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IHI:アンモニアを燃料とした燃料電池システムによる1kWの発電に成功

MotorFan / 2018年5月20日 9時25分

IHI:アンモニアを燃料とした燃料電池システムによる1kWの発電に成功

IHIは、低炭素社会を実現する新たな燃料として期待されるアンモニアを、燃料として直接供給する固体酸化物形燃料電池(SOFC)を開発し、横浜事業所で2018年3月に、1kW級の発電に成功した。今回の成果をもとに、今後、業務・産業用途に向けてシステムの大型化に取り組んでいく。

 本実証試験は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「エネルギーキャリア」の委託研究課題「アンモニア燃料電池」(研究責任者:京都大学 大学院 工学研究科 江口浩一教授)において実施したもの。

 固体酸化物形燃料電池(SOFC)とは、700~900℃で動作する酸化物セラミックスを構成材料とする燃料電池で,すでに都市ガスを供給する家庭用ユニットは実用化されている。発電効率が高く,都市ガスによる発電でその有効性が確認されている。燃料極,電解質,空気極から構成され,燃料には水素のほか一酸化炭素などが使用される。

 現在、エネルギー・気候変動・雇用などの社会課題の解決を目指す「持続可能な開発目標(SDGs)」の取組みが世界各国で推進されており、エネルギー分野では、発電時にCO2を発生させない水素の利用拡大が期待されている。一方で、その普及に向けては、運搬・貯蔵のコストが課題であり、SIP「エネルギーキャリア」では様々な研究開発が行われている。その中でも、アンモニア(NH3)は、水素含有量の多さ、液化・運搬・貯蔵の容易さ、また、肥料や化学原料として流通しているため、輸送インフラが既に整っていることなどから、低炭素社会の早期実現を可能にする新たなエネルギー源として注目されている。

 IHIは、アンモニアの製造から利用までをつなぐバリューチェーンの構築を目指し、SIPの支援のもと、アンモニアを燃料として利用する、ガスタービンや石炭火力ボイラの燃焼技術や、SOFCの開発に取り組んでいる。
 水素と酸素の化学反応から生じるエネルギーを電力として取り出す燃料電池は、今後、分散型電源として利用の拡大が期待されている。本システムは、炭素を含まないアンモニアを燃料とするため、CO2排出量ゼロのクリーンな燃料電池システム。また、現在普及している多くの燃料電池システムでは燃料を水素に変えるための改質器が必要だが、本システムでは、SOFCの運転温度域でアンモニアが水素と窒素に熱分解されるという特性を生かした、改質器を設置しないシンプルな構成が特徴。この、改質器を介さずにアンモニアを直接供給する本システムは、IHIが燃料電池システム開発で培ったこれまでの知見や熱・流体技術などの基盤技術が生かされている。

 今後は、長時間の連続運転による実証試験を実施し、業務・産業用途に向けてシステムの大型化や、高効率化に取り組んでいく。IHIはアンモニアを利用した低炭素社会の実現に向けた技術開発に今後も邁進していくとともに、事業を通じてSDGsの達成に貢献していく。

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