日本人のビタミンD不足に「まいたけ」。免疫や血管への知られざるパワー

MYLOHAS / 2018年6月21日 20時30分

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紫外線が気になる季節。日やけ止めは年中必須という女性も多いなか、あるビタミンが日本人女性に不足しているといわれます。それは、国民健康・栄養調査で10年以上にわたり「充足している」とされてきたビタミンD。

なぜビタミンDが不足するのか、ビタミンDの知られざるパワーや、ビタミンDを手軽に補給する方法について、女子栄養大学栄養学部教授の上西一弘先生にうかがいました。

日本人はビタミンD不足

ヒトを対象としたカルシウムの吸収・利用を研究テーマのひとつとしている上西先生。骨の健康をサポートするためには、カルシウムと合わせてビタミンDを摂取することが不可欠なため、ビタミンDについても研究をおこなっています。

「厚生労働省がおこなった国民健康・栄養調査では、10年以上ものあいだ“ビタミンDは足りている”という結果が出ていました。しかし5年前に新潟大学が、女性を対象に血中のビタミンD濃度を調べたところ、全世代においてビタミンD不足だったのです。

日本はそもそも、アメリカなど諸外国と比較してもビタミンDの摂取目標量が低く、対策が遅れています。日本の18歳以上の男女の摂取目安量は5.5マイクログラムですが、アメリカ・カナダでは15マイクログラム推奨ですから。とくに20代の日本人女性は、まったく足りていないのが現状です」(上西先生)

免疫も血管も。ビタミンDの知られざるパワー

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では、ビタミンDが不足するとどんな悪影響があるのでしょうか。ビタミンDの役割としてよく知られているのは、カルシウムと合わさることで、骨を強く丈夫にする働きです。しかしビタミンDの役割は、それだけではありません。

「2010年を境として、ビタミンDに関する研究論文が爆発的に増えてきました。それは、ビタミンDが活性型ビタミンDへと変化して、全身に巡り、さまざまな健康効果をもたらすことが明らかになってきたからです」(上西先生)

上西先生によると、新たに判明したビタミンDの役割は以下のとおり。

1.免疫への働き

免疫細胞に作用し、体内に侵入してきた細菌やウイルスを撃退する免疫の働きをサポートします。具体的にはビタミンDの摂取により、風邪やインフルエンザなど感染症にかかりにくい体作りをサポート。アレルギー性鼻炎や花粉症の改善も期待できます。

2.血管への働き

ビタミンDの受容体が血管の内外に存在しているため、動脈硬化、血管の石灰化の抑制が期待できます。具体的には、動脈硬化や心筋梗塞の予防など。高血圧の改善も期待できます。ビタミンDは薬ではないため、降圧剤のように血圧が下がりすぎることもありません。

3.ホルモン(すい臓)への働き

ビタミンDが血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌量を増加させるといわれます。2型糖尿病患者がビタミンDを摂取したところ、有意に血糖値が変化したという研究結果(※1)があります。

このほかにも筋力の維持や、循環器疾患・呼吸器感染症・がんリスクの低下などが期待でき、さまざまなジャンルでビタミンDのパワーが注目されているのだそう。

「海外でもビタミンD不足は非常に注目されています。サプリのなかでもビタミンDはウェイトを占めていますし、ほとんどの牛乳にはビタミンDが添加された状態で売られている。イギリスでは、パンにもビタミンDが添加されているほどです」(上西先生)

ビタミンD不足におすすめの食材

人間がビタミンDを摂取する基本的な方法は2つ。魚類やキノコ類などビタミンDを豊富に含む食材を食べるか、日光を浴びることが必要です。

「女性がビタミンD不足に陥りやすい原因は、過剰な紫外線対策によるところもあります。手のひらを太陽に10分程度かざすことで、1日に必要なビタミンDが合成されるといわれています。しかし現実にはなかなか難しいですよね。日光からビタミンDを摂取しようと思うと、紫外線対策や天候に左右されがち。コンスタントにビタミンDをとるためには、食事からの摂取が望ましいといえます」(上西先生)

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食事からビタミンDを摂取するためには、ビタミンDが豊富に含まれる魚類(鮭やイワシが多い)、キノコ類を食べるとよいそう。とくに取り入れやすいのが、キノコ類のマイタケです。

「マイタケには100グラムあたり、4.9マイクログラムものビタミンDが含まれていて、キノコ類のなかではトップクラス。マイタケというと鍋物、汁物のイメージがありますが、じつは年間を通して安定供給されているキノコです。和洋中の料理に応用が効くので、手軽にビタミンD不足を補うことができます」(上西先生)

上西先生が女子栄養大学の学生と開発した、マイタケのアレンジレシピも教えていただきました。

「骨活」にぴったり! まいたけのミートグラタン 20180621_vitamind_4

<材料>

まいたけ 200g タマネギ 1/4個(50g) トマト 1個 酒 大さじ1 パン粉 少々 こしょう 少々 じゃがいも 2個(160g×2) 鶏ひき肉 150g ピザ用とろけるチーズ 50g しょうゆ 小さじ1/2 サラダ油 大さじ1 塩 少々

<作り方>

じゃがいもは皮をむいて厚さ5mmの輪切りにし、塩、こしょうを少々ふる。グラタン皿にじゃがいもを平らに並べ、酒をふる。ラップをし、竹串を刺して通るくらいになるまで電子レンジで約5分加熱する。オーブンを200℃に温め始める。 タマネギをスライスする。まいたけは食べやすい大きさに切る。トマトは5mmくらいの半月切りにする。 フライパンにサラダ油を入れて中火で熱し、タマネギを炒める。タマネギがしんなりしたら、鶏ひき肉、まいたけを加えて炒める。全体に油が回ったら、しょうゆ、塩、こしょうを加えて炒める。 グラタン皿のじゃがいもの上に、トマト、3、チーズ、パン粉の順にのせて温めたオーブンに入れ、表面に焼き色がつくまで、13~15分焼く。

そのほか、マイタケとナスを炒めてポン酢で和えたり、揚げ春巻きの具にするのもおすすめとのこと。1パック(200g)で1日に必要なビタミンDの約90%を摂取できるマイタケ。ビタミンDパワーの恩恵を受けるためにも、賢く食生活に取り入れていきたいですね。

(※1)出典:The Effect of Improved Serum 25-Hydroxyvitamin D Status on Glycemic Control in Diabetic Patients : A Meta-Analysis.

上西一弘(うえにし・かずひろ)先生
女子栄養大学栄養学部教授。1991年より女子栄養大学に勤務。専門は栄養生理学、特にヒトを対象としたカルシウムの吸収・利用に関する研究、成長期のライフスタイルと身体状況、スポーツ選手のアセスメントなど。2010年版の「日本人の食事摂取基準」策定において、2005年版に引き続きワーキンググループメンバー(ミネラル)を務める。骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会委員も務める。

取材・文/田邉愛理、企画・構成/寺田佳織(マイロハス編集部)、image via shutterstock

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