キーワードは「革新性」売れた売れないは関係なし! 平成30年間で記憶で留めておくべきクルマ5選
MotorFan / 2019年4月26日 11時40分
間もなく平成が終わる。この約30年間は自動車が激変した時代である。自動車エンジニアにとっては、技術開発が激務でもきっと面白かった時代なのではないか、と想像する。平成時代を雑誌編集者として自動車やそれを取り巻く世界の取材をしてきた身から、ごくごく個人的な視点で「平成で記憶に留めておくべきクルマ5台」を選べだしてみた。皆さんにとって、「平成で記憶に留めておくべきクルマ」はなんだろう? TEXT◎鈴木慎一(SUZUKI Shin-ichi/MotorFan.jp)
メルセデス・ベンツ ヴィジョンA 93 コンセプト(1993)
1993年のフランクフルト・モーターショーで発表されたこのメルセデス・ベンツ Vison A 93 Concept(ヴィジョンA93コンセプト)は、いまでこそ、写真を見てもそんなに衝撃は感じないかもしれない。しかし、93年(平成5年です)当時は、「これはなに?」というくらい先進的で、それを自動車の帝王であり保守派筆頭だと思われていたメルセデス・ベンツが、ヴィジョンA93を出してことに心底驚いた。燃料電池の仕組みも電気自動車の可能性も誰も信じる以前に知らなかった時に、フロアを二階建てにしたサンドイッチ構造を採用したヴィジョンA93コンセプト。後に現在まで続くメルセデス・ベンツAクラスになった……ということになっているけれど、ヴィジョンA93が持っていた、未来を見通したコンセプトは、97年発表された初代Aクラスには感じられなかったというのが、正直な感想だ。
スズキ・ワゴンR(初代 1993)
初代のワゴンRが発売されたのが、1993年9月(平成5年です)だから、ヴィジョンA 93コンセプトとほぼ同時期だったのか、と調べながら思った。当時、クルマ好きにとって軽自動車は視界の外。ほとんで誰も気にしない存在だったと思う。ワゴンRの登場で、それが一気に変わった。とにかくこれまで見たことのないカッコ良さとユーティリティ、軽の概念を変えた1台だと思う。自分で買うことはなかったけれど、初めて「これなら自分で買ってもいいかも」と思う軽自動車だった。
アウディA2(1999)
アウディが1999年に発売したコンパクトカーがA2。変わったスタイルだが、びっくりしたのは「オールアルミボディ」だったこと。アウディのASF(アウディ・スペース・フレーム)を使った革新的なボディだった。97年に登場した初代メルセデス・ベンツAクラスのライバルだったわけだが、A2の方が「フツウ」じゃなかった。
Aクラスより200kg以上も軽量でディーゼル直噴エンジンを搭載。とはいえ、このクラスでオールアルミボディでは、超高コストは避けられず、おそらく売れば売るほど赤字が嵩むモデルだったのだろう。日本には正式輸入はされなかったが、好事家がたぶん個人輸入したA2を近所で見かける機会が最近まであった。セールス的には大失敗でも、記憶に留めるべきモデルだと思う。
ホンダ・エディックス(2004年)
3by2という3席2列という座席レイアウトを非常に美しいパッケージとスタイルで包んだ名作だと思う。広い全幅だと思っていたが、いま見ると全幅は1795mmしかない。全長が4300mm程度だから、非常に特徴的なプロポーションを持っていた。ホンダ・初代シティ(1981年)と並んで評価されるべきクルマだと思うのだが、セールス的にはあまり振るわなかったようだ(だから後継モデルが開発されなかった)。
BMW i3(2013)
欧州メーカーは、ときに振り子の思い切り振り切ったモデルを市場に投入する。前述のアウディA2もそう。どう考えても、儲かりそうもない。売れたら売れただけ赤字を増えそうなクルマも、将来の可能性にかけて敢えて作ってみる。そして、二代目モデルでは調整が入り、三代目モデルでは革新性は薄れるが商品性は高いクルマができあがる……というわけだ。
このi3もそういうクルマだと思う。アルミ合金製のシャシーにバッテリーをパッケージする、発電用の小さなエンジンを載せる、CFRP製のボディを被せる、CFRPの製造もクリーンエネルギーでやる……投入された技術は枚挙に暇がない。カッコイイとか走りがどうとか、値段がどうとか、ではないクルマ。BMWにとっては2020年代を電動化で生き抜くためのノウハウとイメージ作りのために、ぶっ飛んで作ったクルマなのだろう。
まもなく、平成が終わり令和が始まる。世界的に見たら日本の改元はあまり関係がないのかもしれない。しかし、日本国内は違う。きっと空気がガラッと入れ替わり、新鮮でびっくりするようなニューモデルが日本メーカーから出てくるはず。
「令和○年間で記憶に留めておくべきクルマ」について僕が書くことはおそらくないだろうけれど、来たるべき令和の自動車世界がよりエキサイティングであることを願っている。
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