放送開始15周年『ウルトラマンマックス』は"作家主義"の1話完結オムニバス形式が魅力

マイナビニュース / 2020年7月9日 17時38分

写真

画像提供:マイナビニュース

●原点回帰の王道ウルトラマンと、人気怪獣の復活
YouTubeの「ウルトラマン公式 ULTRAMAN OFFICIAL by TSUBURAYA PROD.」チャンネルで、7月7日より『ウルトラマンマックス』の配信が開始された(毎週1話更新/2週間限定配信/全40回)。今からちょうど15年前となる2005年7月2日に放送が始まった『ウルトラマンマックス』とはいかなるシリーズだったのか、これからの配信に向けて、その概要と注目ポイントを挙げてみたい。

円谷プロダクション製作の連続テレビドラマ『ウルトラマンマックス』は『ウルトラマンネクサス』(2004年)の後番組として、2005(平成17)年7月2日から2006(平成18)年4月1日まで、CBC・TBS系で毎週土曜日朝7:30より放送された。

雑誌、イベント、劇場映画『ULTRAMAN』(2004年)といった各メディアで複合的に展開した「ULTRA N PROJECT」の一環として作られた『ウルトラマンネクサス』は、人から人へと受け継がれる光の"絆"をテーマに、人間の暗部を鋭くえぐるような暗く重苦しいストーリー展開が大きな特徴だった。これに続く『ウルトラマンマックス』では『ネクサス』とは180度異なる「子どもを意識した原点回帰の王道」ウルトラマンを作ろうというコンセプトで、企画が立ちあげられた。

「最強・最速」というキャッチコピーが与えられたヒーロー・ウルトラマンマックスは、『ウルトラセブン』(1967年)をモチーフに、シンプルな「赤」と「銀」を中心にデザインがまとめられた。色遣いや体のラインなどは"オーソドックス"でありながら、胸のプロテクターの形状や左腕に備えられた「マックススパーク」などで"独自性"を打ち出している。「原点回帰」と「新鮮さ」の両方を備えたウルトラマンマックスのデザインワーク(丸山浩氏による)から、本作の方向性を容易につかみとることができる。

原点回帰といえば、『マックス』では当初から「エレキング、レッドキング、ゼットンなど過去の人気ウルトラ怪獣が"復活"する」と告知されており、彼らの勇姿をよく知る年長特撮ファンの興奮を誘った。平成ウルトラマンシリーズの基礎を築いた『ウルトラマンティガ』(1996年)や続編の『ウルトラマンダイナ』(1997年)、そして『ウルトラマンガイア』(1998年)では、人気怪獣のネームバリューに頼らない新たなウルトラ怪獣を生み出そうとして、旧作の怪獣・宇宙人を出さないよう努めていたからだ。

『ウルトラマン』(1966年)第2話「侵略者を撃て」第16話「科特隊宇宙へ」の脚本・監督を務めた飯島敏宏(千束北男)氏による『劇場版ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』(2001年)ではデザインが大幅にリニューアルされたバルタン星人が登場したが、テレビ版『ウルトラマンコスモス』(2001年)には旧作オマージュ怪獣(ガモラン、ギギ、リドリアスなど)こそあったものの、旧作怪獣そのものの登場はなかった。それだけに『マックス』ではどんな「ウルトラ怪獣」がよみがえり、どのような活躍をするのか大いに注目が集まった。

第1話「ウルトラマンマックス誕生!」にはラゴラス、グランゴンという2大(新)怪獣がウルトラマンマックスと激戦を繰り広げた。そして第2話「怪獣を飼う女」には放電竜エレキングが登場。このエレキングは『ウルトラセブン』の第3話「湖のひみつ」で大暴れした宇宙怪獣エレキングに酷似しているものの、体の模様のつき方が異なり、両腕には鋭いツメが生えている。このように『マックス』に登場する旧作ウルトラ怪獣は(一部の例外を除いて)みな新たな設定・属性が与えられた「リメイク怪獣」といっていいだろう。

『マックス』のリメイク怪獣は、第2話、第27話のエレキング、第5、6、36話のレッドキングとピグモン、第11話のアントラー、第13話のゼットン、第14話のキングジョー、第21話のゴモラ、第24話のメトロン星人、第33、34話のバルタン星人といった面々。いずれも過去の作品とは直接のつながりがないキャラクターだったが、唯一メトロン星人だけはかつて『ウルトラセブン』に登場したのと同じ個体であり、セブンのアイスラッガーで真っ二つにされたボディを縫い合わせ、蘇生したという設定が与えられている。

毎回、さまざまな要因で地球上に姿を現し、人類に危害を加える巨大怪獣。これを迎えうつのが、地球防衛連合UDF日本支部の対怪獣防衛チームDASH(ダッシュ)の隊員たち(ヒジカタ隊長、カイト隊員、ミズキ隊員、ショーン隊員、コバ隊員、オペレーターのアンドロイド・エリー)と、謎のヒーロー・ウルトラマンマックスなのである。

マックスと一体化する主人公トウマ・カイト役は、第1、2話を手がけた金子修介監督によって青山草太が抜擢された。また、アンドロイドのエリー役に満島ひかりをキャスティングしたのも金子監督だった。チームDASHの面々には、どこか『ウルトラマン』の科学特捜隊を思わせるアットホームな空気が漂っており、射撃の名手で熱血漢のコバ、ムードメーカーで発明狂の一面を持つショーン、活発な女性隊員ミズキ、感情のないアンドロイドながらどこか人間味のあるエリー、優しさと勇敢さを備えるカイト、そして彼らをまとめるよき兄貴分のヒジカタと、個性豊かなメンバーがそろった。

さらには、『ウルトラマン』の科学特捜隊・ハヤタ隊員を演じた黒部進がUDFのトミオカ長官役、フジ・アキコ隊員の桜井浩子がヨシナガ教授役でレギュラー入りしている点にも注目したい。地球防衛の"レジェンド"たちに見守られながら、若いチームが最前線で怪獣事件に挑むという防衛チームの"二世代化"も本作の大きな魅力となった。

●"作家主義"で生まれた個性豊かなエピソード群
『ウルトラマンマックス』で初めてプロデューサーを兼任することになった演出家・八木毅氏の談話によると、本作ではひとつひとつのエピソードを"バラエティ"に富んだものにするべく「1話完結のオムニバス形式」を徹底する考えがあったそうだ。全体的なテーマこそ作り込まれてはいるが、それは緩やかな"縛り"でしかなく、脚本家と演出家の"やりたいこと"を優先する作品作り、つまり"作家主義"の方針が貫かれていた。

このような考えのもと、『マックス』ではそうそうたる脚本家・演出家が集められ、各クリエイターの持ち味・方向性をぞんぶんに活かしたエピソードが創造された。

演出家では、平成『ガメラ』シリーズで特撮怪獣映画の"流れ"を激変させた功労者・金子修介監督、『ウルトラマンティガ』など平成ウルトラマンシリーズで手腕をふるった村石宏實監督、『ゴジラ2000ミレニアム』(1999年)の鈴木健二特技監督、『ゴジラ×メカゴジラ』(2002年)の菊地雄一特技監督といった特撮ファンからの信頼厚い面々に加え、『DEAD OR ALIVE 犯罪者』(1999年)『殺し屋1』(2001年)といったバイオレンス色の強い映画作品で有名な三池崇史監督など、これまで「特撮ヒーロー」作品に関わったことのない実力派までもが参入し、話題を集めた。あらゆる攻撃を吸収して無限に強くなる完全生命体イフが登場する第15話「第三番惑星の奇跡」、そして宇宙化猫タマ、ミケ、クロが人々の記憶を奪う第16話「わたしはだあれ?」という2本の三池監督作品は『マックス』屈指の傑作として、後々までファンの間で語り継がれている。

脚本家も同じく、「特撮ヒーロー」作品の経験がある梶研吾氏、小中千昭氏、小林雄次氏、川上英幸氏、林壮太郎氏、太田愛氏らに加え、ミステリ作家としていくつものヒットシリーズを持つ大倉崇裕氏、アニメ作品を多く手がけている黒田洋介氏、後に「平成仮面ライダーシリーズ」にも関わる福田卓郎氏、中島かずき氏らもウルトラマンシリーズに初参加し、空想の幅を拡げたバラエティ豊かな作品を作り出した。

そして、2004年に深夜枠で放送(テレビ東京系)された『ウルトラQ dark fantasy』に引き続き、かつてウルトラマンシリーズで活躍した"レジェンド"たちがぞくぞく参加し、意欲的なエピソードを創造しているのも重要である。

『ウルトラQ dark fantasy』でも「踊るガラゴン」「小町」「ウニトローダの恩返し」などの傑作脚本を手がけた上原正三氏は、第13話「ゼットンの娘」第14話「恋するキングジョー」で人気怪獣ゼットン、キングジョーを大暴れさせているほか、ウルトラマンマックスの仲間・ウルトラマンゼノンと新武器・マックスギャラクシーの登場をも描いた。そして第22話「胡蝶の夢」第24話「狙われない街」では鬼才・実相寺昭雄監督が登板し、独自の映像感覚で迫る"実相寺ワールド"を貫き通した。脚本家・小説家として多くのヒット作を送り出した藤川桂介氏も、第35話「M32星雲のアダムとイブ」のシナリオを手がけている。

飯島敏宏監督は脚本(千束北男)も兼任し、もっとも愛着のあるキャラクター・バルタン星人を迎えた前後編の第33話「ようこそ!地球へ前編 バルタン星の科学」第34話「ようこそ!地球へ後編 さらば!バルタン星人」を作り上げた。ウルトラマンマックスとの対決シーンでは、ダークバルタンがいきなり空を覆い尽くすほど無数に"分身"して襲いかかるといった斬新なイメージを具現化。数えきれないほど増殖したバルタンを見てもまったく動じず、マックスも自分の身体を同じ数だけ分身させ、たちまちバルタン軍団VSマックス軍団の戦いへと持ち込むあたり、「科特隊宇宙へ」でのウルトラマンとバルタン星人(二代目)とのバトルを思い出させてくれる。あのときのウルトラマンも、スペシウム光線をはね返すバルタン星人に対してまったくあわてることなく、素早く新技「ウルトラスラッシュ」を放ってバルタンを真っ二つに切り裂いてしまった。映像表現やキャラクター描写にどんどん新しいものを投入したとしても、ヒーロー・ウルトラマンの持つ基本的な性格やスタイルは崩さないという、飯島監督のゆるぎない信念がこうしたところからもうかがえる。

怪獣・怪事件をドラマの中心に据えた正統"ウルトラ"エピソードや、怪獣や宇宙人の行動を通じて「人間の愚かさ・醜さ」を描いたメッセージ性の強いエピソード、少年の健やかな成長を育む明朗なエピソード、徹底的にコミカルな方向に振り切ったエピソード、怪獣出現の根源的な謎に切りこんだエピソード(第29話)など、バラエティ豊かな単発エピソードがそれぞれの「輝き」を放っている『ウルトラマンマックス』。放送から15年という節目を迎えた今、レジェンドから若手まで、実に多くの"才能"が結集して作り出された珠玉の作品の数々を、あらためて1話ずつ楽しんでみたい。

(C)円谷プロ
(秋田英夫)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング