DXの本質とは何か
マイナビニュース / 2024年9月27日 10時0分
もう一つ付け加えるならば、小さくても早い段階で「こうなれば成功だ」という定量的なポイントを参加者間で定義・共有し、成果を確認しながら進めることです。私たちは「クイックウィン」(※8)と呼びますが、関係者の間でできるだけ早く成功を経験することは、モチベーションを維持する上で、極めて大切です。BIMベースのDXの成果に3年かかるのか、5年かかるのか、誰も明確に言えない状況であるなら、社内外で息が続かず時間が尽きる恐れもあります。
※8 クイックウィン:小さな取り組みであっても短期間で成果を得るための考え方や取り組みを指す
野原: 顧客あってのDXであり、建設であれば発注者をどのように巻き込むかはポイントでしょうね。
長谷部: 私は建設業の専門家ではありませんが、他の数々の産業を見渡すと、最終顧客とのエンゲージメントは外してはいけない要点でしょう。
最終顧客への価値を定義し共有して進めるのと、サプライチェーンの内輪だけでやっているのでは推進力が変わります。
野原: 野原グループのBIMツールである「BuildApp(ビルドアップ)」(下図参照)は、まだまだ建設産業全体には行き届いておらず、現状は大手ゼネコン中心の取り組みになっています。当然、発注者にどのようにアプローチするか、これから少しずつ進めていかねば、と強く感じました。
●DXを推進するための人材育成と組織づくりのコツ
野原: DXを推進しようとするとき、どこから始めるべきかがわからない企業もあると思います。 社内での始め方、誰が何を決めるべきかについて教えていただけますか?
長谷部: まずはDXの正しい理解とマインドセットを醸成するための人材育成研修から始めることをお勧めしています。
NTT DXパートナーでご支援している企業・自治体は直近2年で50件以上ありますが、DX人材育成から始めるケースが約8割にのぼります。先ほど述べたように、経営層と推進リーダー層、現場社員の3階層くらいに分け、役割に合わせた研修プログラムを組み、DXを全社員に自分ごと化してもらいます。これによって、プロジェクトの推進スピードや効果が変わるので、最初に力点を置いていただきたい。
また非IT部門の現場社員の中には「デジタルで自分の仕事が奪われるかもしれない」と抵抗感を覚える方もいます。DXが会社や社員になぜ必要か理解していただき、自分にとって働きやすくなり助けてくれる存在だとわかってもらうことも、大切なファーストステップです。
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