「新型カタナ」がストリートでエキサイティングなワケは、GSX-R1000(K5)エンジンにヒミツが隠されていた!!
MotorFan / 2019年5月26日 18時0分
新型カタナのエンジンは「GSX‐R1000」の998cc並列4気筒エンジンをベースに改良されたものですが、“K5”と呼ばれる2005〜08年のパワーユニットが用いられています。このK5エンジン、じつは「GSX-S1000 ABS」にも使われ、好評を博しているのです。10年以上も前に設計されたエンジンにも関わらず、一体なぜなのでしょうか!? 新型カタナ開発陣にうかがってみました。 REPORT●青木タカオ(AOKI Takao) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
公道でエキサイティング!! 海外メディアも絶賛する“名機”
新型カタナ、そしてGSX-S1000 ABS、GSX‐R1000K5のDOHC4バルブエンジンが用いられていますが、その魅力とは何なのでしょうか。新型カタナ開発チームでチーフエンジニアを務めた寺田覚さんは、こう言います。
「どこからでも加速し、扱いやすく力強いのです。低回転域の力強いトルクと高回転域でのパワフルなエンジン特性を持ち合わせ、五感を刺激する高揚感のある乗り味が持ち味になっています」
通称“テスト課”と社内で呼ばれる技術品質評価グループの大城光さんは、こう表現します。
「名機なんですよ。海外のメディアからもK5のパワーユニットを選んだことを高く評価していただいています」
最新のGSX‐R1000のエンジンももちろん高性能ですが、スーパースポーツとは求められるものが異なるということでしょう。サーキットではなく、ストリートでエキサイティングに楽しめるという点では、より低中速で高揚感のあるK5に軍配が上がるということなのだと思います。
公式スペックを確認すると、現行GSX‐R1000のボア・ストロークは76.0mm×55.1mm、K5エンジンベースの新型カタナやGSX-S1000では、73.4mm×59.0mmとなっていて、ロングストロークとなっていることも見逃せません。
燃焼室が小型で、圧縮比の最適化とフラットピストンの採用が可能となり、公道走行に相応しいスムーズなスロットルレスポンスと鋭い加速を実現。全回転域でエキサイティングなパワーフィールを発揮します。
熟成し、さらなる進化を果たした心臓部
新型カタナでは発進時のエンジン回転の落ち込みを制御する「ローRPMアシスト機能」が採用され、エンストしにくくスムーズに走り出せます。渋滞時の低速走行やUターンの際もエンジン回転の落ち込みを感じにくく、ライディング時の安心感につながるのです。
スロットルグリップのワイヤー巻き取り軸を真円としない「プログレッシブスロットル」も注目に値します。通常、スロットルフィーリングのつくりこみはECUのセッティングで調整しますが、新型カタナではライダーが直接手を触れてエンジンを操作する場所でおこないました。
スロットルグリップのプーリー形状を最適化することで、開け始めの穏やかなレスポンスにもこだわっています。低開度ではより操作性を高め、中開度以降では全開の力強い加速へと繋がる期待感を盛り上げるようなスロットルフィーリングをつくり込んでいます。
車体設計を担当した三池翔太さんは「この完成したスロットルグリップの曲線は数式で表しきれるものではありません。まさに、指からガソリンを絞り出すようなイメージで設計した自信作です」と、胸を張ります。
さらに駆動輪から伝達されるバックトルクを制御し、シフトダウン等における過度のエンジンブレーキによる後輪のロックやホッピングを制御するスリッパークラッチの採用や、エンジン出力を効率よく路面に伝える「3モードトラクションコントロールシステム」も採用。
エンジン始動は「スズキイージースタートシステム」でスムーズな目覚め。スターターボタンを押すと、一定期間スターターモーターが回転し、32bit ECMが始動状況を認識してモーターをストップするという賢さです。
高揚感のあるパワーフィーリングで、ストリートに相応しいエンジンに、さまざまな最新テクノロジーのサポートが追加された新型カタナ。開発陣のライドフィールに対するこだわりは、並大抵ではないことがわかります。
税込み価格151万2000円で、発売日は5月30日。試乗できる日が、もう待ちきれません!!
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