Jaguar I-PACE

MotorFan / 2019年6月17日 17時0分

Jaguar I-PACE

ジャガー初となるBEV、Iペイスがついに日本に上陸を果たした。航続距離438㎞を実現しながら、400㎰/696Nmを達成した超高性能SUVだ。ユニークなキャブフォワードデザインも光るニューカマーに注目だ。 REPORT◉塩見 智(SHIOMI Satoshi) PHOTO◉神村 聖(KAMIMURA Satoshi) ※本記事は『GENROQ』2019年6月号の記事を再編集・再構成したものです。


 昨夏、ポルトガルで試乗したジャガーIペイスの日本でのデリバリー開始に際し、国内の一般道で試乗した。見た目を含め、海外試乗時よりも印象がよかったのだが、それが1年弱のうちにクルマがよくなったからか、試乗環境の違いや乗り手の体調によるものなのかははっきりしない。いずれにせよ、これまで本誌を含め各所で「総合的にはややアウディe-tronのほうが上」と吹聴してきた“公式見解”を少々修正させていただきたい。

 IペイスはフロントのサブフレームをSUVのFペイスと共有するほかは新設計のプラットフォームを採用した。骨格の94%にアルミが用いられる。フロア部分に432パウチセルからなる総電力量90kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、前後アクスルに同じ電気モーターを配置することで4輪を駆動する。システム全体で最高出力400kW、最大トルク696Nmを発揮し、2240㎏の車両重量をものともせず、0→100㎞/h加速を4.8秒でこなす実力を持つ。

通常時656ℓ、リヤシートを倒すと1453ℓの広大なラゲッジスペースが生まれる。その他、センターアームレスト下に10.5ℓ、リヤシート下にタブレットやラップトップの収納スペースを用意している。

 偉大な先祖、Eタイプに代表されるロングノーズ、ショートデッキとは真逆のショートノーズでキャブフォワードのシルエットを持つのは、エンジンがないことと、フロアにバッテリーを敷くために長いホイールベースと幅広いトレッドが必要というEV特有の事情からだろう。

 初見ではとっつきにくいと感じていた見た目だが、日本の路上に置いてみて、ぶっ飛んだフューチャリスティックデザインでもなければ単なるエンジン付き車のEV版でもない、ちょうどよい新しさを感じさせてよいと思うようになった。ジャガーデザインを司るイアン・カラム御大のマジックは、今回はじわじわと効いてくるようだ。

 エアロダイナミクスも追求しており、フロントグリル(開閉弁付き)から取り込まれた空気は、補機類を冷やした後、エンジンフード上のスクープから出てフロントガラス、ルーフをなぞり、切り立ったコーダトロンカのリヤデザインによって突如クルマと分離する。Cd値は0.29だ。

 全高は1565㎜とそこそこ高いもののバッテリーの分だけ高床になっているから室内の広さ、高さはそれなりだろうという先入観をもって乗り込むと、意外にもルーミーなことに驚かされる。プロペラシャフトが無いためセンタートンネルも無く、フロアはフラットだ。ラゲッジはリヤに656ℓ、フロントに27の容量が確保される。「ペイス」と名付けられただけあって、ちゃんとSUVのユーティリティが確保されているのだ。

10.5インチと5インチのデュアルタッチスクリーンを組み合わせたインフォテインメントシステム「Touch Pro Duo」を採用する。
回生ブレーキの強さ(2段階で設定可能)やクリープの有無もタッチスクリーンから設定できる。

 ユーティリティのみならずSUVを名乗るにふさわしい悪路走破性も備わっている。車高を最大90㎜上下できるエアサスを活用することで、渡河水深は500㎜を誇る。また身内のランドローバー由来のオフロード用クルーズコントロールなども装備される。

 海外でIペイスとe-tronを乗り比べた結果、軽快なのはジャガーだが、重厚感があって乗り心地が良いのはアウディであり、総合的な魅力はややアウディが上と判断していたのだが、今回改めて試乗すると、Iペイスの乗り心地が全然悪くないじゃないか!

 軽快な印象はそのままで、高速走行時の落ち着きは(記憶とメモにある)e-tronのそれに匹敵するものだった。どちらもバッテリー配置による重心の低さを常に感じさせるどっしりとした動きに終止し、それでいて怒涛のトルクを活かしたアクセルレスポンスのよさからくる機敏さも感じさせた。いささか逃げるような評価になって不本意だが、実際問題、両車の挙動は似ている。

 カタログ上の一充電走行距離はWLTPモードで438㎞。より現実に即した走行モードと言われるEPAモードだと377㎞。充電はCHAdeMO規格の急速充電器(最大50kW)を使えばゼロから80%まで85分かかり、一般家庭(最大6kW)の200V電源を使った場合、ゼロから100%まで15時間かかる。専用契約をすれば月額3240円で約7500ヵ所の充電スポットを利用できる。最初の1年間は無料だ。

フロア下にバッテリーパックを搭載したことで、快適な室内空間を手に入れている。
特に後席は968㎜のヘッドルームを確保しているので快適そのものだ。

 これまでの取材経験から言えば、90kWhもあれば残量100%にこだわる必要はない。空いた時間に外では急速充電、自宅では普通充電を行う習慣が身につけば航続距離が足りないと感じることはない。何しろ日本の乗用車ユーザーの1日の平均走行距離はなんと約20㎞なのだ。

 車両本体価格は959万〜1162万円。豪華装備の限定車「ファーストエディション」は1312万円となっている。補助金や減税によって同じカタログプライスのエンジン付き車よりは実質負担額はやや安いはずだ。

ジャガーIペイス・ファーストディション
■ボディサイズ:全長4695×全幅1895×全高1565㎜ ホイールベース:2990㎜
■車両重量:2240㎏※
■モーター:ツインモーター システム最高出力:294kW(400㎰)/4250~5000rpm システム最大トルク:696Nm(71㎏m)/1000~4000rpm
■トランスミッション:1速固定
■駆動方式:AWD
■サスペンション形式:Ⓕダブルウイッシュボーン Ⓡインテグラルリンク
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク
■タイヤサイズ:Ⓕ&Ⓡ245/50R20
■環境性能 航続距離(WLTCモード):438㎞ 電気消費率(WLTCモード):224Wh/㎞
■車両本体価格:1312万円
※パノラマルーフ装着車は2250㎏。

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