を占う。

ホンダ 新型フィット e:HEV HOME 20周年 特別仕様車(左)「Maison(メゾン)」/(右)「Casa(カーサ)」[2021年6月4日(金)発売] [Photo:小林 岳夫]

8月の新車ランキングは上位をコンパクトカー勢が独占

2021年8月度の新車販売台数が自販連(一般社団法人 日本自動車販売協会連合会)から発表された。

1位は「トヨタ ヤリス」シリーズ(1万8476台/前年同月比155.8%)。このうちコンパクトカー「ヤリス」はおよそ半分を占める。2位はコンパクトハイトワゴン「トヨタ ルーミー」(1万347台/184.2%)。3位は7月にフルモデルチェンジしたばかりの「トヨタ アクア」(9442台/247.6%)。次いで4位に「日産 ノート」(7157台/155.7%)と続く。このように8月度はコンパクトカー人気の高さが際立った。

しかしコンパクトカー市場が活況だという中で、なぜかホンダのコンパクトカー「フィット」は低迷している。フィットは2020年2月にフルモデルチェンジしたばかりで、古いモデルという訳ではない。

しかし2021年8月の販売ランキングは13位。前年同月比では57.6&というから相当に深刻な状況にある。

初代フィットの斬新なコンセプトはコンパクトカーの世界を一変させた

初代「ホンダ フィット」

ホンダのフィットは、2001年6月に初代モデルが誕生した。

初代フィットは、コンパクトなサイズの中に上位モデルを凌ぐほどの広い室内空間を確保し、十分な性能と低燃費を両立。これをスタイリッシュなデザインでまとめあげた。もちろんコンパクトカーだから価格も手頃な設定としている。

「フィット1台があればいい」と上位車種のユーザーもこぞって乗り換えた

ガソリンタンクを前席床下に配した斬新なセンタータンクレイアウトにより、広大な後席と荷室スペースを確保した初代フィット

このように初代フィットは、乗用車に求められるひと通りの要素を低価格で実現させた、実に優秀なマルチプレーヤーだったのだ。

シビックやアコードといった同社の上位クラスユーザーにも「これ1台で十分だ」と言わせ、他社も含め多くのダウンサイジングユーザーも集めるなど、従来のヒエラルキーを壊すクラスレスなところもフィットの魅力だった。

大ヒット作となった初代フィットはデビュー翌年の2002年、それまで年間販売ランキング1位を33年に渡り続けてきた「トヨタ カローラ」の記録を破っている。

かつてフィットが果たした役割も、今や軽自動車N-BOXへと移行してしまった

初代のコンセプトを継承しながら、ハイブリッドモデルを追加するなど新たな進化を遂げた2代目「フィット」

4世代続いたフィットシリーズは、この初代フィットの“マルチプレーヤー”な性格を継承しながら発展を続けてきた。2021年6月で国内累計販売台数は282万台を超え、誕生20周年を迎えている。

しかし20年の間に、ユーザーの需要は大きく変化し、軽自動車ジャンルが急速に発展を遂げている。現在国内の新車販売において4割近くが軽自動車を占めるようになっているほどだ。

軽自動車は技術の進歩により、低燃費と動力性能を十分に両立させた。従来はセカンドカー需要が主だった軽自動車も、背の高い軽スーパーハイトワゴンが普及し広い室内を確保出来るようになったことで、ファーストカーとして活用することも一般化した。

1台にオールインワン! フィットが創り上げたマルチプレーヤーのポジションは軽のN-BOXへ移行した

かつて初代フィットが創り上げたポジションには今、軽スーパーハイトワゴン「N-BOX」が位置している

かつてフィットが「これ1台で十分」と言わせたポジションには今、軽スーパーハイトワゴンが位置しているという訳だ。そして発展著しい軽自動車の中でも、ここ5年間に渡り不動の人気No.1を維持し続けているのが他ならぬ「ホンダ N-BOX」なのである。

クラスレスな魅力で人気を博したマルチプレーヤー、フィットの役割も、今や軽自動車のN-BOXにとって代わられたのだ。

20周年を迎えたフィットはコンセプトそのものを見直す時期がやって来た

4代目「ホンダ フィット」

いまコンパクトカーユーザーの年齢層は年々上昇の一途を辿り、メインは子離れ層の50代以上だという。これはホンダを含め、各自動車メーカーから同様の答えが返ってくる。

フィット最大のライバル車であるトヨタのヤリスは、主要顧客層のニーズに合わせ、前席重視の設計と割り切った。マルチプレーヤーな性格は、若者向けコンパクトSUVのヤリスクロスや、スライドドアを備えるルーミーに委ね、見事にすみ分けを図っている。

日産は新型ノートをハイブリッド専用車に変更し高級路線へシフトし、やはり50代以上の顧客層へ訴求。いっぽうでN-BOX対抗車の軽スーパーハイトワゴン「ルークス」を2020年に登場させ、需要に応える。

他社が時代の変化を敏感に感じ取る中で、フィットだけは4世代に渡り「変わらなかった」

世間をアッと言わせた初代フィットのように、再び僕らを驚かせて欲しい!

そんな中でホンダ フィットは、初代が確立した“マルチプレーヤー”というコンセプトを20年・4世代に渡り維持したまま変わらなかった。

そして肝心のポジションは、後発のN-BOXにすっかり奪われてしまったのだ。厳しいようだがこれが現実である。

20周年を迎えたフィットだが、コンセプトそのものを見直す時期がやって来た。20年前に世間をアッと言わせたように、再び新たなポジションを創り上げる日が来ることを期待したい。

[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル/撮影:小林 岳夫・Honda]

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