ベイスターズ元社長がさいたま市を変える! 多様性にはeスポーツも必要

マイナビニュース / 2019年12月3日 8時0分

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プロ野球の球団「横浜DeNAベイスターズ」で初代球団社長を務めた池田純氏が、この度「さいたまスポーツコミッション」の会長を務めることになりました。池田氏は、さまざまな施策を打ち出して、低迷していた横浜DeNAベイスターズを救った「球団復活の立役者」です。

そして今度は、さいたまスポーツコミッションにて、さいたま市をスポーツ都市として発展させる活動をスタート。その「スポーツ」のなかには「eスポーツ」も含まれるというので、池田会長に詳しい話を聞きました。

――まずは、さいたまスポーツコミッションについて教えてください。

池田純氏(以下、池田):さいたまスポーツコミッションは、さいたま市の観光協会のなかにあった組織です。なので、さいたま市の行政機関なんですね。さいたま市がスポーツ都市としてまちおこしすると打ち出していたなかで、その一翼を担うために、組織がさいたまスポーツコミッションとして社団法人化し、民営化の途につきました。

さいたま市には「浦和区」と「大宮区」があり、それぞれ「浦和レッズ」と「大宮アルディージャ」という2つのJリーグのクラブチームがあります。とりわけ浦和は、浦和市の時代から“サッカーの街”として知られていますよね。

また、2013年からさいたま市では、国際的な自転車競技である「ツール・ド・フランス」を誘致した「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」を毎年開催するなど、サッカー以外でもスポーツの都市として基盤づくりを進めています。2019年10月27日に開催された7回目のクリテリウムからは、主催がさいたま市からさいたまスポーツコミッションに移管されました。

そのように、民間の思考をもとにスポーツイベントの誘致や開催支援を行い、地域や地域経済の活性化を図る目的で組織されたのがさいたまスポーツコミッションです。

――池田さんはどのような経緯で会長に就任したのでしょうか。

池田:横浜DeNAベイスターズの球団社長時代、私は業績向上と同時に、横浜のまちづくりや地域活性化を積極的に行い、実現させてきました。さいたまスポーツコミッションの活動もスポーツを活用した地域活性化ですので、その実績からさいたま市と清水市長に声をかけていただきました。

――会長としてどのような取り組みを進めているか、教えてください。

池田:クリテリウムなどのイベント誘致、運営については、さいたま市が手がけていたころから収益性の向上が課題だったので、さいたまスポーツコミッションでは、それらのイベントでよりエンターテインメント性を押し出し、収益性を高めていきたいですね。

現状、スポーツ領域への行政資金投与については、財政が窮しているわけではないでしょうが、今後は人口減少などの理由から、同じ状況が続かないことは明らか。今のうちに行政の資源をさいたまスポーツコミッションなどに投下し、行政と民間の手で、次世代に向けたスポーツに関するインフラづくりを進めるべきだと考えています。

さいたま市は、すでにサッカーの街として有名です。ただ、逆にそれしかないともいえますし、サッカーに興味ない人には響かないでしょう。クリテリウムにしても、相当額の税金を6年間も投下してきたわけですから、1日イベントを開催して終わりではなく、それをきっかけに自転車文化をさいたま市に定着させなければもったいないですよね。

ですが、そのためには、まずさいたま市に先導してもらわなければなりません。自転車に関するハードとソフトが行政によってつくられたあとであれば、経営者としての私の力を発揮できるわけです。そのように、行政と民間のハイブリッドでスポーツ都市構想を発展させていくことが、スポーツを活用して地域活性化させるための基盤になるでしょう。その第一歩として、私はローカルミニアリーナの新設を行政に提案してきました。誰かが言わないと始まりませんからね。

――さいたまスーパーアリーナとは違うアリーナが必要なのでしょうか。

池田:たしかに、さいたま市には「さいたまスーパーアリーナ」という立派なアリーナがあります。しかし、すでにスケジュールが詰まっていてパンパンの状態。また、さいたまスーパーアリーナは収容人数が3万人規模であり、国際試合を行うような「ナショナルコンテンツ」向きですので、中小規模で地元住民が気軽に足を運べるようなローカルコンテンツには適していません。

人が集まるナショナルコンテンツだけでなく、地域に密着したアイコンがさいたまにもう1つ備わり、“大小2つの装置”を使って複数の競技を展開すれば、多様な需要に対応できるはず。スポーツ都市の発展にも寄与していくでしょう。だからこそ、サッカーの街からスポーツ都市に発展させたいのであれば、5,000人~1万人クラスの地域密着型アリーナが必要だと私は考えるわけです。

――複数の競技のなかにはeスポーツも入っているのでしょうか。

池田:もちろん、eスポーツも考えていくべき時代、環境になっていると思います。避けては通れないのではないでしょうか。

10月25日に、私と清水市長とCygamesの木村唯人専務との3者のトークセッションが掲載された、埼玉新聞とサンケイスポーツのコラボ号外が配布されました。テーマは「eスポーツ×地方創生」です。

カードゲーム『Shadowverse』の世界大会「Shadowverse World Grand Prix 2019」が、2019年12月に大宮ソニックシティで開催されると発表されており、すでにeスポーツにも力を入れはじめています。さいたま市は都心からも北関東からもアクセス良好で、ほどよく都会であるため、eスポーツイベント開催にもアドバンテージになるはずです。

今は、福井県や大分県をはじめ、さまざまな地方でeスポーツをまちおこしに採用しています。おそらく、その地域には「eスポーツを背負って立とう」とする人がいらっしゃるのでしょう。さいたま市では、「自分がeスポーツを担っていくんだ」という気概のある人がまだ出てきていないので、まずは行政のなかや近いところから出てくるといいですね。

先日、埼玉県の県知事選があったんですが、知事のマニフェストにもeスポーツに関する公約が書かれていました。今後ますます市や県をあげてeスポーツに関わっていくでしょう。

――さいたま市は、「横浜DeNAベイスターズの復活」のような飛躍を池田さんに望んでいると思います。そのための道筋は見えているのでしょうか。

池田:先ほどからお伝えしていますが、まず必要なのは拠点という武器です。武器がなければ経営戦略は描けません。見方によっては“ハコ物行政”と捉えられるかもしれませんが、必要なものは作るべきですよね。そのあとの経営については、スポーツビジネスに精通した私のような民間経営者を呼んだわけですから、お任せいただければ、実現させます。もちろん、どこもかしこも同じようにハコ物に手を出してしまうのは、どうかと思いますが、現状のさいたま市には間違いなく足りないものです。

浦和はサッカーの街として認知されていますが、スポーツ都市を目指すのであれば、もっとわかりやすく一般生活者にリーチできる接点が必要なんです。新しいアリーナで繰り返しイベントが開催されて、人が集まれば、そこで食事したり、ショッピングしたりするでしょう。そこがランドマークになり、地域経済も活性化します。ですが、それも拠点あってのことです。

横浜DeNAベイスターズがいい方向に進みはじめたのも、拠点のハマスタ(横浜スタジアム)を手に入れてから。そのあと、神奈川県内の小学生にベイスターズの帽子を配ったり、スタジアムを改修したり、さまざまな取り組みができるようになりました。なので、さいたま市も新しいアリーナは大きな武器になると思います。

私はさいたまスポーツコミッションの会長として意見を出しますが、最終的な決断をするのは行政。実際にアリーナができるか否かは、行政しだいです。まずは「アリーナを建てよう」という機運が生まれるかどうかがカギでしょう。結果的に「できる」「できない」は問題ではなく、「作るんだ!」「やるんだ!」と思う人が出てくることから始まるんだと思います。

――スポーツの街を作るうえで、eスポーツに期待したい部分はありますか。

池田:人が集まって楽しむことは、eスポーツであれ、リアルスポーツであれ、変わらないと思います。楽しいところに人は集まりますし、楽しければいろいろなものが生まれるでしょう。人が集まれば、経済も動きます。なので、極論を言えば「楽しければものは何でもいい」と思っています。

私はスポーツを通じて楽しいものを作るプロですが、やはり武器がないと勝負はできません。eスポーツをする場所があれば、より集客力の高い人が来てくれる可能性があります。そうなると、さらに人が集まる好循環が生まれるのです。

先ほどもお伝えしたように、さいたま市は財政面で困っている自治体ではないのかもしれません。eスポーツもリアルスポーツもまだ黎明期で、これからさらに進化していくでしょうが、だからといって悠長に構えていると、ほかの自治体や行政に、eスポーツやスポーツの街を取られてしまう恐れがあります。さいたま市は土地や街の規模など恵まれているので、早めに動いて、スポーツの街として確立させていきたいですね。
(岡安学)

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