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人気の愛玩犬をイメージした、ホンダ横型4ストエンジン搭載バイクって?

MotorFan / 2019年6月26日 17時0分

人気の愛玩犬をイメージした、ホンダ横型4ストエンジン搭載バイクって?

モンキーやゴリラに次ぐ4ストミニの人気者、ダックス。モンキーに続くレジャーモデルとして登場したこのモデルは、1970年代、10代の高校生を中心に人気を獲得。絶版となった今でも、カスタムベースとして人気のモデルだ。1969年(昭和44年)に登場したダックスは、時代によって姿・カタチを変え、個性的なタイプがリリースされてきた。その歴史や、カスタム事情をレポート! PHOTO●4ミニ.net https://4-mini.net/ REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

1969年(昭和44年) ダックスホンダ ST50/70

「ST50スタンダード」「ST50エクスポート」「ST70スタンダード」「ST70エクスポート」の4種類あり

写真は兜(かぶと)のような形状の通称「カブトフェンダー」を装備した、国内仕様のダックスホンダST50スタンダード。

 1969年(昭和49年)、ホンダはモンキー(Z50M)に続き、胴長・短足犬の“ダックスフンド”をイメージした愛嬌のある外観のレジャーモデルの「ダックスホンダ(当時の正式名称)」をリリース。ダックスは、1970年代に高い人気を獲得。絶版となった現在でも、カスタムベース車として根強い人気を誇っている。

 ダックスホンダが登場したのは、初代モンキー(Z50M)が発売された2年後。初代のダックスホンダは、「ST50スタンダード」「ST50エクスポート」「ST70スタンダード」「ST70エクスポート」の4種類がラインナップされていた。

 ダックスホンダのエンジンは、モンキーにも搭載の、カブ系6V横型OHCがベース。50ccモデルは、4.5ps/9000rpmのパワフルな仕様(当時のモンキーは2.6ps/7000rpm)。ミッションはモンキー同様、クラッチ操作を省いた自動遠心式3速(ただし2速のレシオは異なる)が採用された。

 前後ホイールは、モンキーに採用の8インチよりも大径の10インチ、前後タイヤは、ワイドサイズの3.5サイズとしている。


 トップブリッジ周りに注目。ダックスホンダのトップブリッジ上には、「分離用ノブ」を設置。このノブを回転させると、フロント部分が分離できるしくみ。写真上は、分離用ノブや折り畳みハンドル用ノブ、トップブリッジなどをメッキがけしたカスタム。



 国内仕様のST50スタンダードには、兜(かぶと)のような形状の「カブトフェンダー」を採用(写真はカスタム車)。豪快な足周りを演出するこのフェンダーは、現在でもローダウンカスタムなどに大人気。なお、ノーマルのカブトフェンダーは、絶版化から月日が経過したために入手困難。そのため、カスタム時には、ノーマルフォルムを踏襲した、リーズナブルな社外品を使うのが定番だ。

「ダックスホンダ」は海外にも積極的に輸出されたモデル


 ダックスホンダは、アメリカやヨーロッパでも高い人気を獲得したため、積極的に輸出された。写真上は前後ショートフェンダーやアップマフラーを装備した、輸出仕様のダックスホンダST50エクスポート。

 「カブトフェンダー」やダウンマフラーを採用した国内仕様とは異なる外観がポイントだ。

●ST50 の主要SPEC
全長:1510mm/全高:580mm/全幅:960mm/乾燥重量:64kg<65kg>/燃料タンク容量:2.5ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc<72cc>/ボア×ストローク:39mm×41.4mm<47mm×41.4mm>/最大出力:4.5ps/9000rpm<6.0ps/9000rpm >/最大トルク:0.32kgm/6000rpm〈0.511kgm/7000〉/変速機:3速リターン/クラッチ形式:自動遠心式/タイヤサイズ:前後3.50-10

ダックスは横積みも可能、だけど……


 ダックスの最大のポイントは、横にしても漏れない独自設計のガソリンタンク、折り畳み式のステップ、モンキーと同じ折り畳みハンドル、そしてトップブリッジ上に設置された分離用。キャブレターのガソリンを排出する等々の作業により、車のトランクにも横積みすることができた。

 ただし10インチ採用のフロント周りや、プレス型バックボーンフレームの車体が重たくて大柄で、トランクへの積み込みが比較的困難であったこと。また、ガソリン排出等の作業が面倒だったことから、わざわざトランクに積み込む人は少なかった模様。

 写真上は横積みの方法を説明したサイドステッカー。

1976年(昭和51年) ダックスホンダ ST50-Ⅵ/70-Ⅵ、ST50-Ⅶ/70-Ⅶ

可動式フロントフェンダーを装備





 1976年(昭和51年)、バー付アップハンドルやリヤキャリアなどを装備した「ST50-Ⅵ」「ST70-Ⅵ」「ST50-Ⅶ」「ST70-Ⅶ」の4種類が追加ラインナップ。

 このモデルのポイントは、好みに合わせてスタイルチェンジできる、可動式のフロントフェンダーを装備しているところ。

 1978年(昭和53年)リリース版の「ST50-Ⅶ」には、剛性アップも望めるエンジンガードが装備されていた。

●ST70-Ⅵの主要SPEC
全長:1590mm/全高:630mm/全幅:955mm/乾燥重量:70kg/燃料タンク容量:2.5ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒72cc/ボア×ストローク:47mm×41.4mm/最大出力:5.5ps/8000rpm/最大トルク:0.51kgm/7000rpm/変速機:3速リターン/クラッチ形式:自動遠心式/タイヤサイズ:前後3.50-10

ダックスに人気のカスタム術・フレームのストレッチ加工

メインフレーム部分をストレッチ(延長加工)した珠玉のカスタム。

 プレス型バックボーンフレームを採用したダックスは、大径ホイールの装着やローダウン化によるバランスの確保。また、DOHCシリンダーヘッド装着時のクリアランス確保のため、メインフレーム部分をストレッチ(延長加工)する、プロならではの専門的かつ高度なカスタム術が人気。

 作業は「フレームの切断」「フレームの継ぎ足し」「フレームの溶接」の3つが基本。ただし、フレームは走行の要となる重要な箇所。安全確保のため、フレームのストレッチ加工は、専門の業者に依頼するのが定番だ。

1979年(昭和54年) ダックスホンダ ST50-M/ST50-C

ロング型フロントフォークなどを新採用した、ダックスのアメリカンバージョン




 1970年代終盤、ミドルバイクやビッグバイクの間ではアメリカンモデルの人気が沸騰。それがきっかけとなり1979年(昭和54年)、ダックスにもチョッパー風のアメリカンスタイルが採用された。

 このダックスは、ロー&ロングのアメリカンスタイルや、左サイドに装着された豪華なフルメッキ仕上げのエアクリーナーボックスなどが特徴。

 同車には、幅広のプルバックハンドル、前方に伸びたフロントフォーク、キャリア一体型のシーシーバー付きバックレストシート、メガフォン風アップマフラー、フルメッキ仕上げの大型エアクリーナーボックスなど個性的なアイテムが装備。

 ミッションのタイプは手動式4段リターン(ST50-M)と自動遠心式3段リターン(ST50-C)の2種類が用意された。

 その後、スクーターブームなどがきっかけとなり、このモデルを最後にダックスは一時、姿を消すことになる。

●ST50-M の主要SPEC
全長:1610mm<1600mm>/全幅:705mm<680mm >/全高:1005mm<995mm >/乾燥重量:73kg<69kg >/燃料タンク容量:2.5ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/ボア×ストローク:39mm×41.4mm/最大出力:4.1ps/8000rpm/最大トルク:0.37kgm/6000rpm/変速機:4速リターン<3速リターン>/クラッチ形式:手動式<自動遠心式>/タイヤサイズ:前後4.0-10

1995年(平成7年) ダックス

12Vエンジンを搭載してダックスが復活!



 モンキーブームの再来やレジャーの多様化に伴い、1995年(平成7年)、ダックスが再登場した(名称からダックスホンダのホンダが消滅)。

 フレームは初代から受け継がれた、スマートで強靱なプレスバックボーンを採用。エンジンはオートカムチェーンテンショナーやCDI、12VのMFバッテリーを搭載した最新型のカブ系横型がベース。
 フロントフォークは正立型を採用し、前後にワイドタイプの3.50-10インチブロックパターンタイヤを装着。

 初代ダックスに採用の折畳みハンドルに加え、シート高735mmのロングシート、メッキがけした豪華なフロントフェンダーやマフラープロテクターも装備。

●12Vダックスの主要SPEC
全長:1510mm/全幅:590mm/全高:980mm/乾燥重量:72.3kg/燃料タンク容量:2.5ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/ボア×ストローク:39mm×41.4mm/最大出力:2.6ps/7000rpm/最大トルク:0.29kgm/4500rpm/変速機:3速リターン/クラッチ形式:自動遠心式/タイヤサイズ:前後3.50-10

◆ダックス界の異端児!

1973年(昭和48年) オフロード仕様の「マイティーダックスST90」


 1973年(昭和48年)にはオフロードブームを反映し、14インチのスポークホイール、正立フロントフォーク、760mm幅アップハンドル、前後アップ型フェンダーを備えた「マイティーダックスホンダST90」が登場。

 エンジンは、低中速域を重視した、カブ90ベースのトルクフルな横型OHC90ccを搭載。フレームはダックス用をベースに、補強を加えた軽くて強靱な鋼板製バックボーンフレームを採用。前後タイヤは、ダート&舗装路ともに走行可能な、3.00-14サイズをチョイス。

1974年(昭和49年) 横型ではなく“縦型エンジン”搭載の「ノーティーダックスホンダCY50」


 1970年代中盤にかけ、オフロードブームはさらに盛り上がりを見せ、1974年(昭和49年)、ダイヤモンドフレーム、正立フロントフォーク、オン&オフ走行をこなす極太の5.4-10インチバルーンタイヤを備えた「ノーティーダックスホンダCY50」が登場。

 スポーティなCB系縦型エンジン、新設計のフレーム、既存モデルとは異なるまったく新しい外観、スポーティな足周りを装備した「ノーティダックスホンダCY50」は、現在でも異色のダックスとして人気が高いモデル。写真は1978年(昭和53年)モデル。

●ノーティーダックスホンダCY50の主要SPEC(1978年モデル)
全長:1700mm/全幅:770mm/全高:985mm/乾燥重量:82kg /燃料タンク容量:3.5ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/ボア×ストローク:42mm×35.6mm/最大出力:4.3ps/9000rpm /最大トルク:0.37kgm/7000rpm /変速機:4速リターン/クラッチ形式:手動式/タイヤサイズ:前後5.4-10

◆ダックスの超カスタムを要チェック!

前後の足を伸ばしたアメリカン仕様!



 地を這うようなロー&ロングスタイルのダックス改。ベースマシンは1995年型。フロントはフレームのネック角を変更し、ノーマルステム+100mm延長したフロントフォークを組み合せ。

 リヤは自作の120mmロングスイングアーム+ワンオフの280mmリヤショックをコーディネイト。10インチ4.0Jホイールには、前後とも110-80サイズのミシュランS1をチョイス。

 ホイールは前後ともGクラフト製10インチ4.0J。ハブはノーマルを使用。

 エンジンはCD90をベースに、SP武川製スーパーヘッド124ccやPWK28φキャブレター、5速ミッションなどでフルチューン済。マフラーはOVER製。

■OWNER:TRICKY'S(4MINIちゃんぷ17より)

これぞ究極の「浜松仕様ダックス」



メッキ加工を施して高級感をアップさせたトップブリッジ周り。メーターはスピード&タコのツイン型に変更。

 「浜松仕様」のダックス(シャリィを含む)とは、前後カブトフェンダー付きの車両をベースに、フロントフォークをショート化し、265mm前後の短いリヤショックを装着して足周りをローダウンさせたカスタムのこと。

 静岡県浜松市及び近郊地域が発祥とされることから、このネーミングが付いた。昨今では足周りのローダウンに加え、12インチ大径ビレットホイール、ディスクブレーキ、極太タイヤなどの社外パーツを組み込んだ過激なカスタムも多数登場している。

 写真はKSR用フォーク、Gクラフト製特注ステム&特注スイングアーム、前後ワイドホイール、265mmリヤショックなどで武装したハイエンドカスタム。

■OWNER:☆夢次郎(4MINIちゃんぷ17より)

1970年代から存在した、ダックスのローダウンカスタム

 ダックスのローダウンカスタムは、静岡県の浜松市及び周辺地区で人気が高かったことから、一般的に、別名「浜松仕様」と呼ばれることもある。現在でも、浜松及び周辺地域では、他の地域に比べて、ダックスカスタムが非常に多いのが特徴。

 「ダックスのローダウンカスタムは、静岡県の浜松では、1970年代から人気でしたよ」

 そう語るのは、浜松市にある4ストミニカスタムショップのエキスパート「ファルコン」の和田氏。

 和田氏によれば、当時から浜松では、10代の若者を中心に、モンキーよりもダックスが人気高。またショート型リヤショックを装着して車高を下げるカスタムが流行していたという。

 「ただし昔はパーツがなかったから、今のような過激なカスタムは皆無。エンジンのチューニングも、ダックス50にダックス70用のシリンダーヘッド、シリンダー、ピストンなどを流用する“純正流用”が主流でした」

▲「ファルコン」が手がけた、ターボ仕様のダックス。モト・チャンプ誌1999年7月号より。

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