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アストンマーティンの新たなるフラッグシップ「DB11 AMR」に初試乗!

MotorFan / 2018年5月30日 8時5分

アストンマーティンの新たなるフラッグシップ「DB11 AMR」に初試乗!

アストンマーティンの伝統を今に受け継ぐDB11に、AMRというネーミングが与えられた新たなフラッグシップモデルが追加され、早速そのステアリングを握る機会に恵まれた。これまでのV12モデルに取って代わるというその走りとは? REPORT/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

AMRの狙いとは?

 ドイツのニュルブルクリンクに隣接した工業団地には、自動車メーカーやレーシングチームが開発の最前基地として使う施設が建ち並ぶ。今回ここを訪れたのは、アストンマーティンが新たに開設したAMRパフォーマンス・センターをベースに、AMRブランドからの最新作となる「DB11 AMR」をドライブするためだ。

 アストンマーティンがAMRというサブブランドの新展開を発表したのは、2017年ジュネーブ・ショーでのこと。AMRの目的は、“アストンマーティン・レーシング”を意味するこの称号が物語るように、モータースポーツ活動から得られたインスピレーションやエンジニアリングを、より強く反映させたモデルをプロデュースし、カスタマーへと送り届けること。DB11 AMRは、ラピードAMR、ヴァンテージAMR Pro、ヴァルキリーAMR Proに続く、AMRブランドのモデルとなる。


 このAMRが誕生したことで、DB11シリーズは、AMR、V8クーペ、ヴォランテの3モデルによるラインナップとなる。その一方で、これまでに約4200台がセールスされたというV12エンジン搭載のDB11の生産が終了することには一瞬驚かされたが、AMRがV12エンジンを搭載するDB11の正常進化型なのだと考えれば、それも納得できるはずだ。

 DB11 AMRのテストドライブ・プログラムは、AMRパフォーマンス・センターからカントリーロードやアウトバーンなど、さまざまなシチュエーションが楽しめる400kmほどのルートで行われた。ニュルブルクリンクのノルドシュライフェでの走りが楽しめなかったのは残念だったが、DB11はあくまでもGT=グランドツアラーであり、リアルなスポーツカーではない。

 ちなみにアストンマーティンによれば、ヴァンテージはスポーツカー、これまでのヴァンキッシュの後継車として近く正式に発表されるDBSスーパーレッジェーラは、スーパースポーツではなく、スーパーGTとしてカテゴライズされているという。


 AMRパフォーマンス・センターの前に並べられたDB11 AMRは、そのエクステリアやインテリアのディテールからも独自性を強く感じさせるモデルだった。パターンがそのまま露出されるカーボンファイバー製のルーフや、モノトーンで統一された光沢パーツ、ダークヘッドライト・サラウンド、スモークタイプのテールランプなどによって、そのアピアランスにはさらなる魅力と、速さを象徴するかのような凄みが生み出された。インテリアもやはりダークカラーをテーマとしたもの。素材の上質感やキャビンの機能性は、もちろんこれまでのDB11から変わるところはない。




基本は”GT”、しかしその気になれば……。

 センターコンソールのDボタンをプッシュしてアクセルペダルを踏み込むと、DB11 AMRはスムーズに加速を始めた。フロントに搭載される5.2リッターV型12気筒ツインターボエンジンは、AMRでは700Nmの最大トルクはこれまでと共通だが、最高出力は608ps(600bhp)から639ps(630bhp)へと向上。リヤに搭載される8速ATもそのシフトプログラムなどが見直され、結果的にAMRは3.7秒の0→100km/h加速と、334km/hの最高速度を実現するに至った。


 DB11 AMRは、ストリートではレーシングという言葉から一般的にイメージするスパルタンな印象など微塵も感じさせないモデル、すなわちきわめて優秀なGTだった。ステアリングホイール上のスイッチで、パワートレーンとシャシーの各々で、「GT」、「スポーツ」、「スポーツプラス」の各モードが選択できることもこれまでと同様だが、「GT」から「スポーツ」へとモードを変更しても乗り心地にはまだまだ十分なフラット感が残る。ただし、AMRへの進化でサウンドをより魅力的にしたというエキゾーストシステムは、カスタマーによって評価が異なる部分だろうか。「スポーツ」や「スポーツプラス」でのサウンドは、流麗なスタイルにはやや似合わない。


 その一方、639psのパワーが炸裂する瞬間のフィーリングは、GTとはいえやはり相当にスパルタンだ。ツインターボによる過給にはほとんどラグを感じさせることはなく、高速域ではアクセルペダルの動きに対するレスポンスにも、さらなる鋭さが演出されてくる。そしてこの印象とは対照的なアウトバーンのクルーズなどで感じられる大排気量のマルチシリンダーエンジンならではの優雅でスムーズな動き。この二面性こそがDB11シリーズの中でも唯一、V12エンジンを搭載するAMRの最大の美点といえるのではないか。


 GTというDB11の存在意義を理解してはいるものの、やはりワインディングロードに入ると、スポーツカーとしてのテイストがどこまでこのモデルには備わっているのかを試してみたくなる。DB11 AMRもまた、チーフエンジニアのマット・ベッカーが率いるアストンマーティン・ダイナミクス・チームによるチューニングで、シャシーの魅力をさらに高めているというが、それがダイレクトに感じられたのは正確無比なフィールのステアリング、そしてロールが巧みに制御されていることだった。サスペンションは常に正確に機能しているのだろう。後輪から感じるトラクションは圧倒的で、これならばサーキットへとステージを移してもDB11 AMRの魅力は一切変わらないと思われる。


 アウトバーンでは、やや控えめにオーバー200km/hの世界を体験するにとどまったが、高速域でのスタビリティもまた素晴らしいものだった。いや、DB11 AMRの加速は、望めばここからさらに100km/h以上も連続するのだから、この程度の速度域で直進安定性やエアロダイナミクスに一切の不安や不満を感じさせないのは当然のことだろう。

 DB11 AMRへの進化によって、さらなる速さを手に入れたアストンマーティンのGT。その流麗なパッケージ、そして高級なキャビンに身を包まれながらのクルージングは、カスタマーにとっては至福の時間となることは確かだ。すでにクーペとヴォランテが出揃ったV8モデルとは明らかに異なるGTとしての魅力が、この新たなフラッグシップモデルにはある。



【SPECIFICATIONS】
アストンマーティン DB11 AMR
■ボディサイズ:全長4750×全幅1950×全高1290㎜ ホイールベース:2805㎜ ■車両重量:1870㎏ ■エンジン:V型12気筒DOHCツインターボ 総排気量:5204cc 最高出力:470kW(639ps)/6500rpm 最大トルク:700Nm/1500rpm ■トランスミッション:8速AT ■駆動方式:RWD ■ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン(電動式) ■サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク ■ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク ■タイヤサイズ:前255/40ZR20 後295/35ZR20 ■環境性能(EU複合) CO2排出量:265g/km 燃料消費料:11.4ℓ/100km ■パフォーマンス 最高速度:334km/h 0→100km/h加速:3.7秒









ASTON MARTIN DB11 AMR

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