育児アドバイザーに聞く、みんなの子育て相談室 第34回 子どもが"友だちの悪口"を言った時、親はどう話すべき?

マイナビニュース / 2020年7月1日 14時0分

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「毎日のように怒ってしまう」「言うことを聞いてくれなくて困る」「夫(妻)と育児方針がかみ合わない」……などなど、育児に悩みは尽きません。特に、毎日忙しく過ごしている共働き夫婦なら尚更でしょう。

ここでは、育児中のマイナビニュース会員に"育児の悩み"についてアンケートを実施。寄せられたお悩みに対して"どのようにすべきか"を、NHKの育児番組でキャスターを務めた経験を持ち、現在は育児のセミナー講師や書籍執筆なども行っている天野ひかりさんに、アドバイスしてもらいます。

自己肯定感を育てるために、子どもを「認めること」の大切さを実践してくださっているお母さんお父さんが増えたようです。最初は、子どもを認めることって難しいと感じていたお母さんたちから、「なんだ、意外と簡単なことなんですね」とわかっていただけた声が届くようになりました。

しかし、まだまだ「認めること」を、子どもの心の中を推し量って、言葉がけすることだと思い込み、悩んでしまう方もいらっしゃるようです。たしかに、"認める言葉がけ"をするのが難しい場面は多々ありますね。

今回は、「子どもが、お友達の悪口を言った時に、どう認めればいいのかわかりません」というご相談に、親子コミュニケーションアドバイザーがお答えします。
○親は正論を押し付けない

「お友達の悪口を言ってもいいよ」というのは、認める言葉ではありませんし、どう考えてもおかしいですね。具体的に、お子さんとの会話をみてみましょう。

子「ママ聞いて! Aちゃんがさ、Bちゃんの秘密をバラしたんだよ。Aちゃんひどくない? 頭にくる! もう、明日から話をしない!」

こんな子どもの話に、お母さんは何と答えたらいいのでしょうか。頭のいいお母さんは、さっと答えが浮かぶかもしれません。

親「確かにAちゃんはよくないね。でも、だからって話をしなくなっても解決にならないと思うし、そんな意地悪は良くないと思う。ちゃんと話した方がいいよ」

一見これは、正論ですが、言われたお子さんは何て感じるでしょうか。「ママに言っても全然私の気持ちをわかってくれない! もうママには話さない! Aちゃんが悪いのに!!!」と、悲しく思い、お子さんの考えは何も進展しないまま、会話が止まってしまう恐れがあります。

反対に、子どもが「ママの言う通りだ。明日話をしよう」と、素直に受け止めて行動したとします。しかし、今度はBちゃんを怒らせてしまい、自分ではもうどう行動していいのかわからなくなってしまうかもしれません。

親が意見を言うと、指示された子どもは行動できますが、自分の考えが育ちにくくなってしまいます。
○子どもの考えを整理する会話法

お母さん(お父さん)としては、お子さんがお友達の悪口を言ったら、びっくりして正しいことを教えなきゃと思うのはわかります。しかし、親が考えるより子どもはずっと賢いのです。まずは、我が子の力を信じて、「えー、ほんと? 頭にくるね!」と、子どもの言葉をそのまま繰り返しましょう。

きっとお子さんは、"ママに言ってよかった、私の気持ちをわかってくれた!"、と思うはずです。そして、会話が続いていきます。

子「でしょ。秘密をバラすなんて、絶対ダメだよね?」
親「秘密をバラすのは、ダメだよね!」と追認します。

子「信用できなくなる」
親「信用できなくなるね。信頼を失っちゃうね」
子「うん。私は絶対友達の秘密はバラなさい!」
親「おお、秘密はバラさないんだね」
子「Aちゃんは、信用できない」
親「Aちゃん、信用できないんだ」
子「うん。でもBちゃんも悪いんだよね……実はその前にさ、いろいろあったんだ」
親「その前にいろいろあったんだ」
子「そう。だから一方的にAちゃんだけが悪いわけじゃないんだよ……」
親「Aちゃんだけが悪いんじゃないんだ」

会話の中で、親が子どもに気付いて欲しかったことに、子ども自ら考えて気づいていくことが大切です。子どもの頭の中にあるうちは自分の考えが整理されていませんが、親子で会話をする中で、自分で言葉にして、考えを育んでいけるのです。
○言葉を繰り返すだけで子どもの考えは育つ

親は正論を教えたくなりますが、子どもの言葉をただ繰り返すだけで、子どもは自分で考え出し、答えを見つけていく力を持っています。こんなにうまくいくの? と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、実践したママたちからは、「すごい! 子どもとの関係性がまるで変わった」とうれしい声が届いています。

子どもを変えようと思ったら、まずは自分が変わること。そして、自分が変わることが難しいと感じたら、我が子も変わるのは難しいわけだな、と謙虚になれるのではないでしょうか。

実際に試してくださったお母さんたちは、「やってみたら、子どもがとってもうれしそうな顔をしたので、あっという間に私も変われた」や、「子どもの言葉を繰り返すだけでいいので、やってみたら全然頭を使わなくてよくて楽になった」と言っていました。難しく考えすぎていた自分から解放され、子どもの笑顔というご褒美があるので頑張れそうですね。

また「何も考えずに言葉を繰り返すだけなので、さすがに子どももバカにされていると思うのではないかと思ったけど、とてもうれしそうに話していて、私にも優しくなったので、こんなのでいいんだと感じた」という声もありました。

つまり、親が頭を使わなければ、子どもが頭を使い出すのです。親が子どもをコントロールしなければ、子どもは自ら自制するようになる。子どもってすごい力を持っています。

そうして引き出された力こそ、未来を生きる子どもたちにとって、必要な力なのだと思います。どうぞお子さんの言葉を繰り返して、お子さんをそのまま認めることを続けてくださいね。

○執筆者プロフィール :天野 ひかり

・親子コミュニケーションアドバイザー

・NPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事
上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。
NHK「すくすく子育て」キャスターとしての経験を生かし、全国の親子に寄り添いながら、講演会や講座、シンポジウム、企業セミナー講師などを実施。
自身が立ち上げたNPO法人でも、子どもの自己肯定感を育てる親子のコミュニケーションを学ぶ教室「ことばでおやこみゅ教室」を主宰する。
■HP: h I k a r i a m a n o
■著書
・Amazon子育てランキング1位のロングセラー
「子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ」サンクチュアリ出版
・最新刊
「賢い子を育てる夫婦の会話」あさ出版 ほか。
(天野ひかり)

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