社会人としてのメールマナー、守れていますか?

マイナビニュース / 2019年9月20日 10時43分

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●メール送受信時の5つの基本マナー
世の中の大半の仕事は、人がいることによって成り立つ。そもそも取引先がいなければ仕事の受注がないわけだし、上司や先輩のサポートもなくいきなりバリバリと業務はこなせない。

多くの他人が関係してくる以上、相手に対する敬意やマナーが必要となってくる。だが、職場で使用するツールの使い方や業務上必要なタスクを先輩社員からレクチャーされることはあっても、ビジネスマナーをイチから教えてもらった機会がある社会人は少ないはずだ。そのような人は、無自覚のうちに礼節を欠いた態度をとってしまい、ビジネスチャンスを逸してしまう恐れがある。

そこで本連載では、筑波大学および札幌国際大学の客員教授を務めながら、大学や官公庁などで「職場に活かすおもてなしの心」をテーマとした講演や研修を手掛ける江上いずみ氏に、社会人として知っておくべきビジネスマナーを解説してもらう。

○メールはビジネス上の大切なコミュニケーションツール

第6回、第7回では、社会人になったばかりの新卒社員が入社後すぐに直面することになる仕事「電話応対」について記してきましたが、もう1つ、すぐに関わることになるのが「メールの送受信」です。

「学生時代にもメールのやり取りは数多くしていたし、慣れているから大丈夫」と思う人もいるかもしれませんが、就職活動をする学生が希望する先にアプローチする最初の手段はメールになりますから、その人の印象を決めるメールの出し方には十分な配慮と心づかいが必要です。

ビジネス上の大切なコミュニケーションツールであるメールのマナーを知り、新社会人として洗練されたメール送受信ができるよう、第8回では「新社会人としてのメールマナー」についてお話ししたいと思います。
○メール送受信時の5つの基本マナー

就職活動をする際の説明会への参加や面接の依頼に当たって、希望する会社にメールを送る機会は必ずあります。また、ひとたび社会人になれば、ビジネスメールを利用する機会はかなり多くあります。

メールは便利なツールでもありますが、顔が見えないコミュニケーション手段であるために、気がつかないうちに相手を不快にさせてしまうケースもあります。メールを有効に活用するための基本的なマナーとして、まずは以下の5つに留意しましょう。

1.アドレス作成時の配慮

自身のアドレスを作る際、変わったアドレスを使用するのはNGです。基本的には大学や会社で指定されたアドレスを使うのが無難です。自分で作成する場合には、xxx.comやxxx.jpなどドメインは各々利便性のあるものを使えばよいかと思いますが、「@」前の文字は、自分の名前や誕生日などで構成するようにし、決して変わった言葉を入れないようにしましょう。それ以外の特徴的な言葉を入れると相手に奇異な印象を与えかねず、ビジネスマナーとしては不適切です。

そして、その連絡先アドレスが明記される「署名」をあらかじめ送信メールに設定しておくと便利です。「署名」には、社名(大学名)、部署名、肩書き、氏名、住所、電話(FAX)番号、メールアドレスが正確に表示されるよう設定しましょう。

2.宛名を書く際の配慮

メールでは本文の冒頭に必ず相手の名前を書きます。その際には、相手の企業名・部署名・担当者名の順に、改行を入れて記載しますが、会社名は省略しないことが大切です。「株式会社」も「(株)」などとしないようにしましょう。

3.冒頭の挨拶文の配慮

メール本文の最初に入れる挨拶文と名乗りは、本題に入る前に必ず必要です。最後に署名を入れるものの、相手が文章の最後まで見なければ、誰からのメールかわからないのでは配慮に欠けます。署名を見なくてもわかるように、所属・名前(フルネーム)を最初に名乗ることがマナーになります。
冒頭の挨拶文としては、以下のようなものがあります。

何回かメールのやり取りをしている相手に対しては

「いつもお世話になっております。
株式会社○○の△△でございます。」

初めてメールを送る相手に対しては

「はじめまして。
〇〇大学〇〇学部に在籍しております〇〇〇〇と申します。」

久しぶりに連絡をする場合は

「ご無沙汰しております。」

から始めるなど、そのときに合った挨拶文を書きましょう。なお、手紙とは違って、簡潔に記すことが相手への配慮になるビジネスメールにおいては、時候の挨拶などは特に必要ありません。

4.本文での配慮

ビジネスメールは、読みやすさや情報を正しく伝える工夫をすることが、相手の時間を大切にし、尊重する気持ちを表すことになります。そのため、以下の点に注意しながら読みやすさと配慮を心がけましょう。

・伝わりやすい文章を書くことが必須なので、一行は長くても25~35文字程度にする
・メールの文章が見やすいように、5行程度のまとまりで1段落とする
・読みやすくするため、段落と段落の間は1行空ける
・1メールにつき1用件が原則。複数用件がある場合には、別件で〇〇についてもメールさせていただきますのでご確認をお願いいたします」などと文末に入れるとスマート
・日時など、箇条書きにできる項目は箇条書きにする
・友人に送るものではないので、「ありがとうございます(^_^)!」などと顔文字を使ったり、「(笑)」「(泣)」などの表現を使ったりするのは避ける
・質問に対する回答を得たときなどはお礼の返信をする。感謝の気持ちを伝えることで、「きちんとした人だ」という印象を持たれる
・文章上では相手の会社のことを「貴社」と書く(面接など口頭では「御社」)

5.締めの言葉の配慮

メール本文の最後に書く締めの言葉は、場面に適した言葉を選ぶようにします。

一般的には、

「今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます」
「引き続きどうぞよろしくお願いいたします」

の言葉で締めることが多くなりますが、他に、状況や場面に応じて、締めの言葉も工夫しましょう。

●依頼をするメール

お忙しいところ大変恐縮ですが、ご連絡をいただければ幸いです。
お手数をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

●返信の連絡をお願いするメール

お忙しいところ恐縮ですが、ご連絡をいただければ幸いです。
何卒、よろしくお願い申し上げます。

●書類や提出物を添付する際のメール

お忙しいところ恐縮ですが、ご査証いただければ幸いです。
何卒、よろしくお願い申し上げます。

●面接、打ち合わせの御礼など簡単な謝意を表す際のメール

業務ご多忙の折、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
お忙しいと存じますので、ご返信にはおよびません。
取り急ぎ、御礼申し上げます。

返信不要の一文を入れることは、多忙な相手への気遣いを伝えることになります。

●内定辞退、取り引きのお断りなど、お詫びの気持ちを含めたメール

ご担当の〇〇様にはたいへんお世話になりました。
ご迷惑をおかけし、申し訳なく思っております。
末筆ながら、貴社のさらなるご発展をお祈り申し上げます。

いかがでしょうか。こういった例を頭に入れながらたくさんのメールを書いていくうちに、次第に自分の言葉で書けるようになっていきます。

メールマナーの基本を身につけておくことにより、相手に配慮した心地よいメールを送ることができるだけではなく、メールの送受信にかかる時間を効率化することもできます。挨拶、用件に応じたお礼、お詫び、結びの言葉に至るまで、よく使う言葉を含めた文は定型文にして準備しておきましょう。

●メール送受信時のさらなる心づかい
○メール送受信時のさらなる心づかい

1.返信のタイミング

ビジネスメールの返信は、早ければ早いほど良いとされています。私は「おもてなし学」を履修する学生に対して、「すぐに返信することこそ、おもてなし」と伝えています。メールを送ってくる相手は用件があるからこそ連絡してくるわけで、その問い合わせや相談などに対してすぐ返信がくれば、「すぐにリアクションがあって助かった!」と心づかいを感じてもらえるに違いありません。素早いレスポンスは相手の信頼を得ることにつながるのです。

メールは環境が整っていれば、いつでも送受信できるものですから、いつまでも返信が来なければ、メールを送った相手は不安になります。メールの到達率は100%ではありませんし、迷惑メールボックスに入ってしまって気づかないというケースも多々あります。そのような性質を持つ電子メールであることを頭に入れて、相手からのメールを確認したらなるべく早く返信し、メールが届いていることを相手に伝えることを心がけましょう。

それでも他部署や上司への確認が必要な場合など、返信に時間がかかるケースもあります。そのような場合には、メールを受け取った旨の返信は入れておきましょう。内容について現在確認中であり、少し時間を要することを伝えるだけでも、印象はかなり変わります。

2.件名を記す際の配慮

ビジネスメールを相手にちゃんと読んでもらうために非常に大切なのが件名です。件名は、一目で何の用件なのかがわかることが必要です。

「お世話になっております」や「先日はありがとうございました」という件名にしてしまうと、迷惑メールと見なされて削除されたり、重要度が高くないメールだと判断され、開封されないまま後回しにされたりする可能性もあります。メールボックスの受信表示は限られたものですから、件名をつける際には「いつの」「何の」事柄に対するメールなのか、その概要が具体的にわかるような表記にしましょう。

そのようなポイントを踏まえた例としては以下のようなものがあります。

面接日程確認のご報告(●●大学 山田太郎)
面接日程調整のお願い(●●大学 田中花子)
インターンシップ参加の御礼(●●大学 鈴木一郎)
第5回営業ミーティングのお知らせ
■■発売キャンペーン(9/24~9/30)のご案内

なお、㈱や(1)などのカッコ付きの略称や囲み文字は機種依存文字と言い、PC環境によって文字化けする可能性があります。ビジネスメールには環境依存文字を使用しないようにしましょう。

3.返信時の件名に対する配慮

ビジネスメールにおいて受信したメールに返信する際は、件名は変えずに送ることが良いとされています。

一見、丁寧さに欠けるようで失礼ではないかと不安になる人もいるかもしれませんが、件名を変えないほうが該当のメールを検索して探しやすくなるので、相手のメール管理・処理の手間を省くことができます。もともとの件名が「面接のご案内」であれば、そのまま「Re:面接のご案内」として返信します。

それでは、件名に自分の名前や相手の名前が入っているメールが届いたときに返信する際は、どのような配慮が必要でしょうか。

例えば

「江上様 9月24日面接の件(〇〇株式会社 人事部 伊藤)」

といったメールが来た際の返信方法です。

これには諸説あります。

1.何の用件に対する返信なのかわかりやすいほうが良いので、そのまま「Re:」で返す
→「Re:江上様 9月24日面接の件(〇〇株式会社 人事部 伊藤)」

2.自分の名前は削除して、相手の名前の箇所を自分の名前に変える
→「Re:9月24日面接の件(◇◇大学 江上いずみ)」

3.自分の名前を削除して、相手の名前に「様」を書き足す
→「Re:9月24日面接の件(〇〇株式会社 人事部 伊藤様)」

いかがでしょうか。皆さんはこのような件名のメールが来たときはどのように返信していますか? ビジネスメールの件名は、「誰と」「用件は何か」がわかることが大切ですので、急ぎの場合などそのまま返信しても良いとされています。

しかし、相手への配慮、心づかい、おもてなしの心を説く私としては、相手を呼び捨てにすることになる「1」は避けたいと思っています。「誰からのメールなのか」を一目瞭然でわかっていただけるよう、「2」が最もふさわしいと考えており、普段はそのように返信しています。

ビジネスメールはとても便利な情報伝達手段ですが、使い方を間違うと相手に不快感を与えることもあれば、迷惑をかけてしまうこともあります。文字の変換ミスや誤字脱字などに気づくために、一度書いたメールを送信する前にもう一度読み直すことも大切です

友達とのやり取りとは異なり、形式や内容、文章表現、送るタイミングなど、気をつけなければならないポイントがいくつもありますので、利便性だけを追求することなく、相手への配慮と心づかいを感じさせるメールマナーを身に付けていただきたいと思います。

○著者プロフィール: 江上いずみ(えがみ・いずみ)

筑波大学客員教授・札幌国際大学客員教授・Global Manner Springs代表。東京生まれ。筑波大学附属高等学校から慶應義塾大学法学部法律学科卒業。1984年日本航空入社。客室乗務員として30年間で約19,000時間を乗務。オリンピック・パラリンピック教育担当講師として全国の小中高校で「おもてなしの心」をテーマに講演。国内外での年間講演数は250回に及び、「おもてなし学」の構築に取り組む。主な著書は「幸せマナーとおもてなしの基本」(海竜社)、「"心づかい"の極意」(ディスカバートゥエンティワン)
(江上いずみ)

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