NSK:世界初、自動車向け駆動軸用「非接触式トルクセンサ」を開発
MotorFan / 2020年7月9日 14時5分
日本精工は、自動車の駆動軸のトルクをリアルタイムで測定する世界初のトルクセンサを開発した。
このトルクセンサは、駆動軸のねじれを磁気で計測し、トルクを検出する。従来困難とされていた量産車への搭載を可能にするため、センサをシンプルな構造にし、小型化した。NSKは、本製品によって自動車の環境性能、快適性、安全性の向上に貢献し、本製品の売上として2030年に60億円を目指す。
開発の背景
自動車では、自動運転や電動化など「CASE」と呼ばれる100年に1度の技術革新が進展している。安全性や快適性、そして環境負荷低減のため、自動車には様々なセンサが搭載され、自動車の状態を検知して、高度な制御を可能にする。エンジンやモータの力は、駆動軸を通じてタイヤまで伝えられる。駆動軸のトルクを測定することで、環境性能、快適性、更には故障検知などの安全性が向上する。しかし、既存の駆動軸トルクセンサでは、構造が複雑で、容積が大きいため、量産車への適用ができなかった。
本製品の特長
センサを非接触式とすることで、シンプルな構造を実現した。
センサの軸への接触による摩耗が発生せず、高い信頼性を得ることに成功している。
コイルの巻き方の工夫により軸方向の長さを半減し、材質の改良で高感度を実現した。
駆動軸に、溝やメッキなどの特殊な加工が不要で、量産車で採用されている材料や表面処理が使用可能だ。
製品の効果
高効率化のため実用化が期待されている二段変速EVで、変速ショックを吸収することで大きな段間比を実現でき、電費が7%改善する。また、ベルトCVT車においては、ベルトを挟む油圧を低減することで、変速機の損失を改善し、燃費を1.05%改善する。
また変速時や加減速時などのトルク変動を緩和し、滑らかで快適な乗り心地を可能にする。トルクを常時監視し、異常な状態を検出し故障予知が可能だ。インターネットと常時接続されるコネクティッドによって、クルマの走行状態や周囲の道路状況を把握し、データを蓄積、分析し、活用することによって、新しい価値の創造が期待された。今後、NSKは従来からの自動運転、電動化への対応に加えて、駆動軸トルクセンサによりコネクティッドにも取り組み、領域を広げCASEの進化に貢献した。
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