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ジャガーの最新最小SUV「E-PACE」は予想以上にJAGUARだった

MotorFan / 2018年4月27日 18時0分

ジャガーの最新最小SUV「E-PACE」は予想以上にJAGUARだった

ジャガーのコンパクトSUV「E-PACE」がいよいよ日本の道を走り出した。 スポーツカーもしくはスポーツサルーンというイメージが強いプレミアムブランドゆえ、 ミドルクラスSUVのF-PACEはまだしも、コンパクトSUVを謳うE-PACEには いまひとつピンとこない人も多いかも知れない。 だがしかし実際に乗ってみると、これまた疑う余地のない“JAGUAR”だったわけで……。 TEXT&PHOTO●小泉建治(KOIZUMI Kenji)

丸く身を屈めたようなシルエットはまさに英国製スポーツカーのそれ。ヘッドランプもリヤコンビランプも、見事にF-TYPEと同じ意匠でまとめられている。

どこから見ても「背を高くしたF-TYPE」

 ジャガーのSUVと聞いて、いまひとつピンと来ないな、と感じている人は少なくないだろう。ジャガーと言えばスポーツカーかスポーツサルーンだし、たとえスポーツカーブランドがSUVを手がけることが珍しくない世の中になったとはいえ、ジャガーの同グループ内には「プレミアムSUVの王者」ランドローバーがあるのだから、わざわざSUVを作る必要はないのではないか。筆者もそう考えていたひとりである。

 そんな外野の雑音をジャガーは渾身の作「F-PACE」で見事に吹き飛ばしたわけだが、今度はコンパクトSUVを出すと聞いて、またしてもクエスチョンマークが頭に浮かび上がってきた。いくらコンパクトSUVが世界的に急成長しているカテゴリーだとはいえ、ジャガーはプレミアムブランドなんだから手を出さなくてもいいのではないか、と。

 だがそんな疑問も、E-PACEの実物を目の当たりにした瞬間に杞憂だったと判明した。だってこれ、そのまんまF-TYPEではないか。ヘッドランプやテールランプはF-TYPEのパーツをそのまま流用したのかと思うくらい同じイメージだし、身を屈めたような全体のシルエットや盛り上がったフェンダーなど、どこを取っても英国製スポーツカーのそれだ。

 着座位置を高くし、5名乗れるようにしたスポーツカー。それがE-PACEだ。便宜上、コンパクトSUVという言葉を使わざるを得なかったというだけなのだろう。

 実際、サイズはそれほどコンパクトではない。全長が4410mmなのはいいとしても、全幅は1900mmもあるから、少なくとも日本ではコンパクトとは言い難い。

「なんでここ最近のヨーロッパ車はこんなに幅が広いの? ヨーロッパだって道は狭いじゃない」って不思議に思う人も多いだろうけれど、結局のところヨーロッパの旧市街などの狭い道はたいてい一方通行になっているから、すれ違いにそれほど気を遣わないというのが実情なのだ。また、路上駐車が許容されている交通状況下では、ボディ幅が狭いことよりも全長が短いことによる恩恵のほうが大きい。

 さらに言うと、広い全幅のおかげで前輪の切れ角が増え、最小回転半径は意外と小さかったりもする。ちなみにE-PACEの最小回転半径は5.7mだ。

試乗車のインテリアはブルーのレザーにブルーのステッチという、ため息が出るほど素敵な組み合わせのカラーリング。スラントしたダッシュボードやスポーティな3本スポークのステアリングなど、いい意味でSUVらしくない。

コクピット然としたインテリアもまさにスポーツカー

 ドアを開けてドライバーズシートに腰を据えると、「E-PACEはスポーツカー」の思いはさらに強まってくる。3スポークのステアリング、手前に向かってなだらかに傾斜しているダッシュボードはまさしくジャガーのスポーツカーやスポーツサルーンに通じるものだし、白眉はなんといってもセンタークラスター左側からシフトレバーの横を通って手前に回り込んでいる助手席用のアシストグリップだ。

 ハイエンドSUV、もしくは本格クロカンAWDには必須とも言えるこの装備だが、まさしくF-TYPEと同じ意匠に仕立てられ、ドライバーズシートを独立したコクピットのように見せる視覚的効果を生み出している。機能と造形美を両立させた秀逸なデザインと言えるだろう。
 
 ドライビングポジションも、悪路における視認性を最優先させたランドローバーのように高い視点から見下ろすようなものとは若干異なり、やや足を前方に投げ出すような(さすがにピュアスポーツカーほどではないが)、ハイスピードクルージングを見据えたスタイルだ。



ジェントルに走っていても、どことなくスポーティ

 エンジンは最高出力180psと最大トルク430Nmを発生する直列4気筒2.0Lディーゼルターボと、249psと365Nmもしくは300psと400Nmというふたつのチューンが用意される直列4気筒ガソリンターボというラインナップだ。今回試乗したのは、P250と呼ばれる249ps仕様である。ちなみにディーゼルはD180、300psのガソリンはP300というネーミングが与えられている。

 今回、試乗したのはP250ユニットを搭載したR-DYNAMIC SEだ。コースは鎌倉周辺の、主に海岸沿いの国道に限られたため、ワインディングや高速ステージでの試乗は叶わず、撮影にも時間を割いてしまったため、いわゆるチョイ乗りにとどまってしまったことをおことわりしておく。

 F-TYPE譲りのスポーティさがウリのE-PACEの本領を発揮させるにはいささか速度レンジが低すぎるかと思いきや、意外や意外、走り出した瞬間からE-PACEはジャガーだった。

 どこが? 発進時にせよ、交差点での右左折時にせよ、ドライバーの操作に対するタイムラグをほとんど感じさせることなくクルマが反応してくれるのだ。それでいてドイツ勢などと比べると敏感すぎず、「リニア」と表現するほかないフィーリングである。このサジ加減はまさしくジャガーならではのもので、ジェントルに走っているときにもどことなくスポーツを楽しんでいるような気分に浸れるのはF-TYPEと変わりない。

 一方で、極低速時には路面からの突き上げが少し強いかなとも思ったが、40〜50km/hほどになれば気にならなくなる。それ以上の速度は今回の試乗では体感できなかったが、おそらくよりしっとり感が増すではないかと期待できる。

 こうしてP250に乗っている限り、このエンジンがベストバランスのように思えるが、果たして大トルクのD180、高出力のP300ではどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。そちらも楽しみである。

 確かにラゲッジスペースが同クラスのライバルよりも狭いといった弱点もあるけれど、このクルマを選ぶ人にとってそんなことは織り込み済みだろう。5名が乗れて荷物が積めて、ガンガン使えるF-TYPE。───E-PACEは、まさにジャガーにしか作れなかったSUVなのだ。
 






ジャガー E-PACE R-DYNAMIC SE 2.0L P250
全長×全幅×全高:4410×1900×1650mm ホイールベース:2680mm  車両重量:1890kg エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ 総排気量:1995cc ボア×ストローク:83.0×92.2mm 最高出力:183kW(249ps)/5500rpm 最大トルク:365Nm/1300-4500rpm トランスミッション:9速AT サスペンション形式:ⒻマクファーソンストラットⓇインテグラルリンクストラット  ブレーキ:ⒻⓇベンチレーテッドディスク タイヤサイズ:ⒻⓇ235/55R19 車両価格:650万円

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