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待たせただけのことはある! いいトコ取りの新生コンパクトSUV 三菱エクリプスクロス試乗記

MotorFan / 2018年3月29日 16時15分

待たせただけのことはある! いいトコ取りの新生コンパクトSUV 三菱エクリプスクロス試乗記

3月1日に発表された三菱待望の新型モデル、エクリプスクロスの公道試乗会に参加した。エクリプスクロスは、三菱自動車の軽自動車を除く国内向け乗用車としては、アウトランダーPHEV以来実に5年ぶりの新型モデル。周囲の注目度もさることながら、開発メンバーの熱量や想いがハンパじゃない。彼らは声高にそれを主張するわけではないが、語らずともヒシヒシと伝わってくるものがある! TEXT●森本太郎(MORIMOTO Taro)PHOTO松井亜希彦(Matsui Akihiko)

エクリプスクロスは、コンパクトアッパーと呼ばれるいまもっとも熱いクラスに投入されるオールニューのSUVだ。アウトランダーと共通のCセグメントプラットフォームをベースに(ホイールベースもアウトランダーと共通)新開発の1・5L直噴ターボを搭載、全3グレードのすべてでFFと4WDを選べる。トランスミッションは全車CVTだ。ボディサイズは全長4405mm×全幅1805mmで、C−HRより大きくCX-5より小さいという絶妙なサイズ。価格は253万2600円〜309万5280円と、大激戦区のド真ん中である。

思いのほか下のトルクが厚い印象で、少々の登り勾配でも軽快に力強く登っていく。乗り心地の良さも特筆点で、クルマのサイズから想像するよりも優れた動的質感をもつ。

早速、試乗してみる。クローズドコースでのちょい乗りの際にも確認済みだが、エクリプスクロスは思いのほか乗り心地が良い。やや固めで引き締まった印象だが、ゴツゴツしてない。ボディ/シャシーのしっかり感、良く動くサスペンションのストロークもなめらかだ。安心感やしっかり感があって、かつワインディングでは回頭性も良く、乗り心地が良いという理想的なバランスの良さを見せる。エクリプスクロスの評価ドライバー、鈴木忠志氏によれば、乗り心地、ハンドリング、静粛性のバランスを取るのが難しかったという。なるほど運転してみれば、真面目にしっかりと作り込まれたことが伺える。

エンジンは1.5ℓ直噴ダウンサイジングターボ一本のみ。150ps/5500rpm、24.5kgm/2000-3500というスペックだ。数値からイメージされる通りで、パワーがとても高いというよりは、トルクが豊かという印象。日常で扱いやすく、スポーティに走れるエンジンだ。

1.5ℓの直噴ターボはとくに低回転での力強さが印象的だ。そこそこの登り勾配でも、2000rpmも回さずとも頼もしい駆動力を発揮する。(最大トルクの発生回転数は2000-3500rpm)、さすがにどんな急勾配でもあり余るパワーというわけではないけれど、日常領域ではまるで不満はないし、「1.5ℓだから」という言い訳も不要。コンパクトなエクリプスクロスを快活に走らせることができる。トランスミッションは(8速スポーツモード付きの)CVTだが、CVT特有の回転と車速の嫌なズレ感もなく、スポーツドライビングも積極的に楽しめる。ただし、このパワートレーンでしっかりとマッチングはしているものの、シャシーに余裕が感じられるため、当初投入が表明されていた2.2ℓディーゼルターボやPHEVなど、より高トルクのユニットでこのクルマを試してみたい気持ちにも駆られる。それはまあ、乞うご期待ということで。

アクセルを踏んでいくのが楽しい。それは、雪道でのエクリプスクロスの印象。前後バランスの良さ、回頭性の良さ、十分な低速トルクが強みだ。S-AWDの面目躍如といったところ。(写真:三菱自動車)

過日、クローズドの雪上コースでもドライブしたが、低回転での豊富なトルク感や回頭性の良さ、積極的にアクセルを踏んで曲がっていきたくなる四輪駆動制御の特性などが確認できた。三菱自慢のS-AWCは、そんな特別なシチュエーションではもちろんのこと、日常での降雪や悪天候の際にも、“安全マージン”としてドライバーに余裕と安心感を与えてくれるだろう。

水平基調ではあるが、従来の三菱SUVの無骨なイメージからすると、よりスマートな印象。とくに、三菱初となるタッチパッドやヘッドアップディスプレイ、スマートフォン連携ディスプレイ&ナビが目新しい。(写真:宮門秀行)

スタイリッシュな外観に違わず、インテリアもスマートだ。とくにトップグレードのGプラスパッケージは、ビルトインの7インチモニター、三菱車初採用のタッチパッドコントローラーやヘッドアップディスプレイを装備。停止保持までできる追従式クルーズコントロールを始めとする先進安全装備も備わり、所有満足度を高めている。購入を考えているなら、ぜひこのグレードをお勧めしたい。個人的に感心したポイントをひとつ挙げると、200mmもスライドする後席シートだ。SUVでは採用が少ないものの、ミニバンのような広大な空間を持たないからこそ、このロングスライドはありがたい。後席足元にはたっぷりと余裕が出来るし、レジャーの際には簡単に積載量を増やすことも出来る。とくに、軽ハイトワゴンやミニバンに慣れた人からの代替では喜ばれるに違いない。

シャープでスタイリッシュなエクステリアは、単にそのデザインだけでなく、実用的な室内空間、使い勝手を犠牲にすることなく実現されたことに大きな意味と価値がある。(モデル:大須賀あみ 写真:中野幸次)

三菱がなかなか新型車を出さないあいだに、あらゆるメーカーはスタイルも性能も機能性も先進装備も、ずいぶん高いレベルに行ってしまったのではないか、という懸念も、試乗前には正直あった。ところがそれは、嬉しい誤算だった。エクリプスクロスはたしかに三菱自動車の久しぶりの新型モデルではあるけれど、強力なライバルの中にあって決して見劣りしないばかりか、スタイル、走り、装備、実用性など、全方位にバランスが取れた、いいトコ取りの魅力的な一台に仕上がっていた。

見て格好良く、走って楽しく、使って便利。エクリプスクロスには、コンパクトSUVに求めたい要素が凝縮されている。群雄割拠のカテゴリーだが、なかなかどうして競争力の高いニューカマーである。

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