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物流の「2024年問題」は解消できる? 業界の課題、実態を3人の識者が明かす

マイナビニュース / 2024年9月25日 6時11分

大手と中小で異なるもう1つの問題は、人材不足だ。

「中小企業では人手不足が深刻。かつ、他社比較においてビジネスにおける優位性をどう出すかという部分で手詰まりしているケースが、今相当出始めている」と前野氏。

また、川村氏は人材派遣・紹介も含めたサービス提供をする物流会社の観点から実状を次のように語った。

「人手不足という意味で、中小企業が仕事を受けた後に、自分たちだけでは人手が足りないから助けてくれと言われます。でも同じ仕事を直接メーカーから受けたときと、その下請け会社から受けたときで、例えば時給ベースの平均で100円、200円違う。物流費という観点から考えてもそこは大きい差でしょう」

続けて前野氏は3つの課題があり、1つ目は「"生産技術"という考え方が物流の中であまりない」と指摘。

「全工程を見た時にどうしたほうがいいかというよりも、この部分だけを改善しようという動きが多くて、そこだけ一気に改善したところで前後工程があまり改善されてなければ、そこだけ能力が高すぎるという議論に陥りがち。全工程を見た場合、本当にそんなに必要なのかとなる。違うところでちゃんと平準化、標準化していけば、もう少し良くなるのではないかいう話は結構ある。中小、中堅規模の企業になればなるほどそれがより顕著になる。加えて、従来はマニュアルでやっている中で自動化を進めると、自動化のところで結構他のしわ寄せになるという考え方も強かったりする」(前野氏)

次に"人件費の安さ"を前野氏は挙げる。

「人件費との比較で自動化の話をすると、まだまだ時給1,000円とか時給1,100円での計算で比較される。そもそも『人を雇えないから自動化」という話なのに、なぜ人件費視点での比較をするのか。安い人件費と比較されたところで自動化は基本的にペイしないので、まだまだ考え方を変えてもらう必要がある」と話した。

最後の課題は"投資と回収"だ。

「荷主との契約期間が短すぎるので、投資という選択を取れないところが多い。経済産業省などの物流会社や荷主向けの補助金を活用し、いろいろとサポートして採択・交付決定している会社はあるが、特に中小の物流会社は荷主との短すぎる契約期間を理由に、その契約がなくなったら……と判断し、柔軟性を確保するなら『人手のほうがまだどうにかなる』と結論付けて投資に至らない。短期的にはいいかもしれないが、中長期的に見たときに本当に成り立つのだろうかと、いつも疑問に思い、それをどう解決していくかが大きな課題」と危惧していた。
物流業界の将来

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