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新型 三菱デリカD:5のメカニズムを徹底解説!

MotorFan / 2019年3月17日 10時0分

新型 三菱デリカD:5のメカニズムを徹底解説!

3列シートを持つミニバンでありながら、力強いエンジンと緻密な電子制御4WDの組み合わせでSUVに匹敵する高い走破性を持つデリカD:5。すべてにおいてオリジナリティに溢れるキャラクターを支持するファンは多い。新型に投入された新たな知見と技術は、そんなデリカD:5の魅力をさらに深めてくれる。 図版解説●安藤 眞(ANDO Makoto)/編集部

〈パッケージ&内装〉

パジェロ譲りの走破性を持つ二代目デリカ

パジェロのシャシーにデリカのボディを架装した初代スターワゴン。そのオフロード性能と多人数乗車の利便性で、オートキャンプブームに乗って大人気となった。

日本の4WDブームの立役者

オフロード車を庶民の乗り物にしたパジェロとは、ランニングコンポーネントを共有する。パリ・ダカールラリー市販車無改造部門初出場優勝を成し遂げた伝説的モデルだ。

ミニバンボディが与えられたスペースギア

衝突安全性向上のため、ノーズが付いてミニバンとなったスペースギア。リヤサスは独自の5リンク方式となるが、フレームやパワートレーンは引き続きパジェロと共用しており、本格的なオフロードも走行できた。

唯一無二の独自の個性

ボディそのものは先代モデルと同様なので、室内のパッケージングも変更はない。しかし外観については「ダイナミックシールド」と斬新な縦型のLEDヘッドライトで、独自の個性が強調されている。

全長 4800mm ホイールベース 2850mm

全幅 1795mm

全高 1875mm

高い走破性を実現するSUV並みのクリアランス

初代の登場以来人気の元となっているのが、3列シートのミニバンボディでありながら悪路でも気にせず踏み込めるSUV並みの各部グランドクリアランス。利便性と機能性を融合している。

使い勝手はそのままに質感を向上

3列目シートもシートバックの高さやヒール段差が大きく取られているために居住性の高いパッケージ。黒とベージュが選択できるシートは、ファブリックのエンボス加工とメーカーオプションの本革は菱形のキルティングが施され質感が高い。

操作性が高まったコックピット

エンジンスターターボタンや電動パーキングブレーキの採用、ハザードランプの設置位置変更などで、操作性の向上が地道に行なわれたコックピット。AVや先進安全機能のスイッチが配されたステアリングは、チルト調整のみ可能。

10.1型の専用ナビシステム

10.1型HDディスプレイを採用したナビはボタン配置などもデリカの専用設計となっている。 画面は4分割表示を可能とし、ナビとオーディオの操作画面を同時に表 示するなど操作性が高められている。

〈ボディ&静粛性〉

環状骨格構造と大型メンバー

ボディの骨格構造は継承。各ピラー部に閉断面を回し、肋骨のようにキャビンを支える“リブボーンフレーム”を採用する。航空機の機体構造からヒントを得たもので、零戦を開発した三菱の系譜が垣間見える。

操安と衝突安全を両立するボディ先端部の強化

フロントはデザインを変えただけでなく、骨格構造も全面新設計。歩行者保護性能の向上のため、専用部品が組み込まれたほか、骨格の結合形状や溶接点の最適化も実施して、フロントサス周りの剛性も向上。操舵応答性やステアフィール向上にもつなげている。

構造用接着剤でボディ強化

バックドア開口部のコーナーと、リヤエンドクロス上面には、構造用接着剤を使用。ミニバンの弱点となりやすいバックドア開口部を補強することで、対強度性をさらに高めた。

歩行者の脚部保護性能向上

フロントオーバーハングを伸ばさずに、歩行者の脚部保護構造を成立させるため、サイドメンバーの先端を20㎜短縮。 前面衝突時のクラッシュストローク減少には、サブフレーム構造の一新で対応している。

エネルギーを効率良く吸収

前面衝突荷重の支持には、3系統のロードパスで対応する。メインとなるサイドメンバーに加え、フェンダーの峰に当たるアッパーサイドバーは板厚を増大。サブフレームはエクリプスクロスと同 型状のものを採用し、床下骨格にも荷重を伝達する。

歩行者保護対応

ボンネットを高くした目的のひとつが、歩行者の頭部保護性能向上。エンジンとの隙間を広く取ることで、衝撃吸収ストロークを確保する。ボディ前面も、歩行者の身体を広い面で受け止められるような骨格配置だ。

ボディ各所に施される防音対策

クルマの質感向上には必須の、室内の静粛性向上の対策は多岐に渡り、ボディ全面に対し図のような吸音と遮音の対策が適材適所に盛り込まれる。その効果は60㎞/h走行時に先代に対して車内騒音が1列目席で2.0dB(A)、2列目席で1.5dB(A)低減されている。

室内をさらに静かにするフロアマット

ディーラーオプションとして用意されるフロアマットは物理的な高級感だけではなく、静粛性をさらに高めるアイテムとしても機能する。左図のように吸遮音効果を持つ3層構造のマットをラゲッジを含む全面に敷き詰めることで静粛性を高めてくれる。

スタイリッシュに安全を確認するサイドアンダーミラー

ボンネット前端の位置が先代よりも高くなり、車両直前の視界が不利になることへの対策としてサ イドアンダーミラーに二面鏡タイプを採用。これにより従来の左側方だけでなく、車両のフロント直下が確認できるほか、直左鏡と直前鏡に映る像に連続性を持たせ、認知性を向上している。

〈パワートレーン〉

ダミーヘッドを使用した精密なホーニング

シリンダーボアをホーニングする際、ヘッドと等価な剛性を持つダミーヘッドを取り付けて切削を実施。ヘッドボルト締結によってブロックがわずかに歪む影響を排除し、実機状態で真円度が確保できるよう改良を図った。

2.2ℓコモンレール式DI-Dクリーンディーゼルターボ


エンジン型式は先代と同じ4N14だが、ピストン、コンロッド、クランクといった内部パーツを始め、ほぼ全域に渡り刷新され機械的なフリクションの低減を追求。また排ガス対策として尿素SCRシステムを採用し、クリーンディーゼルとしている。

■4N14 spec.
排気量(㏄):2267
種類・気筒数:直列4気筒DOHC
ボア×ストローク(㎜):86.0×97.6
エンジン最高出力(kW[㎰]/rpm):107 [145]/3500
エンジン最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):380[38.7]/2000
JC08モード燃費(㎞/ℓ):13.6

地道な対策を積み重ねフリクションを大幅低減

ダミーヘッドホーニングによるピストンリング張力の削減など、各種の対策によって、フリクションは大幅に低減。実用域では7〜10%、最高回転域では約27%の損失低減に成功している。

電制リリーフバルブの採用で駆動損失を低減



オイルポンプ本体は可変式ではないが、不要な油圧を回路内に回さないリリーフバルブを電子制御化。従来ではリリーフバルブが開かなかった低負荷域でも油圧を逃がせるようにし、実用域での駆動損失を低減している。

形状の刷新と軽量化が図られた新ピストン



ピストン形状の変貌ぶりに注目してほしい。コンプレッションハイトは縮小され、スカートの面積も大幅に削減。1個あたり100gを越える軽量化を果たしている。燃焼室形状は、中央を盛り上げる代わりに外周部をわずかに広げ、より乱流を利用しやすい形状となった。

ピストンピンとコンロッドも新設計サイドフォースを低減



ピストンピンは全長を短くすると同時に、応力分布に合わせた肉抜き形状に変更。ピストンのコンプレッションハイト短縮分をコンロッドの延長に充て、連棹比を拡大してサイドフォースの低減を図った。

もちろんクランクも新設計

クランクシャフトも新設計。コンロッドジャーナル径を細くしているほか、往復運動部品の軽量化に合わせて、カウンターウエイトの軽量化も実施。ベアリング類は低摩擦コーティングを施して低摩擦化。

クリーンな排ガスと好レスポンスを発揮する新エンジン


エンジンから出た排ガスは、酸化触媒とDPFを通過してPMや未燃焼成分が取り除かれた後、尿素水が噴射されてSCR触媒に流れ込み、NOxが浄化される。EGRは高圧系のみを使用。尿素SCRの浄化効率が高いため、燃費に響くEGRの使用率を抑えることができる。

高性能な新型インジェクター



燃料噴射装置も新世代のものに換装。弁駆動がソレノイドであるのは同じだが、従来型がインジェクターの上端に駆動部を持ち、コマンドピストンを介してノズルの開弁を行なっていたのに対し、新型はソレノイド駆動部をノズルの直上に配置して、コマンドピストンを廃止している。アイドルストップ時の燃料リークを防いで再始動の応答性を高めるのが目的、との説明だが、通常運転時の応答性や制御性も高まっているものと思われる。

NOx低減のためにEGR領域を拡大

EGRは使用域を全領域に拡大。高負荷域でもEGRを使用してNOxを低減する一方、従来は多めに使用していた市街地走行領域ではEGR率を抑制。実用燃費の向上と、全領域でのNOx排出量低減を実現している。

尿素SCRシステムの尿素水の補充はラゲッジから

尿素水タンクは容量16ℓのものを車両最後部に搭載。フィラー口はラゲッジルーム内の、左ホイールハウス後方に設置されている。 尿素水タンクの搭載によって、スペアタイヤはパンク修理剤に置き換えられた。

〈シャシー&先進安全〉

ブリッピング機能付き8速AT



従来の6速ATに対して多段化と変速比幅が拡大された8速ATは好燃費に貢献 するだけでなく、ダウンシフト時にエンジン回転数を上げ、変速時間の短縮と滑らかなフィーリングを実現 するブリッピング機能を搭載する。

3つの走行モード切り替え

三菱独自のAWC思想に基づいた4WDは、新型デリカD:5ではハンドル操作に対して、より緻密なレスポンスをもたらす電子制御へと進化。走行条件に応じて3つのモードをダイヤル操作で切り替えられる。

フロント:マクファーソンストラット式サスペンション

フロントサスペンションは、コイルスプリングの配置、傾斜角を変更することで、操舵時のフリクションを約20%低減。ハンドリングの正確さと、より滑らかな操舵感を実現している。また、ロワアームブッシュの特性を見直し操舵応答性向上とNVHの低減を両立している。

リヤ:マルチリンク式サスペンション

リヤサスペンションはスプリング特性の見直しと、ショックアブソーバーのサイズアップが行なわれた。これにより、走破性に優位な挙動と乗り心地を両立。ショックアブソーバーの減衰力特性は前後ともにハンドリングに影響する極微低速の応答性を向上している。

パワステも刷新

運転席側の入力軸から離れた、タイヤに近い位置にモ ーターなどのアシスト機構を配置するデュアルピニオン電動パワステを採用。ステアリングの切り始めからダイレクト感のある自然な操舵フィーリングを提供するほか、燃費改善の軽快な取り回し性を実現している。

安定した走りと確実なトラクションを提供するAWC




三菱が誇る独自の電子制御4WDシステムAWCは、各種センサーやECUからの情報を基に四輪の駆動力を制御。さまざまな路面で力強いトラクション性能を発揮する。また、新型では新たにヨーレートフィードバック制御を追加し、リニアリティの高い走行安定性を実現している。

事故を未然に防ぐe-Assist

レーザーレーダーと単眼カメラの組み合わせによる先進安全装備e-Assistが搭載された。メーカーオプションの「マルチアラウンドモニター」を装着すればより安全性が高まる。

■三菱e-Assist 搭載機能
・衝突被害軽減ブレーキシステム[FCM]
・車線逸脱警報システム[LDW]
・ レーダークルーズコントロールシステム[ACC]
・オートマチックハイビーム[AHB]
・後側方車両検知警報システム
(レーンチェンジアシスト機能付き)[BSW/LCA]
・後退時車両検知警報システム[RCTA]

後側方の車両を検知する

後退時リヤバンパー内に設置されたミリ波レーダーが、死角になりやすい斜め後方の車両を検知。また走行中には後方と隣レーン後方からの接近車両を検知。ドアミラーのインジケーターや警告音にてその存在を告知する。

長距離からドアロックが可能

オプションのリモコンエンジンスターターは、見通し距離で300m程度の遠距離からエンジン始動だけではなく、ドアロックもできる。(アンサーバック機能もあり)また、近づくだけでスライドドアが開く機能も搭載。

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