基生研、アーバスキュラー菌根菌の絶対共生性に関わる共通の特徴を解明

マイナビニュース / 2018年7月13日 11時8分

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基礎生物学研究所(基生研)は、アーバスキュラー菌根菌(AM菌)が単独では生育できない理由を遺伝子情報から明らかにするため、単離されたAM菌株R. clarusHR1株のゲノムを解読し、モデルとされているAM菌(R.irregularis DAOM197198株)との比較ゲノム解析を実施した結果、脂肪酸やチアミンといった物質の合成系が2種類のAM菌で共通して失われていることを確認し、これらのAM菌は環境中に存在する多糖類をエネルギー源として利用可能なブドウ糖に分解する酵素もほとんど失っていることが明らかにしたと発表した。

この成果は、基礎生物学研究所/共生システム研究部門の川口正代司教授、小林裕樹研究員、 前田太郎研究員、亀岡啓研究員、田中幸子技術員、基礎生物学研究所/生物機能解析センターの重信秀治准教授、山口勝司技術職員、北海道大学の江沢辰広教授によるもので、6月18日付けで「BMC Genomics」にオンライン公開された。

ほとんどの植物は、根において土壌中の菌類と共生関係を構築している。植物が光合成によって生産したエネルギー源を菌類に提供するかわりに、菌類が土壌から吸収したリン酸などの無機栄養を植物に受け渡すことで、互いに協力的に生活するという関係だ。その中でも4億年以上も昔から存在するのが、アーバスキュラー菌根菌(AM菌)と呼ばれるタイプの菌根で、農業分野においても効率的なリン栄養の利用が行える点で注目されている。

しかし、アーバスキュラー菌根菌は植物と共生しないと増殖できない絶対共生菌で、人工的にも単独培養ができないため、AM菌の基礎研究や生物資材としての利用を行う上での障害となってきた。AM菌の研究はこれまで、主にモデル系統である Rhizophagus irregularis DAOM197198株を用いて行われてきており、そのドラフトゲノムの情報から脂肪酸合成酵素やチアミン合成酵素の欠損が指摘されていたが、それらがAM菌において一般的な特徴であるかは不明で、そもそも遺伝子情報の欠損がゲノム情報の不完全性に由来する可能性も考えられていた。

そこで研究グループは、AM菌が失っている遺伝子を確認し、そこから絶対共生性の手掛かりを解明するため、愛知県西尾市から単離されたAM菌 R. clarus HR1株のゲ ノム解読を行い、モデル種R. irregularisとの比較ゲノム解析を行った。

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