コンパクトボディに満ちる最新技術

MotorFan / 2019年6月22日 8時0分

コンパクトボディに満ちる最新技術

レクサスのラインナップにおいて最もコンパクトなサイズのUX。とはいえ内に秘めた機能や性能に一切の妥協はない。むしろ狭小なスペースにレクサスに要求されるメカニズムを組み込むには、一層の苦労を要したはずだ。 写真解説●安藤 眞(ANDO Makoto)/編集部 フォト●澤田優樹(SAWADA Yuki)


運転に集中でき、直感的に操作できるコクピット


人間中心のインテリア思想に基づいて構築されたコックピットは、ドライバーが座ったままの状態で視線の移動が少なく、すべて手元の操作で車両をコントロールできることが目指されている。

的確な形状で操作性に優れたシート

ホールド性や乗降性だけではなくLSから継承されたコンソール〜アームレストに連続する流れを持つ意匠や、シフトやオーディオスイッチなどの操作性を両立させている。

乗降性が良く、裾も汚れにくい

ドア外板がボディ下面まで回り込む形状を採用。サイドステップ部の張り出しを抑え降車時の足つき性が良いほか、雨天時などでも衣服の裾を濡らすことがない。

細部まで配慮された便利機能

大きなサイズのスマホの“おくだけ充電”トレーとポップアップ式の12V電源ソケットを設置、電源ケーブルでの充電を両立している。

考え尽くされた配置と形状のペダル

ドラポジの取りやすさを追求したオルガンペダルの採用で、立ち気味となるアクセルペダルに合わせてフットレストの角度と面形状を調整。踏ん張れる形状に。

世界初の非接触給電式LED照明を開発



風向きと風量をひとつのノブで調整できるワンノブクロスレジスターには、磁界共振方式による非接触給電照明を採用。製品化には数多くの苦労があったが、奥行きのある光り方で高級感と夜間の視認性を獲得した。


施策を重ねて仕上げられた美しく軽い外板

重心から遠いところに位置する部品を軽量素材とすることで慣性モーメントを低減するための材料置換も積極的に行なわれる。アルミは鋼板に較べて伸びにくいため、特にドアパネルの下部を走るキャラクターラインをきれいに出すのが難しく、プレス加工の方向やプレス成形時の素材の流入などを調整しながら、四度の試作を繰り返した。

レクサスに相応しい音づくり

運動性能を高める軽量化のために採用したドアパネルのアルミ合金化によって、軽薄になってしまったドア閉め音を、サイドドアビームや補強部材を使ってチューニング。レクサスに相応しい、重厚で減衰感のあるドア閉め音をつくり込んだ。

リヤまわりの剛性を高める環状構造

剛性確保の骨格配置はセオリー通り。リヤサスまわりを閉断面骨格で結んでいる。サストップから立ち上がった骨格は、バックドア開口上部のリヤヘッダー骨格に突き当たり、バックドア開口部の環状骨格と合流する形になっている。

LSWと構造用接着剤の採用を増大

組み立て工法には、レーザーガンを渦状に回転させてナゲットをつくるレーザースクリューウェルディング(LSW)をドア開口部や前後サス周辺に使用(緑色点)。構造用接着剤はオープニングフランジを中心に、延べ約33mに渡って使用し、ボディ剛性を高めている(赤色線)。

レーシングカーのリヤウイングがモチーフ




レーシングカーのリヤウイングをイメージさせる特徴的なデザインで、空力効果を発揮するエアロスタビライジングブレードライト。車両背面への走行風の巻き込みを抑制し、特に操舵時や横風時にリヤの挙動を安定させる効果を持つ。

空力効果でブレーキの熱を排出


17インチホイールのスポーク断面には、レーシングカーのリヤウイングに採用されるガーニーフラップを応用した形状を採用。ガーニーフラップとは、ウイングの後端に設けた小さな縦壁のことで、ここで低圧渦を発生させ、ダウンフォースを高める技術。この低圧渦の負圧を使ってブレーキの熱気を排出しながら、ホイール側面の空気を引き寄せて気流の乱れを抑制し、Cd値の低減を図っている。

空力性能とデザインを両立するアピアランス


アーチ形状によってロール方向の挙動を抑えるエアロスタビライジングアーチモールと、リヤコンビランプのフィン形状による整流効果で操安性を向上するエアロスタビライジングブレードライトを採用。

レクサスクオリティの静粛性をつくりだすために



車室内に侵入するノイズを低減するため、車内音への寄与が大きい防音材であるダッシュインナーサイレンサーや、フロアサイレンサーの開口の縮小、素材の構成を改良。優れた吸音・遮音特性を実現している。

アンダーカバーの材質を繊維基材に変更

雨天走行時においても高い静粛性を追求し、車下まわりのカバー類の基材をPP材から繊維基材に変更したほか、アンダーコートの塗布面積も拡大している。タイヤが跳ね上げた雨水が下まわりに当たることで発生するノイズを低減。

最新技術満載のエンジンとギヤ付きCVT


クラストップレベルの動力性能と燃費性能を実現する直列4気筒2.0ℓ直噴エンジンに組み合わせられるのは、発進用ギヤを持つDirect Shift-CVT。CVTの弱点を補い、利点を伸ばす優れたシステムだ。


M20A-FKS spec.
排気量(㏄):1986
種類・気筒:直列4気筒DOHC
ボア×ストローク(㎜):80.5×97.6
エンジン最高出力(kW[㎰]/rpm):128[174]/6600
エンジン最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):209[21.3]/4000-5200
JC08モード燃費(㎞/ℓ):17.2

高速燃焼に対応した低抵抗ピストン

ピストンスカートの樹脂コートに模様を付けて油保持エリアをつくる技術は他社にも見られるが、これはピストン本体に溝を刻み、その上からコーティングを掛けることで、油保持溝を表面に浮き出させている。

クラストップの変速比を確保

発進用ギヤの採用に合わせてCVTベルトをハイ側に設定することで、効率良くベルトを使用するとともに、ワイドレンジ化。2.0ℓクラストップの変速比幅を実現した。

ベルト走行とギヤ走行の動力伝達経路

発進及び後退時には、入力軸からギヤで出力軸を直接駆動(右図下向き矢印が発進、上向きが後退)。入力軸側の多板クラッチを開放し、出力軸側をつなぐと、ベルト駆動モードに切り替わる。

機械損失の低減で高い応答性を実現

ベルト効率の悪いロー側を使用している際の伝達効率を向上させるため、発進用のギヤを採用。発進時はギヤ駆動とすることで力強い加速を実現するとともに、CVT特有のアクセル操作に対するもたつき感を払拭した。

変速速度の向上でリズミカルな加速

発進用ギヤの採用によって入力負荷が軽減されたことで、ベルト及びプーリー部の小型化を実現。ベルトを狭角化するとともにプーリーも小型化し、変速速度を20%向上させている。これにより素早い変速が可能となった。

専用ヘッドで最適化されたエンジン

エンジン型式はCVT車と同じだが、HV用エンジンはカムやピストンだけでなく、シリンダーヘッド自体も専用設計。熱効率の高いHVに最適なエンジン特性とされている。ハイブリッドシステムも小型軽量化が果たされた。

M20A-FXS spec.
排気量(㏄):1986
種類・気筒:直列4気筒DOHC
ボア×ストローク(㎜):80.5×97.6
エンジン最高出力(kW[㎰]/rpm):107[146]/6000
エンジン最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):188[19.2]/4400
モーター最高出力(kW[㎰]):80[109]
モーター最大トルク(Nm[㎏m]):202[20.6]
JC08モード燃費(㎞/ℓ[FF/AWD]):27.0/25.2


小型化されたNi-MHバッテリー

電池パックの構造の見直しや、冷却性能を維持しつつ、実現れた冷却システムのコンパクト化によって、2.0ℓ専用の小型バッテリーを開発、搭載した。

PCUも小型軽量に進化

パワー半導体の底損失化やパワースタックの両面冷却、制御基板の統合などにより、従来比20%の小型化と10%の軽量化を行ない、トランスアクスル直上への搭載。低損失と動力性能の向上を果たしている。

新型トランスアクスルを採用

コイル線使用量を削減できるモーターの新構造や、モーター性能を左右する電磁鋼板を新開発。また、トランスアクスルはリダクションギヤの平行軸歯車化などにより従来比25%の損失低減と小型化を実現している。

乗るたびに賢くなる「先読みエコドライブ」

ドライバーの運転行動や先の道路の交通状況に応じて、HVバッテリーの充放電を制御。走行データを蓄積して実用燃費に貢献するのが「先読みエコドライブ」機能。

〈先読み減速支援〉日々の運転から、どこで減速・停止するのかナビが予測してデータを蓄積。その地点に接近すると回生拡大制御を行ない、より多くのエネルギーを回収する。

〈先読みSOC制御〉長い下り坂での回生エネルギーが無駄にならぬよう、ナビの地図データの勾配情報を利用して、事前に積極的にEV走行を行ない電気残量を減らしておく。

〈渋滞SOS制御〉渋滞時のバッテリー残量低下によるエンジンの稼働を抑制するため、ナビの渋滞情報を利用して渋滞に入る前の走行時にHVバッテリーの充電を行なう。

フロント:マクファーソンストラット/リヤ:ダブルウイッシュボーン・サスペンション

フロントは高剛性かつ軽量な新開発のストラット式を、リヤには操縦安定性と乗り心地に優れた新開発のダブルウィッシュボーン式を採用。ダンパーにはFCDを採用して振動低減と操舵感の向上を図っている。

鋭い応答性を狙ったステアリング

鋭い応答性を狙い、コンパクトで高剛性のコラムアシスト式電動パワステを新開発。コラムシャフトを大径化し、ねじり剛性を高めることで高い応答性と操舵のしやすさを実現。レクサスらしいハンドリングに寄与している。

上質な走りをもたらす補強パーツ

サスペンションを的確に動かすため、より剛性の高いボディを構築するパフォーマンスロッドを装着。ステアリングギヤのブレースとともにフロントまわりの剛性を高め、上質な走りと走行安定性をもたらす。

専用開発のランフラットタイヤ

内側が柔らかく外側の硬い2層のトレッド面のゴムを採用し、通常のタイヤと同等の乗り心地と操縦性を確保。その上でタイヤサイド部に補強ゴムを配置したことにより、80㎞/h以下で160 ㎞もの距離が走行可能となっている。

フリクションコントロールデバイス(FCD)を採用

ダンパーロッドを支持するロッドガイド部に挿入したゴム部品をたわませ、油圧では制御できない高周波振動を低減するのが、フリクションコントロールデバイス。ザラザラ/ビリビリ感のない上質な乗り心地が得られる。

乗り心地と操舵性を向上

ストラットアッパー側のスプリングシートを傾けることによって、スプリングの反力線を入力方向に向けている。これによってストラットへの曲げモーメントがキャンセルでき、フリクションの低減図れる。

進化した予防安全パッケージ Lexus Safety System+


ハイブランドなレクサスだけに、ラインナップの中ではコンパクトなサイズのUXではあるが、安全装備については最新機能を惜しみなくフル装備する。機能だけでなく、プリクラッシュブレーキやカメラ性能の向上も図られている。

単眼カメラの性能を向上

夜間の歩行者に対する事故の低減のため、従来別体であったカメラのECUを一体構造にしたほか、制御自体も刷新。暗所性能の向上とダイナミックレンジの拡大による認識精度の向上など、総合的な性能向上が図られた。

全車速追従機能付きACC

ミリ波レーダーと単眼カメラで先行車を認識し、設定した車間距離を保ちながら追従走行の支援を行なう。ミリ波レーダーの検知角広角化とカメラの広い前方認識範囲により、割り込みに対する優れた認識性能も確保。

レーントレーシングアシスト(LTA)


ACC作動時に単眼カメラで走行車線の白(黄)線を捉え、車線維持に必要な操作支援を行なう。緩やかなカーブでの支援に加え、滑らかにふらつきなく車線中央を維持する走行が可能となる。


ロードサインアシスト(RSA)


単眼カメラで認識した「最高速度」「はみ出し通行禁止」「車両進入禁止」「一時停止」の道路標識を、カラーヘッドアップディスプレイとマルチインフォーメーションディスプレイに表示。標識の見落としを抑制する。

アダプティブハイビームシステム

片側11個のLEDの点灯・消灯を制御することで、細やかに照射、遮光を行なう。単眼カメラによって前走・対向車を検知し、ヘッドランプの配光を直接当てないよう、最適な状態に切り替える。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング