経営の専門家や士業従事者らが紐解く「新時代の働き方」 第49回 「キャッシュフロー計算書」の特徴と見方

マイナビニュース / 2020年7月13日 18時5分

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テクノロジーが進化し、AIの導入などが現実のものとなった今、「働き方」が様変わりしてきています。終身雇用も崩れ始め、ライフプランに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

本連載では、法務・税務・起業コンサルタントのプロをはじめとする面々が、副業・複業、転職、起業、海外進出などをテーマに、「新時代の働き方」に関する情報をリレー形式で発信していきます。

今回は、コンサルティング会社と会計事務所の代表を務め、スタートアップを中心に会計面・資金調達面からサポートを行っている岡野貴幸氏が、「キャッシュフロー計算書」の特徴と見方について解説します。

前回までで、大きな考え方として、利益も重要ですが、利益以上にフリー・キャッシュフローを最大化することが重要と記載してきました。

フリー・キャッシュフローの最大化と言うと難しく聞こえますが、簡単に言うならば現預金の保有額をより大きくしておきましょうということです。そしてこの現預金の保有額を、当期末と前期末で比較してどの程度増減したか、どういった内容で増減したかを表すのが「キャッシュフロー計算書」です。今回はこのキャッシュフロー計算書についてお話したいと思います。
○キャッシュフロー計算書と資金繰り表は何が違う?

現預金を管理するものとして「資金繰り表」というものがあります。資金繰り表はメジャーな言葉で、キャッシュフロー計算書よりも馴染みのある言葉なのではないかと思います。私の感覚として、中小企業の場合、資金繰り表は自社にて作成しているが、キャッシュフロー計算書は作成していないという会社が圧倒的に多いです。

資金繰り表は、明確な定義があるわけではないですが、下記のような特徴があります。
・スタートが期首もしくは月初の現預金残高となっており、日々の入出金を記入していく。
・先々の入出金で分かる情報を記入していく。
・先々の入出金情報を記入した結果、将来の資金繰りが問題なく回るかを確認する。
・作成のルールは特になく、会社ごとにフォーマットがある。

資金繰り表作成の最大の目的は、先々の資金繰りが問題なく行えていくかを確認することです。つまり、未来の資金繰りに注力する表とも言えるでしょう。これ自体がとても重要であり、資金繰り表を作成していない会社は作成することをお勧めします。

一方、「キャッシュフロー計算書」には下記のような特徴があります。
・作成にはルールがあり、財務諸表のひとつである。
・期首から期末のお金の流れを表したものであり、過去の実績の報告書である。
・決算の数字に基づいて会社の財務内容等を分析・判断・報告するために使用する。

キャッシュフロー計算書は作成のルールがあるため、他社と比較する、一般的な指標と照らして分析することが出来るという点が優れています。キャッシュフロー計算書を作成していない会社は多いですが、作成をすると今まで見えてこなかった視点が見えてきます。ぜひとも作成してみてください。
○キャッシュフロー計算書を見るときのポイント3つ

キャッシュフロー計算書は、作成のルールが決められているため、最終的にアウトプットされる形式も統一されています。大きくは、「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」の3つに分かれています。
○1.営業活動によるキャッシュフロー

営業活動によるキャッシュフローとは、本業によってキャッシュがどれくらい増減したかを示す項目で、本業で設けたお金を明らかにしたものです。この項目の合計がプラスであれば、本業が好調な証拠と言えます。一方、マイナスの場合は、本業でキャッシュが減っていっている状況なので、これが続けば経営が成り立たなくなります。
○2.投資活動によるキャッシュフロー

投資活動におけるキャッシュフローは、固定資産、有価証券などの取得や売却をした時のキャッシュの増減を示す項目です。将来のためにどれだけお金を使ったかを確認する項目となります。

将来の営業活動によるキャッシュフローを獲得するためには、投資活動が必要です。成長企業はマイナスとなることが多いですが、プラスの場合は、土地や建物、株式を売却してキャッシュを手にしているということが分かります。
○3.財務活動によるキャッシュフロー

財務活動によるキャッシュフローとは、借りたお金や返したお金、株主から出資を受けたり配当金の支払を行ったりした時のキャッシュの増減を示す項目です。この項目は、営業活動によるキャッシュフローで獲得した資金を借入金の返済に充て、財務活動によるキャッシュフローがマイナスになっていると優良な状態となります。

一方、成長企業は投資活動によるキャッシュフローに充てるために、金融機関からの借入や、株主からの出資を受けて財務活動によるキャッシュフローがプラスという状態もあります。

以上が、キャッシュフローの基本の考え方となります。次回は、キャッシュフロー計算書の分析について考えたいと思います。

○執筆者プロフィール : 岡野貴幸

ゴージュ株式会社 代表取締役、ゴージュ会計事務所 代表公認会計士
立教大学経済学部卒業。大学在学時に公認会計士試験に合格。大学卒業後、あずさ監査法人国際部に入社。上場企業の法定監査、国際会計基準導入支援業務を経験。実家は埼玉県で3代続く税理士事務所を経営しているが、ゼロから立ち上げ新しい会計事務所の形を作りたいと一念発起し、2014年に独立。岡野公認会計士事務所(現、ゴージュ会計事務所)を設立。同時にコンサルティング会社であるゴージュ株式会社を設立。成長する企業を会計面・資金調達面からサポートしたい想いから、スタートアップを中心にサービスを行っている。クラウドを駆使し徹底した経理の効率化、事業計画の作成、資金調達を得意とする。

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