シェフラー、FEVの気筒休止にエンジンの未来を感じた。2030年も内燃エンジンは生き残る!
MotorFan / 2019年6月25日 17時5分
エンジン技術のトレンドで言えばダウンサイジングは一段落して、ライトサイジングとマイルドハイブリッドがこれからのトレンド。さらに熱効率と燃費を向上させるための工夫が色々盛り込まれることになるだろうが、そんな工夫のひとつに気筒休止がある。人とくるまのテクノロジー展2019にも気筒休止の新しい技術が展示されていた。 TEXT&PHOTO:高根 英幸(Hideyuki TAKANE)
エンジンの特定のシリンダーだけ燃焼を行なわず運転する気筒休止は、稼働する気筒が適度な負荷を維持できるため軽負荷時の燃費を向上させるメリットもある。もちろん休止しているシリンダーの機械損失は減らないから、全体の半分のシリンダーを休止させても残念ながら燃費は半減とはならないが、たとえ5%でも燃費が向上するのなら気筒休止した方が良いことになる。
米国車ではV8の片バンクを休止させる仕組みを早くから取り入れていたし、先代のセンチュリーのV12やドイツ製のV12エンジンも片バンクを休止させる機構が採用されていた。ホンダはVTECを応用してV6の3気筒を休止させる機構を搭載していたし、マツダは4気筒エンジンの1、4番シリンダーを休止させる機構を2.5リッターエンジンで採用している。
これからのエンジンには、さらに複雑な制御の気筒休止が採用されることになるだろう。人とくるまのテクノロジー展2019でも、そんな気筒休止の最新技術を見ることができた。
メガサプライヤーのシェフラーが展示していたのはeRockerと呼ばれる電気メカニカル式可変動弁システム。ホンダのVTECのようにロッカーアームを分割してピンで結合と解除を行なう仕組みだが、油圧ではなくソレノイドバルブで長い平棒をスライドさせ、レバーによりピンを押すことでロッカーアームをフリーにする。
ブースには、そのデモ機が展示されており、動きを確認することができた。実際より低回転で回っていることもあり、動きがユーモラスに見える。ピンを押し込むためのレバーがピンの抵抗に負けてクニャッと沿ってしまうことがあるのだ。実は稼働中のロッカーアームからピンが抜けないよう、あえてレバーの剛性を落としているそうだ。
これは気筒休止以外にも可変リフトや内部EGRなどカムプロフィールの切り替えにも使えるメカだと思えた。
一方、エンジニアリング企業のFEVがパネルとムービーで披露していたのは、米国のTuLAと共同開発中のDSF(ダイナミック・スキップ・ファイア)。これは要求されるエンジントルクに合わせて任意のシリンダーの燃焼を休止する技術。やはりVTECのような2ステージ型のカム切り替えのひとつを気筒休止に使い、点火と燃料噴射を間引きすることで実現するらしい。
しかも振動を抑え込みながら1~3気筒まで個別シリンダーを自在に休止させることができる。2.0ℓ4気筒エンジンで4~9%の燃費向上が見込まれるというが、個別にバルブトレーンを休止させるには複雑な油圧制御が必要になるなど、実用化にはまだハードルは低くなさそうだ。
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