「貯金ゼロ」で何が悪いんですか? 貯金がなくてもいい条件とは - FPに聞く

マイナビニュース / 2020年9月28日 11時47分

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「宵越しの金は持たない」と言われている江戸時代の庶民ですが、その実、身一つが資本であった彼らは、食べるものに注意を払い、お金が資本の商家よりは、しっかりとした食事をとっていたようです。そのためにその下肥は栄養価が高く、商家のそれよりも高く引き取られたという説もあります。

そんな蓄えのない庶民であっても周囲が助け合って最低限何とかなったようで、そんな江戸時代の究極のミニマリスト生活になぜかしら一種の羨望を感じます。

しかし、果たして現代でそのような生活は可能なのでしょうか。可能であるケースとはどのようなものでしょうか。
○貯金が必要となるケースは?

貯金の目的の第一は、不測の事態が起き、通常の支出以上の金額が必要となったときに備えるためです。また、将来想定される資金不足に備えるためでもあります。それ以外は、ゆとりある老後を過ごしたいなど、人それぞれに違いがあります。それでは一般的な不測の事態、または想定される生活費不足とはどのようなケースが考えられるでしょうか。
○ケガや病気で働けなくなって収入が無くなった、または生活できないレベルに低減した

正社員であれば、長期の療養でもある程度の支援があるかもしれませんが、そうでなければ働けなくなれば直ちに収入が無くなるでしょう。今回の新型コロナでも、不安定な仕事についていた方々の収入減が問題ななり、様々な給付金制度が設けられました。しかし、たかだか数か月の備蓄がないことは、また別の問題があります。

現代で問題となるのが、住宅ローン等の多額の負債を抱えているケースです。また家賃、スマホなどの通信費や電化製品などの光熱費が、現代ではかなりの負担となります。生きていく上での最低限の衣食の費用はそう大きな金額ではありません。支出に対して、現代人は考えを見直す余地も少なくないと思っています。
○通常収支の範疇を超えた支出が必要となった

・病気やケガの治療費
・子供を高校・大学へ行かせる教育費
・住宅取得資金
・親の介護や治療費

これらを支出できるだけの収入が確実に確保できれば貯蓄がなくても問題がないのですが、収入が維持できない事態が起きるのは、今回の新型コロナでも明白です。
○老後の年金が少なく、生活費が不足する見込みである

年金が不十分である見込みがあるのであれば、若い時から準備する必要があるでしょう。医療費なども健康保険があっても、高齢になればかなりの費用がかかります。また差額ベッドなどは健康保険料で補完されませんので、1カ月で100万円というケースもあります。
○貯金がなくても大丈夫なケースは?

それでは、これから起きうる不測の事態や資金不足を想定しても、貯金がなくても大丈夫なケースはどのようなものがあるでしょうか。それはお金に代わる何かしらの対策があるケースです。
○不労所得がある

不動産収入等で貯金相当分の余剰収入があれば、不測の事態には対応可能でしょう。また人によっては、貯蓄に充てる金額を不動産投資などに振り分け、将来の余剰収入を確保する方もあります。貯蓄を別の形に変換したケースです。
○支出が少なくて済む生活をする

そもそも支出が少なければ、貯蓄がないリスクも低減されます。田舎で自給自足の生活であれば、さほどお金は必要ではありません。病気等で一時働けなくなっても治療費等は必要ですが、その後は元の生活に戻りやすいでしょう。子供を自力で大学に行かせ、老後は田舎で自給自足生活する予定で、その準備があれば、その分の貯蓄は少なくても良いでしょう。
○自宅を活用する

自宅は資産です。活用範疇の広い自宅を所有することは貯蓄以上の効果を発揮する場合もあります。例えば、売却や賃貸物件にして自分たちは田舎などの安い物件に買い替える方法やリバースモーゲージを利用して生活資金不足を補う方法もあります。また、子供たちが独立して余った部屋を留学生などに貸して、家賃収入を確保するなどの方法も考えられます。
○夫婦ともに正社員で働いている

夫婦で正社員として働いているのであれば、双方が同時に働けなくなったり収入を失ったりする確率は低いので、貯金がなくてもどちらかの収入で生計が維持できます。ただし、双方が正社員にも関わらず貯金がないとなると、相当に生活が広がっているはずなので、その切り替えは必要です。
○保険や上乗せ年金で対策している

年金が少ない見込みであっても、早くから上乗せ年金に加入し保険料を支払っているのであれば、老後のための貯蓄はその分無くても良いでしょう。また、病気やケガ、学資、収入減少に対する保険などを過不足なく加入していれば、ある程度カバーできるでしょう。ただし、保障の対象によっては相当高額な保険料が必要となります。

もっとも保険や上乗せの年金加入、不動産投資などは貯蓄の一環と考えられなくもありません。

お金がすべてで、あくせくと貯蓄をしなければならない現代の都会生活に、だれもがある程度息苦しさを感じているのではないでしょうか。「断捨離」や「ミニマリスト」という言葉が注目されるのも同じ感覚でしょう。

貯金額だけで考えると、いくらあっても心配がなくなることはありません。世間一般からすると平均をかなり上回る貯蓄がありながら、不安を訴える相談を受けることも少なくありません。

今回の新型コロナでもわかるように、都会の生活は既存のモノや施設に頼り、お金に頼りすぎる生活であることが露見しました。だから自粛生活が苦しくて仕方がないのです。お金に頼らない都会の生活スタイルを考えざるをえなくなったと言えるでしょう。

貯金は必要ではありますが、シンプルライフ、田舎生活でのスローライフ、都会の下町での長屋的生活やコレクティブハウスでの生活など、お金以外の現代にふさわしい生活スタイルやセーフティネットも必要ではないでしょうか。

佐藤章子 さとうあきこ 一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。 この著者の記事一覧はこちら
(佐藤章子)

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