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メディアから見た建設産業の近未来像とは

マイナビニュース / 2024年9月19日 10時0分

牧野: 肌感覚からすると、蓋を開いてみないとわからない面があるように感じています。人員が足りないという話は聞いていますし、物流業界の2024年問題の影響も受けるでしょう。建設産業だけでコントロールできない部分がありますので、工期が遅れるような事態が生じるかもしれません。

ただ、法律で定められている以上、順守することが大前提となります。現在は、良い意味でも悪い意味でもいろいろな情報が社会に出てくるようになりました。ブラックな状態で仕事をするという選択は、現実問題として難しくなるはずです。

業種別では、土木よりも建築の方が、建築の中でも設備関係が厳しい印象を受けています。昨今ですとエレベーターの取り付け工事等はかなり逼迫していると聞いています。一方で、昇降機メーカーでは工期を短くするためにさまざまな工夫をして生産性を高めている事例も目立ちます。上限規制が適用されて難しくなる部分と、生産性向上への努力とのせめぎ合いとも言えます。悲観せずに前向きに突破していくことが重要だと思います。

上限規制に対する認知度に関して、個人的に着目しているのは一般市民を含めた社会にどう浸透していくのかという点です。例えば大きなプロジェクトの工期が遅れると報じられることがあるかもしれません。その時に何が適切かという観点が大事になります。建設業に限らず社会のあらゆる場面で持続可能性が求められています。法規制前の工期が、長時間労働など誰かに無理を強いることで成立していたのであれば、規制後の工期の方が適切だと考えるべきではないでしょうか。

多様な人々がいきいきと働けなければ、人口減少下で社会基盤や安心・安全を支え続けられません。2024年問題は、建設業の仕事の在り方を変えると同時に、望ましい建設業の姿を社会に正しく理解してもらう良い機会だと考えます。

●建設産業の価格決定力・価格調整力を上げることが重要
野原: 今のお話と関連しますが、建設産業の一番の課題は何でしょうか。例えば、人手不足は建設産業だけに限った問題ではありませんが、野原グループが建設産業従事者1000人に行った独自調査では、課題の1位は2年連続で人手不足でした。業種、職種で切り分けたときに、特徴的な課題があれば併せてお教えください。

佐藤: ご指摘の通りで、人手不足が最大の課題と言って間違いないでしょう。現在は、首都圏に限らず全国の大都市で再開発事業が行われており、さらに各地で半導体工場やデータセンター、物流倉庫の建設が進み需要は旺盛です。特に半導体工場のインパクトは大きく、建設時に多くの労働者を必要とするだけでなく、竣工後に若い世代が就職先として選ぶことも多いようです。熊本に建設されたTSMC(台湾の半導体メーカー)の大卒初任給は28万円で、これは県内の相場と比べると4割高、アルバイトの時給も2000~3000円と高給です。

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