【ヴェゼルVS新型カローラ クロス比較】 2列目シートの快適性ならヴェゼル、荷室の広さで選ぶなら新型カローラ クロスだ!
MōTA / 2021年12月5日 11時0分
空前のアウトドア&SUVブームの中、これから買うならアウトドアに使え、走破性にも優れたSUV!! と考えている人も多いはず。国産SUVの中でも、室内空間、ラゲッジスペースに余裕があり、なおかつ走りが良く、快適で、燃費性能にも優れた最新のSUVと言えば、ハイブリッドモデルも揃えるホンダ ヴェゼルとトヨタ 新型カローラ クロスが代表格となるはずだ。 ここでは、フル乗車時でも乗員全員が快適に移動できるところにスポットを当て、ヴェゼルと新型カローラ クロスの後席乗降性と居住性、ラゲッジを比較していこう。
ヴェゼルの後席は膝まわり空間も高さも十分だ
まず、ヴェゼルの乗降性について。ここでのポイントはサイドシルの高さ、リヤドアを全開にしたときのドア内張りから後席前角までの直線距離=アクセス幅だ。
ヴェゼルのサイドシル地上高は450mm。アクセス幅は265mm。シート地上高660mm。筆者の身長172cm、体重65kgの体形なら、比較的スムーズに乗り降りできる。また、シートの着座、立ち上がり性の良否にかかわる、フロアからシート先端までの高さ=ヒール段差は340mmとまずまずの高さ。 乗り込んでから腰を落とす距離が比較的少なく、また椅子感覚での立ち上がり性も平均点以上(ヒール段差が小さい=低いと、ローソファから立ち上がるのが大変なように、立ち上がり性は悪い)。頭上方向のスペースは115mm(PLaYのパノラマルーフ付きは100mm)と特段の余裕はないものの、膝周り空間は余裕たっぷり、足がゆったり組めるほどの290mm!! (上級のCR-Vが最大280mm)に達するのだから広々。
また、後席フロアは中央にほんの少しの出っ張りがあるものの、トンネルがドカーンとあるわけではないから、後席の中央に座っても、足の置き場には困らないだろう。
シートサイズはクッション長490mm(前席と同じ)、幅1260mm、シートバック高620mmと、3人掛けでも無理のない幅、太もも裏がしっかりシートに密着できるクッション長の持ち主だ。総じて、2名、3名の着座でも快適である。低全高のため頭上方向にあまり余裕はないものの、実際の走行シーンでは、視線が前に向くため、よほどの高身長、あるいは山高帽をかぶっていない限り、頭上方向の窮屈さは感じないはずである。
新型カローラ クロスはスムースな乗り降りが可能だ
一方、新型カローラ クロスはどうか。サイドシル地上高425mm。アクセス幅280mm。シート地上高640mm。
つまり、ヴェゼルよりサイドシルが15mm低く、アクセス幅が15mm広く、またシート地上高が20mm低いから、標準体型の人なら、よりスムースに乗り降りできるということになりそうだ(ヴェゼルでも乗り降りは十分に楽だが)。また、フロアからシート先端までの高さ=ヒール段差は350mmとよりアップライト。乗り込んでから腰を落とす距離が少なく、椅子感覚での立ち上がり性がいい点ではヴェゼル同等、わずかにリードという感じだろうか。
差がつくのは筆者が後席に着座した時の広さ感で、頭上に90mm(サンルーフ装着車)、膝周りに160mmだから、とくに膝周りのゆとりではヴェゼルに敵わない。また、後席フロア中央にそれなりの出っ張り(トンネル)があり、後席中央に座った時の足の置き場の自由度でもヴェゼルに譲ることになる。シートサイズはクッション長480mm(前席は500mm)、幅1270mm、シートバック高640mmと、幅、シートバック高でヴェゼルを僅かにリードする。
ヴェゼルは室内空間、新型カローラ クロスはラゲッジスペースにこだわっている
こうしていろいろな数値を並べてきたが、乗車中、走行中の後席の居心地に関しては、やはり後席膝周り空間がモノを言う。その点ではヴェゼル圧倒……なのだが、両車はパッケージングの考え方が異なり、ホンダ独創のセンタータンクレイアウトを採用するヴェゼルは後席、というか室内空間優先(シートアレンジの巧みさも)。新型カローラ クロスは後席の膝周り空間よりも、SUVとしてラゲッジスペースの奥行きを(RAV4もそう)にこだわっているのである。
実際、ラゲッジスペースの奥行きはヴェゼルが755mm、新型カローラ クロスが830mmと、大きな差がある(フロア幅も新型カローラ クロスがリード)。
後席の広さで選ぶならヴェゼルだが荷室を優先させるなら新型カローラ クロスだ
よって、後席の広さ、快適感で選ぶならヴェゼル。しかし、後席はめったに使わない、あるいは、アウトドアへは2人、または小さな子供を後席に乗せて行く……というなら、荷物の積載力で上回る新型カローラ クロスの使い勝手が優位に立つかもしれない。
もちろん、ヴェゼルのラゲッジスペースが狭いわけではないので、そのあたりはそれぞれの使い方の優先順位で決めればいいだろう。いずれにしても、後席の広さだけに注目せず、アウトドアに繰り出す際の荷物の積載性が問われるSUVだけに、ラゲッジスペースも併せて着目する必要があるということだ。
話を整理すると、後席の乗降性、着座性、立ち上がり性、そしてラゲッジスペースの奥行き、容量では新型カローラ クロス。後席の膝周り空間の圧倒的な広さ、居心地の良さ、よりフラットな後席フロア形状による中央席乗員の足の置き場の自由度の高さならヴェゼルということになるだろう。【筆者:青山 尚暉】
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