NTN:ステアリング補助機能付ハブベアリング「sHUB」を開発
MotorFan / 2018年5月21日 13時5分
NTNは、ハブベアリングにタイヤの転舵角度を調整する機構を組み合わせ、業界で初めて前輪に搭載可能なステアリング補助機能付ハブベアリング「sHUB」を開発した。世界シェアNo.1を誇る同社のハブベアリングで長年培った設計・製造技術に、モータおよびその制御技術を組み合わせた。
従来のステアリング装置は、ハンドル操作の角度によって転舵するタイヤの角度が一定に設定されており、走行しながら直進やコーナリングなどの走行条件ごとに最適な設定に変更することができなかった。「sHUB」は、既存のステアリング装置を変更することなく車両の前輪転舵・懸架装置に取り付け可能で、左右各輪の転舵角度を個別に補正することができるモジュール商品。運転時のハンドルの操作角度と車速のデータをもとにタイヤの転舵角度を最適に補正することで、車両のコーナリング性能や高速直進時の安定性を向上させるほか、スリップなど非常時の車両姿勢の安定化を図るとともに、燃費改善にも貢献する。
車両運動制御については神奈川工科大学と共同研究を行い、「sHUB」に適した制御方法を導き出した。本制御則を実装した実験車両を用いて、運転時のハンドル操作量が最大4割低減されることを確認しており、「sHUB」を搭載することで運転の負荷軽減に貢献する。また、ドライバーのハンドル操作による車両の応答性が約5割改善するという結果が得られており、運転のしやすさの向上にもつながる。
【開発品の特長】
1)運転の負荷軽減: ハンドル操作量を最大 4 割低減
例)実験車両の最大ハンドル角度98度 ⇒ sHUB搭載時56度(レーンチェンジ時) 2)車両の応答性を約 5 割改善
例)ハンドル操舵時の応答速度0.2秒 ⇒ sHUB搭載時0.1秒(レーンチェンジ時)
【仕様】
最大転舵角度:±3.5 度
転舵角速度:16度/秒以上
最大転舵トルク:350N・m
【販売目標】2027 年に 25 億円/年
本開発品は、今後の進展が予想されている完全自動運転においても、より安全な危険回避動作を可能にするシステムとして期待できる。今後は、本開発品をグローバルに提案・市場展開し、自動車の安全性の向上、運転の快適さの向上に貢献していく。
なお、NTNは「sHUB」を5月23日~25日にパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2018」に出展するとともに、同時開催の「自動車技術会春季大会」で本開発品の制御技術について学術講演を行う予定。
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