ヒョンデの新型車はオンラインのみで販売! ゼロエミッション車ならではの戦略だった
MōTA / 2022年2月18日 11時30分
韓国の大手自動車メーカー「現代自動車」が日本法人の社名を「ヒョンデ」に改め、日本に再上陸したことが話題となっている。 新たに発表されたことはいくつかあるが、新型車の販売方法がオンライン販売であることのメリットとデメリットを紹介しよう。
専用アプリを用いたオンラインで販売され、サービスもアプリを活用する
はヒョンデが新たに発売する電気自動車「アイコニック5」と燃料電池車「ネッソ」の価格などについて触れたが、今回はその新型車の販売方法について触れよう。
新生ヒョンデについては、専用アプリを使ったオンラインでの販売が計画されている。むしろ販売だけでなく、メンテナンスなどのフォローまで含めてスマートフォンのアプリを利用してワンストップで行なうサービスを整備しようとしている。
もちろんメンテナンスにおける実店舗的なサービス拠点は必要で、それについても日本法人のある横浜に最初の拠点を用意する予定となっているということだ。このようにサービス拠点を整備する必要はあるが、店舗常駐の営業スタッフやショールームを持たずに済むオンライン販売は、売り手には都合のいい販売方式となる。最大のメリットは販売網整備のコストが最小限で済むところだろう。
オンライン販売と電気自動車の親和性は高そうだ
日本の新車販売におけるゼロエミッションビークルの販売規模はまだまだ少ない。
国産・輸入車をあわせても2021年に売れたBEVは2.1万台、FCVは2500台にも満たないレベルだ。
この市場を考えると、ゼロエミッションビークルを欲するようなユーザーにはオンライン販売で十分にリーチできるだろう。オンライン販売が中心のテスラモーターズのBEVが一年間で8000台以上も売れている状況を考えれば、ビジネスのスケール的にヒョンデがオンライン販売に特化するのは妥当だ。
デメリットは認知度の向上につながりにくいことや高齢者にアプローチしにくいことだ
ただしデメリットもある。専用アプリによるオンライン販売ということは、アプリをインストールして購入を検討するというモチベーションをユーザーに与えなくてはいけない。
あえてヒョンデという新ブランドに変えたということはブランド認知度を上げる必要があるわけで、その点において実店舗を持たないことは不利に働くだろう。
またオンライン販売全般にいえることだが、高齢者層へのリーチは難しい傾向にある。比較的、資産の余裕があるとされる層へどうやって魅力を伝えるかは、オンライン販売だけに絞ったときの大きな課題となるだろう。手間は省けるが困った際のフォローに時間がかかるのがユーザーのデメリットになりそうだ
ユーザーサイドからすると、オンライン販売のメリットは手軽に購入できることとなるだろう。何度も販売店に足を運んで交渉することもなく、スマートフォンの中で売買が完結するのは時間の無駄をなくしてくれる。
一方で、デメリットは困ったときのフォローに時間がかかることだろう。故障時にメンテナンスセンターの予約がどれだけスムースにとれるのか、また故障車の引取サービスのスピード感によっては、購入を後悔することになるかもしれない。さらに日常的な話でいえば、使い方がわからないときに気軽に聞ける窓口が少ないというのもデメリットになる。当面はオンラインで使い方を調べられるユーザーでないと使いこなせないということになるのかもしれない。
日本の自動車市場は規模が大きく、ヒョンデは価値ある市場とみている
このように課題もある中で、ヒョンデが日本に参入した背景として考えられる理由はなんだろうか。
まずいえるのは、日本というのは国別の自動車市場でいうと、じつは第3位(1位は中国、2位はアメリカ)となっているほど規模が大きい。たしかに少子高齢化によって市場規模は縮小傾向にあるが、無視していいような市場でもないのだ。
さらにヒョンデがFCVのネッソを投入している点に注目すると、日本政府がカーボンニュートラルの実現手法として水素社会を目指していることも影響しているといえる。 世界的にはゼロエミッションというとBEVで結論づいているように感じているかもしれないが、日本政府は主に発電の利用としてクリーンな水素を利用することを画策している。燃料電池の開発にコストをかけたメーカーのひとつである現代自動車としては、その回収を考えると水素社会に向けてインフラを整備する計画のある日本というのは価値ある市場といえるのだろう。FCVへの十分すぎる補助金もそうした決断につながっているはずだ。
ヒョンデが投入する2台のゼロエミッションビークルは、右ハンドル仕様で、ウインカーレバーも右側に配置するという、本気の日本仕様。はたして、どのようなブランドとして定着していくのか、大いに注目したい。
【筆者:山本 晋也】外部リンク
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