航空機の技術とメカニズムの裏側 第105回 航空機の航法と管制(3)自律的な測位手段

マイナビニュース / 2018年1月30日 9時0分

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前回に取り上げた各種の無線航法支援システムは、地上に設置してあるインフラがあって、初めて機能する。それに対して、地上のインフラに頼らなくても測位を行えるようにするのが、自律的な測位手段、という意味になる。
○慣性航法システム(INS)

無線航法支援システムは、いずれも地上側のインフラがあり、それが発する電波を機上の受信機で受けることが前提になっている。ということは、地上側のインフラが整備されていない場所、あるいは洋上では、この種の航法支援手段は使えないことになる。地上のインフラに頼らなくても済む、自律的な測位手段が欲しい。

そこで登場した切り札が、慣性航法システム(INS : Inertial Navigation System)。ミサイルの誘導手段としておなじみである。

物理学の話になるが、加速度と経過時間を使うと移動距離を計算できる。その計算式を時間で2度微分すると、加速度だけが残る。裏を返せば、加速度を時間で2度積分すれば移動距離が出る(本連載は物理学の教科書ではないから、これ以上の原理的な話は書かない)。

ただし、飛行機は3次元の移動をするので、平面上の移動距離だけわかっても役に立たない。そこで、X軸・Y軸・Z軸の3方向について、それぞれ高精度の加速度計を用意する。加速度計の向きは、ジャイロスコープを使って精確に維持する。これを安定プラットフォーム式INSという。

それぞれの加速度計が測定した加速度を連続的に時間で2度積分すると、加速度計ごとの移動距離がわかる。その計算処理をX軸・Y軸・Z軸について個別に行い、その結果を合成すると、3次元の移動方向がわかる。起点の情報がわかっていれば、そこからどちらにどれだけ移動したかという情報を加味することで現在位置が出る。

もう1つ、ストラップダウン式INSというものがある。これは、加速度計をジャイロで常に安定化させるのではなく、搭載するプラットフォーム(飛行機やミサイルの機体)に固定してしまう。この方法では、プラットフォームの姿勢変化によって加速度計の向きが変動する。そこで、プラットフォームで発生する姿勢変化の向きと量を検出するレート・ジャイロの情報を加味する仕組み。

例えば「前進方向の加速度を検出したが、その際にレート・ジャイロが機首上げの動きを検出しているので、実際には斜め上に加速度がかかっている」といった計算を行う。計算処理は複雑になるが、機械的なメカニズムはシンプルになる。

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