彼との記念旅行が大惨事に。『生理ちゃん』が教えてくれる男女の違い

MYLOHAS / 2019年10月30日 12時0分

生理ちゃん (C)小山健/KADOKAWA

「『生理ちゃん』読んだ? おもしろいよね」という会話をあちこちで聞くようになったのは、いつ頃からでしょうか。

2017年1月にオモコロでスタートしたマンガ『生理ちゃん』(KADOKAWAから単行本は第2弾まで発売中)は、著者の小山健さんの「生理を擬人化する」という斬新なアイデアと、思わずほろっとくるやさしい物語がクセになる作品。2019年4月に第23回手塚治虫文化賞短編賞を受賞、11月には二階堂ふみさんが主演する映画の公開を控え、ますます注目を集めています。

生理ちゃん

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沖縄の海も生理中の彼女には地獄絵図

生理ちゃん (C)小山健/KADOKAWA

筆者が『生理ちゃん』を知ったのは、2018年12月の糸井重里さんのツイートがきっかけでした。

目が離せないといえば、小山健。【漫画】ツキイチ!生理ちゃん 10|オモコロ https://t.co/lCWjgMNJqW

— 糸井 重里 (@itoi_shigesato) December 12, 2018

読み切り形式で、主婦、ライター、編集者、中学生、アイドルなど、さまざまな女性が描かれる『生理ちゃん』。糸井さんがピックアップした連載第10回(※)の主役は、付き合って1周年の初々しいカップル。コケティッシュなセナちゃんと、セナちゃんを記念の沖縄旅行に連れてきた彼のストーリーです。

生理ちゃん

2人の旅費のために短期バイトを死ぬほどがんばった彼は張り切りますが、行きの飛行機で生理ちゃんが衝撃の登場。生理痛が重いセナちゃんと旅を満喫したい彼は、ことごとくすれ違ってしまいます。

気遣うようで的外れな彼の行動に、彼女のイライラは募るばかり。彼がうっとりする美しい海辺も、彼女には歌川国芳ばりのドクロや鬼がドロドロとうごめく地獄にしか見えない……という描写に、吹き出しながらも切ない気持ちになってきます。

※『月刊コミックビーム』で連載中のものを1ケ月遅れで公開。『生理ちゃん 2日目』に収録。

生理ちゃんに「救われる」のはなぜ?

生理ちゃん (C)小山健/KADOKAWA

ついには彼の「性欲くん」まで無遠慮に登場し、大げんかする2人。落ち込む彼を、生理ちゃんは夜の浜辺でなぐさめます。

しょうがないよ 分けられて 知らされずに ずっときたんだから

(『生理ちゃん 2日目』19ページより)

『生理ちゃん』は女性の生理をテーマにしたマンガですが、決して女性のためだけの物語ではありません。

生理ちゃん 「ライターと生理ちゃん」より

『生理ちゃん』を読むと、男女ともに「救われた気持ちになる」という感想が多いとか。それは、お互いに傷ついた記憶や知らなかった男女の違いを、擬人化された「生理ちゃん」や「性欲くん」を通して見ることで、客観視しやすくなるからだと思います。

自分をコントロールできないもどかしさも、不思議なキャラクターのせいなら「まぁ、しょうがないかな」という気がしてくる……。「宿題を忘れたのは妖怪のせい」と思わせてくれるアニメ『妖怪ウォッチ』が子どもに愛されたように、生理ちゃんは悩める大人の心を柔らかくしてくれるのです。

生理ちゃん 「主婦と生理ちゃん」より

月イチでアポなしでやってきて、きつい「生理パンチ」をかましてくる生理ちゃん。乱暴者ではあるけれど、バディとなる女性を誰よりも気遣う存在でもあります。人間の機微を捉える名手である著者だからこそ、こんなにも憎めない、私たちを癒やすキャラクターを生み出せたのでしょう。

知らなかった生理の歴史も学べる

生理ちゃん 「適齢期と生理ちゃん」より

『生理ちゃん』には男女の違いだけでなく、生理痛の重さが違う女性同士の感覚の隔たりや、初潮や閉経を迎えた女性の心の動き、小学生に向けた性教育の問題も取り上げられています。

また、「おばあちゃんと生理ちゃん」に登場する坂井泰子(『生理ちゃん』186ページより)のモデルは、紙製の使い捨てナプキン「アンネナプキン」の生みの親である実在の女性。

江戸時代の遊女・ゆいと、葛飾北斎の娘である女浮世絵師・お栄の交流が切ない「町娘と生理ちゃん」(『生理ちゃん』88ページより)では、生理がタブー視されていた江戸時代の様子を知ることができます。

マンガとしてのおもしろさはそのままで、知らなかった生理の歴史を学べるのも『生理ちゃん』の大きな魅力です。

歴史社会学者の田中ひかるさんは「2019年の今、日本では第3次生理革命が起きている」と仰っていましたが、その流れをつくった力のひとつは間違いなく小山健さんと『生理ちゃん』。傍若無人なのに繊細な生理ちゃんの活躍が、これからも楽しみです。

seirichan_book

『生理ちゃん』(左)『生理ちゃん 2日目』(右)ともに好評発売中(各税込1,320円)。第23回手塚治虫文化賞[短編賞]受賞。女性読者からは共感、男性からは勉強になると評判の作品。性別に関わらず、それぞれの立場や視点で楽しく読める話題作をぜひ!

生理のこと、どれだけ知ってる?

[生理ちゃん]

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