「ThinkPadの父」に聞く、現在過去そして未来 その3

マイナビニュース / 2017年11月14日 23時56分

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●もうバッテリにはマジックはない
ThinkPadが2017年の10月5日で25周年を迎えた。今回はそれを記念して日本IBM時代からThinkPad開発に携わり、「ThinkPadの父」とも呼ばれる内藤在正氏(現レノボ・ジャパン取締役副社長研究開発担当。以下敬称略)のインタビューをお届けする。

無線技術や入力デバイスといったさまざまな技術的観点から、これまでの歩みとこれからの「PCの行く末」を語ってもらった。第3回はノートPCを語るときに外せないバッテリの進化、ThinkPadがこだわり続けるカーボンファイバーなどの素材、そしてデザインについて聞いた。

○これからのバッテリはどうなる?

――バッテリについてはどうでしょう。ThinkPadはリチウムイオンが広く普及する前から採用していましたよね

内藤:バッテリは、ニッケル水素からリチウムイオンに変わり、方式や構造を変えながら毎年数%程度容量が増えていきました。形状が乾電池のような円筒形からリチウムイオンポリマーでレトルトパックみたいになり、ある程度自由な形状になった。これによりバッテリを薄くすることが可能で、非常に大きな変化といえるでしょう。使い方も変化してきて、安全規格などとの関係で電池の電圧は段々と上がってきました(注1)。

※注1:電力が一定ならバッテリの電圧を上げると、充電時の電流を下げることができる

これからの展開ですが、残念ながら、いますぐバッテリの容量が大幅に上がるような技術はないというのが現状です。シリコンアノードなどの「革新的」といわれる技術はあるのですが、まだ実用化されていません。シリコンは、リチウムを大量に吸うのでバッテリ素材としてはいいのですが、逆にそれによって自身の構造を壊してしまうという問題があり、なかなか実用化できないでいます。

かなり長い間、この問題に業界で取り組んでいるようですが、なかなかブレークスルーができない。他の技術も同様で、現在は既存の技術で700ワット/リットルぐらいのところからあまり大きく動いていない状態にあります。

そのため、かつてのようにバッテリの進化により容量が増加し、デバイスの動作時間が延びていくという楽な道はすでになくなっていて、これからは地道に電力を削減する、地道に電力を使わないコンポーネントを開発していくというのが、一番効果的だと思います。こういうとバッテリ関連の方に怒られるかもしれませんが、PCを作る側から見ると、もうバッテリにはマジックはない、というのが現状です。

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