DXの本質とは何か
マイナビニュース / 2024年9月27日 10時0分
長谷部: 特に建設業の皆さんは、現場と外部や現場内での情報コミュニケーションですね。
野原: かつては、朝礼のため午後から出社する人が朝から駆り出されるなど、非効率な部分がありましたが、デジタルの掲示板などを活用することで、そうした無駄はかなりなくなりました。
「デジタルの情報を常に見えるところに出しておく」「スマホで見られるようにしておく」「危険な地域などに入るとスマートフォンやタブレットにプッシュで情報が届く」など、多彩なやり方が実現していると感じています。
ところで、先ほどの話を受けてですが、建設産業でのDXを推進するドライバーは何だと思われますか? 建設業もサプライチェーンが長く、生産性向上には全体での連携・共創が必要ですが、請負構造のためか、発注者、設計事務所、ゼネコン、サブコン、建材メーカーなど各プレイヤー間での意識に濃淡があるように感じています。各プレイヤーが建設DXを成功させるためのポイントがあれば教えてください。
長谷部: サプライチェーン全体の足並みがそろってこそ、全体での生産性向上が実現されます。ですので、BIMをベースとした建設業界のDXをひとつイメージするにしても、どこまで先行投資・先行着手するかは企業ごとで温度感は異なります。サプライチェーンの前後が着手してからでもよいと考える企業も多いでしょう。
ただし、私のこれまでの経験からすると、サプライチェーン上の最終顧客、いわゆる「発注者」を味方につけることが重要ではないかと考えています。
本来、サプライチェーンの生産性向上は最終的に発注者にもメリットが還元されるべきですし、BIMをベースとしたDXは単なる生産性向上以上に発注者のメリットがあると思います。最終顧客の価値をしっかり定義し、それを伝えて共有する。そして発注者を味方につけ、それを実現するためのサプライチェーン上のイノベーター、共感してくれる企業と共に実証を進めるのが大事だと思います。
野原: なるほど。最終顧客である発注者に目を向ける。
長谷部: ええ。先ほど教育の事例を挙げましたが、何がDXを進めるモチベーションになっていたかというと、受益者である最終顧客の学習者によって選ばれることでした。そのために新しい価値を提供しようと皆ががんばっていたのです。サプライチェーン上でいくと顧客に選ばれるためには、顧客の顧客に選ばれることが求められる。さらに、その顧客の顧客に選ばれようとする連鎖が続きます。最終顧客を先に味方につけるのは、外せない考え方、進め方だと思います。
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