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レクサス 新型LXの高い悪路走破性とフラットな高速走行の両立を支えているのは繊細なサスペンション設定にあった!

MōTA / 2022年4月30日 15時0分

自動車ジャーナリストの今井優杏さん

14年ぶりにフルモデルチェンジを行い、4代目となる新型モデルが2021年12月末に登場したレクサスのフラッグシップSUV「LX」。そんな新型LX600のインプレッションを自動車ジャーナリストの今井優杏さんが「公道編」と「オフロード編」の2回に渡りお届けする。今回は、ゴージャスな4座シートが魅力の「エグゼクティブ」を試乗した公道編をお届けする。

自動車ジャーナリストの今井優杏さん

新型LXを一般道で試す!

昨年に発売された新型NXより自ら「次世代レクサス」を謳いブランドの改革を進めている同社だが、早くもその第二弾となるモデルが今年の頭に発売された。新型LXだ。

すでにプロトタイプの試乗はサーキットにて行っているが、そのときに感じた好感触が、一般道でどうなるか。実は今回、本格的なオフロードコースでも試乗が叶ったので、2本に分けてお届けしたいと思う。

さて、まずは一般道でのレポートだ。富士山のふもとからぐるっと裾野を回って、ワインディングまでを体感するという中距離だが、この大柄な体躯でのワインディング、一体どんな身のこなしを見せてくれるのだろう。

新型LXはベースグレードのほか「エグゼクティブ」「オフロード」の3グレード展開

新型LX600, 新型LX600 エグゼクティブ, 新型LX600 オフロード

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その前に新型LXをざっとおさらいしておこう。

実に14年ぶりの刷新となる新型LXは、今回で4代目となるモデルだ。日本には2015年から導入されているが、登場の歴史はさらに遡り、1996年に北米での販売を開始している。以来、約50の国と地域で、累計51万台を売り上げる人気モデルだ。

プラットフォームは読者諸兄もご存知のとおり、トヨタ ランドクルーザーと共用しているが、今回は開発陣自らが「“ランクルのレクサス版”ではなく、LXとしての味を目指しました」と明言する通り、パワートレーン展開にも棲み分けがしっかりと見られる。

ランクルに設定されたディーゼルエンジンは用意されず、V6 3.5リッターのツインターボエンジンに10速ATの組み合わせのみ。グレードはベースとなる「LX600(5人乗りと7人乗りの設定あり)」、ゴージャスな4座シートが魅力の「エグゼクティブ」、そしてブラックのグリルが勇ましい「オフロード(5人乗りと7人乗りの設定あり)」の3種だ。

「エグゼクティブ」は、いわゆる“ショーファー仕様”にも

今回、試乗に連れ出したのは四人乗りのエグゼクティブ。外から見ても小山のようなボディサイズ(全長5100mm×全幅1990mm×全高1895mmに新解釈のフレームレスのスピンドルグリルで、圧倒的な存在感を誇る佇まいだ。

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さらに22インチ(265/50R22)という大径タイヤサイズも勇ましい。ベースとなるLX600は20インチ、オフロードは18インチとなるから、やはり“エグゼクティブ”の名に相応しい迫力を、足元からも感じさせてくれる設定だ。

そして、エグゼクティブはやはりインテリアにも注目したい。

インテリアカラーはブラックとサンフレアブラウンという、明るいキャメルのような2色が用意されている。どちらも落ち着きのあるシックな色調でエレガントだ。

4座シートのエクゼクティブのみ、リアシートの真ん中にリアコンソールが用意されるが、このディスプレイもカラーで美しい。ここではリアシートのアレンジを自在に行うことが出来、いわゆる“ショーファー仕様”にすることも可能だ。

とにかく軽やかで、とにかく快適、そして圧倒的に静か

富士スピードウェイのレクサスカレッジを後にして、最近できたばかりの新御殿場インターチェンジから高速道路に乗る。

先代と比較するとその性格はベツモノだというプロトタイプでも得た感想は、一般道でも健在だ。とにかく軽やかで、とにかく快適、そして圧倒的に静かだ。

まず、先代モデルのV8 NAエンジンと比べて、圧倒的に鼻先が軽い。いや、軽いのは鼻先だけではない。実に200kgもの大幅減量に成功しているのだ。

信頼のラダーフレームを継承しつつも、フレーム自体を軽量素材にしていること、高張力鋼板の拡大、また全ドアパネルをアルミニウム化(ルーフのアルミ化はレクサス初)しているなど、エンジンをダウンサイジングした以上に“軽さ”を追求している。

また、ただ軽いだけでなく、パワートレーンの搭載位置を車両後方に70mm、下方に28mm移動させたことにより、前後重量配分も改善された。この軽い×重量配分の最適化が、それでも2600kgという巨体をまるで感じさせないくらいに、ヒラリヒラリと軽やかに動かせている理由であることは間違いない。

さらに付け加えるならば、今回電子ステアリングになったことによって、先代で感じていたルーズな感じ、もったりと操舵が遅れてくる感じがきれいに拭われたのも軽やかさを感じる理由に貢献しているだろう。

実際にLXは女性オーナーも多いモデルだと思うが、このハンドルの軽さはまさに、女性に嬉しい軽やかさである。特に駐車場での取り回しや、またゴルフ場の行き来にありがちなハイスピードなワインディングなどでも、ストレスなくスイスイとハンドルを操作でき、またその操舵が正確なので、余計な修正打が必要ないのも疲れの軽減に直結する。

さらにこれに滑らかでインテリジェントな10速ATが、シームレスに速度をコントロールしてくれるから、加速の息継ぎもない。つまり、ギアの変更でカクカクするようなシーンがほとんどないため、背の高い新型LXでも揺り返しがなく、しっとりと吸い付くようなコーナリングおよび直進安定性を感じられるというわけだ。

気持ちの良いフラットなコーナーリングを実現するサスペンション

ランクルに比べると、大きく違うのはこのエンジン×トランスミッションの高速側に振ったセッティングと、サスペンションの性格だろう。

ランクルではより悪路走破性にフォーカスした低速側にトルクが出るようにセットされているが、新型LXはそれよりも少し、街乗りのほうに振られている。なので、一般市街地でもかなり静かに、回転数低く走ることができる。実燃費的にも歓迎したい点だ。

そしてAHCを備えたサスペンションも、ランクルよりもややフラットなフィールを感じた。フロントはハイマウントダブルウイッシュボーン、リアはトレーリング式を採用したとのことだが、このサスペンションが非常に複雑で、それがこんなにもエレガントな新型LXの、悪路走破と高速走行の両立を支えている。

AHCとは“Active Hight Control suspension”の頭文字。ショックアブソーバーとガス・油圧併用のバネと金属バネで車高を調整する機構は踏襲しつつ、バネレート切り替え装置を後輪にも装備することで、車高調整にかかる時間を短縮するなどしているのだが、これがただの車高調ではないのだという。ピッチやロールなどの姿勢に対応し、バネレートを随時最適化することによって、コーナリングやピッチングの姿勢を細かくマネジメントしてくれているからだという。

さらにAVS“Adaptive Variable Suspension system”はレクサス/トヨタでおなじみの電子制御サスペンションだが、こちらももちろん採用されている。こちらではバネの強弱をセンサーで電気的にバルブを切り替え、姿勢に対して即時的に対応をしている。

これらがもたらすフラットなコーナリングは本当に気持ちのいいものだった。特に後半、日本平の茶畑の間をスルスルと抜けていく登坂で、余計な膨らみもなく、まるでスポーツカーのように鼻先を次のコーナーの向けていくさまは爽快なほど。これをエンジニアに伝えたところ「あ、それはAHCです」とズバッとおっしゃった。ちなみに、車高調まで完全に電子制御式を採用するということは、もし万が一、砂漠のようなところで不具合が起こったときなどを想定し、現状は考えていないのだという。

そう、新型LXもやはり、タフなシーンで選ばれ続けるクルマなのだ。

やや路面からの突き上げが気になるシーンも

さて、ひとつ惜しいことを言うならば、エクゼクティブの醍醐味であるところの後部座席で感じたことだろうか。この大径タイヤのせいか、やや路面からの突き上げが気になった。特にエグゼクティブではそのリアシートを最大限に楽しもうと、運転席を編集部モッチーに託し、リアシートでリラックスした姿勢でインプレッションしていた(はい、休憩ではなく仕事ですよ!)ため、余計に身体全体でその挙動を感じてしまったというシーンも。それでもこのコツコツした感じは、徐々に走行距離を伸ばしていけば、慣らされていくのだそうだ。

しかしこのリアシートが、次のオフロード試乗で驚くべき体験をもたらしてくれた。

というわけで次回は新型LXが誇る、驚異の悪路走破性能をレポートしたい。

[筆者:今井 優杏 撮影:小林 岳夫]

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