1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

DXの本質とは何か

マイナビニュース / 2024年9月27日 10時0分

野原: もう一つ、日本でDXというと、製造業関連の事例が多いように感じています。建設業も製造業と同じくサプライチェーンが長く、かつ多重階層構造である類似点はありますが、建設DXのスピードのほうがやや遅いように感じます。どこに違いがあると思われますか。

長谷部: サプライチェーン全体で見ると、製造業のほうがDXは進んでいる気がします。ただし、一概に製造業が進んでいて建設業が遅れていると言えない部分もあります。

例えば、建設業はビジネスチャットなどコミュニケーションの部分で積極的に活用する事例は増えています。品質管理のため図面や現場の写真をデジタルプラットフォームで管理・報告する事例も盛んに出てきています。一方で、生産性を業界横断的に高めていくDXは進んでいない印象を受けます。

製造業がなぜそこまで進んでいるかは、グローバルサプライチェーンでつながっており、欧米のクライアントからの要請があるからです。対応しないと取引ネットワークから排除されるかもしれないという懸念は日本の一次下請け以下の企業が抱えており、DXだけではなく、「SX」の要請もあるのでデジタル化は否応なしに対応せざるを得ません。よって、サプライチェーン全体におけるDXの流れは製造業の方が進んでいると感じています。

野原: ちなみに「SX」とは何を指すのですか。

長谷部: SXは「サステナビリティ・トランスフォーメーション」のことで、日本でなじみがあるのは、脱炭素でしょう。

他にも資源循環や人権への配慮など幅広い領域があります。社会や環境のサステナビリティ(※6)に配慮した取り組みをするためのグローバルスタンダードな行動規範を業界が定めていることもあります。これに沿ったビジネス活動をしていないと、取引から外される恐れがあるのです。建設業ではどうでしょうか?

※6 サステナビリティ:Sustainability。環境や経済などに配慮した活動を行うことで、長期的に持続可能な社会に変えていこうという考え方

野原: グローバルな発注者のプロジェクトでは、サステナビリティを高めるために現場での廃材を減らす、グリーン材料(※7)を使うといった要望が入ります。欧州では一般的になっていて、日本でも少しずつ、そういうプロジェクトが増えているようです。確かに、建設業では情報コミュニケーションはここ数年で大きく進展しました。

※7 グリーン材料:環境への負荷を配慮し、最小限に抑えるために設計された材料を指す

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください