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村山&戸辺コンビが紹介する渡辺将棋の真骨頂 「渡辺将棋を大いに語る~印象に残る厳選20番~」

マイナビニュース / 2024年9月10日 11時30分

村山 私は四段デビュー戦が2003年11月17日の新人王戦だったんですが175手で負け、終了が午後9時5分。気合が入っていたのにがっくりきて渡辺さんに連絡したら「じゃあ、おいでよ」「ハイいきます」ということになったんでした。そのひと月ほど前、渡辺さんは羽生さんに初挑戦した王座戦五番勝負の第5局で敗れ、まだその傷が癒えてはいなかったと思うんですが、へこんでいる私にとても気を遣ってくれて「じゃあ、映画でも見にいきますか」と。2人とも深田恭子が好きだったんで、深キョン主演『陰陽師Ⅱ』を見にいったのをよく覚えています。

戸辺 あれ? そのときの記録係って僕じゃないですか。なんで一緒にいっていないんだろう。あ、思い出した。なんか村山さんは僕にむかついてたって、あとから言ってましたよね。イラっときていて、そのせいで負けたとか言ってたから、それで誘ってくれなかったんだ(笑)。

村山 戸辺さんの秒読みが、語尾が間延びしてあまりにも鼻についたんだよね。「秒読みは10分からお願いします」って言ってたんだけど、途中で「もう読まなくていいです」って断ったくらい(笑)。

戸辺 将棋が長くて、僕もだるくなって飽きちゃったんでしょうね。A級のカードとかならまだしも、四段と三段の将棋ですし、僕自身も参加している三段リーグの延長みたいなもんじゃないですか。早く終わらせてよ、みたいな気分だったんだと思います(笑)。村山さんは長考派でしたし、相手も小刻みに時間を使っていま思えば内容自体は力が入った好局だったんですけど(笑)。まあ、基本的に渡辺さんは我々には優しかったですよね。結構ほかの人については「あの人こうだよね」みたいに辛辣なことも言ってたじゃないですか。そのノリで自分も酷評されているんじゃないかと疑ったこともあったんですけど(笑)。でも、しょうもない負け方をして落ち込んでいるときは「そういうこともあるよ」といつも慰めてくれましたよね。「見ちゃおれない将棋だった」と言われたことはありません。

村山 確かに将棋に関して厳しいことを言われた記憶はないですね。私は三段時代、渡辺さんの記録は追っかけでかなり取っていたんですが、序盤こそやや粗削りだったと思いますけど、月並みですが終盤力には目をみはるものがありました。奨励会時代だと私がトン死負けを食らったり、大逆転の将棋も何局かあります。

戸辺 勝ち方がうまかったですよね。私も渡辺さんが四、五段の頃は頻繁に記録を取っていましたが、作戦勝ちから実際に勝ちきるまでの手際のよさが抜群でした。時間をかけてもたもた勝つなら誰でもできると思うんですけど、勝ちパターンに持ち込むまでが速かったです。いまの将棋はベタ読みでいい手を見つけなくてはならない傾向も強いので、渡辺さんのフォームも変わったとは思いますが。

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