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佐野正弘のケータイ業界情報局 第134回 日本の5G、整備が加速しないのは“儲からない”から!?

マイナビニュース / 2024年8月21日 17時30分

ですが、5G時代に入ると、国内でもインフラシェアリングに向けた動きが急加速。すでに、KDDIとソフトバンクが2020年に合弁で「5G Japan」を設立してインフラシェアリングの強化を図っていますし、NTTドコモは2022年に、最大6,002基の通信鉄塔をインフラシェアリング専業のJTOWERに譲渡すると発表。最近でも2024年7月22日に、KDDIがJTOWERと通信鉄塔などの設備を整理統合する検討を進めることを発表しています。

5Gで稼ぐにはより一層の投資が必要

なぜ日本の携帯電話会社は、5Gになって突然ネットワーク整備に消極的になってしまったのでしょうか? その要因は大きく2つあり、1つは日本で5Gのサービスが始まった2020年に、菅義偉氏が首相に就任したこと。かねて携帯電話料金の引き下げに非常に熱心だった菅氏の影響によって、携帯各社は料金引き下げを迫られ、結果業績を大幅に悪化させたことで5Gへの投資に消極的になってしまったといえます。

ですがもう1つ、大きな要因となっているのが、5Gの活用をけん引するキラーデバイスやサービスが出てこないことです。当初、5Gのキラーになると見られていた法人ソリューションやメタバースなどはいずれも期待外れの結果に終わっており、5Gの利用用途は4Gとあまり変わっていない状況にあります。

それゆえ、5Gに積極的に投資をしてもスマートフォンで得られる以上の収益を得るのが難しく、日本では携帯電話料金に対して依然、行政からの引き下げ圧力が働いている状況にあります。スマートフォンのトラフィックは増加傾向にあることから、通信品質を低下させない程度に5Gの整備を進めてはいるものの、あまり儲からないから積極投資をしたくない、というのが携帯電話会社の本音といえるのではないでしょうか。

それだけに、5Gのネットワークをより充実させるには、携帯電話会社が5Gを整備することで売上が伸びる明確なメリットが必要といえるでしょう。そのための施策をいくつか打ち出しているのが、基地局などの通信設備を提供している、ノキアやエリクソンといった通信機器ベンダーです。

ノキアは基地局をAIの推論に活用したり、APIを通じて携帯電話会社のネットワークを外部のアプリケーションから利用できるようにしたりするなど、携帯電話会社のインフラを外部の企業に提供して収益化につなげることを提案。一方エリクソンは、通信速度や品質を向上させるのにお金を多く支払ってもいいと考える消費者が世界的に多いとし、高速・高品質の通信サービスを付加価値として提供し、収益を高めることを提案しています。

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